カスパー・ハウザー

退隠後録、備忘録として活用。自分は概ね大阪人だが、父が横浜出身で熊本に疎開、母は名古屋…

カスパー・ハウザー

退隠後録、備忘録として活用。自分は概ね大阪人だが、父が横浜出身で熊本に疎開、母は名古屋出身で旧満洲育ち、妻は愛媛出身。小中高大は公立卒、元自治体職員、現日本語教師(非常勤)。不特定多数とやりとりはしません。知っている方にお読みいただければ十分です。ヘッダーはNZ南島の「天橋立」。

最近の記事

立候補休職と投票義務化 ~選挙を変えるには~

 巷では自民党やら立憲民主党やらの党内選挙で大騒ぎ、どちらも大山鳴動してネズミ一匹の価値もなかったような…。  昔々、学生時分によく「青春18きっぷ」を使って東京へ貧乏旅行をした。夜行の鈍行列車は似たような学生ばかりで大混雑、座れず床に新聞紙を敷いて寝た。  泊るところも決めていなかったので、東京の友人に「どこかない?」ときいたら、菅直人の選挙事務所に連れて行かれて、ソファで寝かせてもらった。よもや、のちに総理大臣になろうとは。  当時、あの人は社民連だったが、「社会民主主

    • 三津浜にて、子育て反省記

       今年はよく愛媛の松山に行っている。もはや住人がいなくなった妻の実家があり、施設にいる義理の母に面会するのと、義父の墓参り、実家の片付け、庭の草抜きなどの用事があるからだ。在職中は夏休みしか行けなかったので、春・秋・冬の松山が楽しめるのはうれしい。  松山市は四国随一の観光都市である。歴史と伝統があり、保守的なまちではあるが、観光と活性化についてはチャレンジ精神を感じるまちだ。北摂では池田市も歴史がそれなりにあるのだが、どうもそのことにあぐらをかいてきたように思える。攻めるま

      • ビートルズよもやま話2

         中秋の名月をゆっくり眺めたのは何年ぶりだろう。  私がぼんやりしていると、助産師の妻がくたびれて仕事から帰ってきた。「やっぱり満月の威力はすごいわぁ…」とのこと。お産が多かったらしい。なんだか物思いに耽っていて申し訳ない。  小学校だか中学校だか忘れたが、満月とススキの版画を彫った。満月はただの真ん丸になってしまうので、ススキを月にかぶらせてアクセントにした覚えがある。自分としては上々の出来だったが、保存しておけばよかったなぁ、もはや今では手先が老化しているので作れまい…

        • 幕が上がる

           平田オリザ原作(2015年)の演劇を、箕面市船場の文化芸能劇場へ観に行った。高校演劇部が全国大会をめざすドラマ。  私はなんとなく「社会派かまたはストーリー不明な芝居しか見ない」と家族に思われているが、そんなことはない。青春デンデケとか、いきまっしょいとか、書道やらブラバンやら、昔から変わらぬ人気の「教養小説」、日本版ビルドゥングス・ロマンも好きだ。  さて、この作品、メインキャストさんが急遽代役とのことだったが、総じて良かった!  かつて「ももクロ」主演で映画化されたら

        立候補休職と投票義務化 ~選挙を変えるには~

          奈緒ちゃん、大好き

           NHKのテレビドラマ『団地のふたり』を見ている。キョンキョンはアイドル時分にコンサートへ行ったが、貫禄ついたなぁ、笑  小林聡美と彼女がツインで主人公を務めるが、小林聡美の方がややリード、かな。女性の原作・脚本であり、「おひとりさま」の日常生活がよくわかる。  二人の語りにこんな感じの会話があった。「昔は公園で子どもたちがワイワイ遊んでたよねー、うるさいぐらいだったねー」「それがいまや誰もいなくなっちゃったよねー」  それで思い出したのが、ドキュメンタリー映画『奈緒ちゃん

          奈緒ちゃん、大好き

          博覧会と聞いて沖縄を考える

           今は建物を失ったリバティおおさか(大阪人権博物館)が主催された「人類館事件を知っていますか~博覧会と差別」に参加した。80~90席の会場に150人が詰めかけた。リバティの名前で今もこれだけ人が集まるんだな…、と感慨深くなった。  橋下徹に潰されたリバティおおさか。私は、その展示が誘導的ではないか、学問的に正しいのかなどと、いつも批判的に見てきた。だが、潰してよいとは思っていなかった。だから、あとのまつりで残念なのだが、存続に向けたカンパもした。  リバティで蒐集された資料は

