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ビジネストラベル管理プラットフォームTravelPerkがシリーズEで2億ドルの資金調達

バルセロナに拠点を置くビジネストラベル管理プラットフォーム「TravelPerk」が、シリーズEラウンドで約2億ドルを調達し、評価額を27億ドルへと倍増させました。この成長は、コロナ禍を経て急速に復活を遂げる旅行業界と、特に、ビジネストラベル市場の需要の増加を背景にしています。さらに、TravelPerkは、スイスのスタートアップ「Yokoy」を買収し、AIを活用した経費管理機能をプラットフォームに統合することを発表しました。

パンデミック後の復活:旅行業界のトレンド


旅行業界は、コロナ禍の影響を大きく受けましたが、現在では、観光とビジネストラベルの両方がパンデミック前の水準にほぼ戻りつつあります。世界旅行観光協議会(WTTC)のレポートによると、ビジネストラベル市場は2024年に過去最高の1.5兆ドル(約160兆円)に達すると予測されています。この成長は、企業が売上向上や新規顧客開拓を目的とした出張を積極的に再開していることを反映しています。

TravelPerkの特徴と成長戦略


TravelPerkは、企業が国内外の出張を一括で予約、管理、報告できる「オールインワンプラットフォーム」を提供しています。このプラットフォームには、HRシステムや経費管理機能との統合が可能で、企業の効率化を支援します。

パンデミックによるリモートワークやハイブリッドワークの浸透は、一部の業務に影響を与えましたが、TravelPerkのCOOであるジャン=クリストフ・トーネイ=ブカロ氏は、「出張の需要にはほとんど影響がない」と述べています。「会議への参加や風力タービンの設置といった対面が必要な業務は引き続き求められています」と同氏は強調しました。また、リモートワークが増えたことで、企業がオフサイトミーティングやチームビルディングのための旅行に投資するケースも増えています。

このような分散型の働き方の普及は、TravelPerkにとって大きな成長機会を提供しています。同社のテクノロジーは、従業員が自分で旅行を予約できる自由度を与える一方で、企業が経費管理やコンプライアンスを容易に行えるように設計されています。

経費管理への進出:Yokoy買収の意義


TravelPerkは、2023年にシカゴ拠点の競合企業「Amtrav」を買収し、アメリカ市場でのプレゼンスを強化しました。今回のYokoy買収は、同社の成長戦略の次なる一歩です。Yokoyは、AIを活用した経費管理プラットフォームで、企業が支出を効率的に管理できるツールを提供しています。この買収により、TravelPerkは、旅行管理と経費管理をシームレスに統合した「統合型プラットフォーム」を提供できるようになります。

TravelPerkのCEOであるアビ・メイア氏は、「私たちの目標は、旅行と経費管理の分野でナンバーワンのプラットフォームになることです」と述べています。この統合により、企業は経費の透明性を高め、旅行管理の複雑さを軽減することが可能になります。

また、YokoyのCEOフィリップ・サーリ氏とCTOデヴィス・ルッシ氏は、TravelPerkのチームに加わり、両社の技術を融合させる取り組みを進めていきます。「私たちは、AIが旅行と経費管理の未来をどのように変革するかについて共通のビジョンを持っています」とメイア氏は語り、YokoyのAIラボからの革新的な技術に期待を寄せています。

競争が激化する市場での優位性


競合他社であるNavanRampも、経費管理と旅行管理の統合を進めており、この分野での競争はますます激化しています。しかし、TravelPerkの強みは、パンデミック後の旅行需要の増加に対応するだけでなく、企業が未来の市場変化に備えられる包括的なプラットフォームを提供する点にあります。

経費管理の強化は、旅行需要の変動に左右されない安定した価値を企業に提供します。どのような市場環境でも、企業は経費を管理しなければならないため、TravelPerkの新しいプラットフォームは幅広い顧客層にとって魅力的です。

TravelPerkの今回の資金調達とYokoy買収は、ビジネストラベル市場における同社のリーダーシップをさらに強化するものです。旅行と経費管理を統合することで、企業の効率化と成長を支援するTravelPerkのプラットフォームは、パンデミック後の市場においてますます重要な役割を果たすでしょう。今後の動向に注目が集まります。

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