投資契約の条項〜Part 4 補償条項〜
【目的】
一方当事者が他方当事者に対して、一定の事由ある場合に金銭などによる補償責任を負うことを約する旨の条項をいう。補償責任は、契約に基づく損害賠償責任と異なり、故意や過失がないとされるケースでもその責任を免れることはできないとされる。
資金調達の契約の場面では、「起業家側に義務の不履行(資料を提出しないとか株主総会を適切に行なっていない等)や表明保証の条件に違反していることが見受けられた際に、投資家側が買い戻しを求めたり、投資契約の際に支出した費用(弁護士や会計士などのデューデリ費用)を起業家側に支払ってもらう」ようなケースがありますね。
【記載例】
各契約当事者は、本契約に基づく自らの義務の不履行または表明及び保証が真実または正確でなかったことに起因または関連して、他の契約当事者が、請求、損失、損害、責任、義務、費用及び支出(偶発的なものか否かその他を問わない。また第三者からの請求によるものか否かも問わない。さらに、合理的な弁護士及び会計士の費用を含む。)を被った場合、当該他の契約当事者に対し、各々個別に、かかる損害等を賠償または補償するものとする。
【論点】
起業家側としては、会社からキャッシュアウトする懸念が大きくなるので、補償条項は入れたくないですね。
しかしながら、補償条項が発動してしまう条件が、「基本的な義務の不履行や表明保証違反」なので、当たり前のことを当たり前にやれる自信があるのであれば、あってもなくてもどうでも良い条項とも考えられます。私なら、"あえて"補償条項は入れます。