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よくぞナマコを食べる国に生まれけり

「よくぞ日本人に生まれけり」と心から思うくらい、日本の食文化がたまらなく好きだ。

生物も煮物も焼き物も肉も魚も野菜もお菓子も、こんなに幅広くいろいろなものを食べられる食文化ってほかにないんじゃないかと思う。

食文化というのは、国によって異なる。そして、異国の食べ物を見て、「え、こんなの食べるの?」と思うものもある。

これらは、食べている国以外の人たちから見たら、失礼ながら、気持ち悪いと思われてしまうことがあると思う。

たとえば、ベタなところではフランスのエスカルゴ。最初に知ったとき、かたつむりなんてとても無理…と思ったし、ベトナムではホビロンというアヒルの孵化しかけの卵をおやつとして食べると聞いたときは、おそろしく驚いた。

とはいえだ。

そういう話題のときに、私が必ず思うのは、

「ナマコを食べる民族に、よそさまの国の食文化をディスる資格はないだろう」

ということ。

昔、おばあちゃんと一緒にテレビを見ていたとき、海の中で動いているナマコが画面にあらわれた。

客観的に見てただただ気持ち悪いナマコの映像を見て、おばあちゃんが発した言葉は「おいしそう…」だった。

テレビに映ったナマコを美味しそうに見つめる祖母。その光景を私は客観的に見てこれシュールだよなと思うしかなかった。

あの気持ち悪いナマコを普通に食べていて、しかも生きているナマコを「美味しそう~」とうっとり見つめることができるって時点で、日本人はエスカルゴとかホビロンに「え~」ってする資格はないんじゃないかと個人的に思うのです。

うちのおばあちゃん、牛タンを気持ち悪いって食べれなかった人だったのに。

そんな祖母の血を引く私も、ナマコは大好きです。

よくぞ、ナマコを食べる文化のある国に生まれけり。

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