          博覧会と聞いて沖縄を考える

          尼崎から能登へ ~映画『幻の光』~

           能登半島地震への支援としてリバイバル上映されていたもの。制作された90年代前半は、私は子育て真っ最中で映画をほとんど観ていない。  なんの予備知識もなく行ったのだが、主人公は尼崎に住んでいて夫を亡くし、子連れ再婚で能登に向かうというストーリーだった。  私は尼崎生まれなので、工場街を写し出し、杭瀬や大物といわれると懐しい。  残念ながら能登をゆっくり旅したことはない。だが、冬の日本海の荒波を見るのは好きだ。わけもなくシャッターを押してしまう。  能登ではなく香住の民宿に、

          尼崎から能登へ ~映画『幻の光』~

          男女平等への道しるべ

           池田市が、女性のネットワークづくりや起業支援などの連続講座をするとのことで、そのキックオフとして浜田敬子さんのミニ講演があり、それだけを聴きに行ってきた。  ここでも、NHK連続テレビ小説『虎に翼』が冒頭から話題とされた。今年はどこへ行ってもこの話題を聞く。私もチラチラとは垣間見るが、通しできっちりとは観ていない。  これまで私はAERAをちょこちょこ買っていたが、寡聞にして浜田さんという人を知らず、初の女性編集長だったことをこのイベントで知った。『働く女子と罪悪感』とい

          男女平等への道しるべ

          誰も寝てはいない

           上川多実さんの『<寝た子>なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』(里山社、2024年)をやっと読めた。私も常々「『寝た子を起こすな』というが、差別意識だらけのネットを見ればわかるように、誰も寝ていないし、ずっと起きている」と思っていたので、共感できる表題だ。  この本は図書館で引っ張りだこ、なかなか予約が取れなかった。バリバリに部落差別がテーマなのに、解放出版社や明石書店じゃないのがよい。里山社ってどこかと思ったら博多の出版社か。山田太一、笠原美智子、井田真木子…、

          部落問題研修はいま

           大学の先生から聞いた話だが、とある市の教育委員会主催「人権・同和教育」の夏季研修で講師として招かれたのこと。小中学校などの全教員悉皆の研修という大規模なものだ。  当日行ってみると、事前送付してあった資料が配付されず、代わりに目次のみを書いた一枚物が配られたという。既に資料は学校にも配信されたのに「置き忘れるといけないから持参するな」(?)とのお達しが出ていたらしい。  きくと、40枚の資料のうち2枚にしか出てこない狭山事件に対する見解が市の公式見解とは異なる、と問題にされ

          部落問題研修はいま

          二度目の『聲の形』

           先日『聲の形』のテレビ放映があった。観るのは二度目である。  前回は、聴覚障害者をとりまく問題の理解に役立つかな、という仕事上の要請から観た。補聴器をつけたヒロインの動向とその発音に注目したほかは、今風の若者たちの人物画になじめなくて、ふーんと思っただけで終わった。  今回はアニメ好きの知人が「この映画は観なあかんやろー」と言ったのを思い出し、もう一回観てみようかと思ったもの。今頃になって、これがあの「京アニ」作品なのか、と気づいた次第。  改めて感じるのは高校生の登場人

          二度目の『聲の形』

          町内会・自治会とは何か

           NPO政策研究所が主催された、玉野和志著『町内会』(ちくま新書、2024年)の読書会に参加した。広く参加を募る読書会に参加するのは、学生時代以来ではなかろうか。  今回のテーマは「町内会・自治会」だが、私はこれをどう取り扱い、どう関わるべきか、どうもよくわからずに長年過ごしてきた。私が幼少の頃、わが家は自治会に入っていたが、途中で両親は「メリットより負担が大きい」といって、ご近所の数軒と共に脱退した。  以来、私はマンション管理組合の役員はしたものの、町内会・自治会に関わっ

          町内会・自治会とは何か

          最期を選ぶということ

           いまテレビ番組はオリンピックばかり。誰かが「オリンピックは嫌い、でも開会式・閉会式は見たい」と言ったらしいが、少し共感する。  テレビ番組(無料分)のコンテンツが貧弱・不足気味になってから、いったい何年経つだろう。大宅壮一でなくとも、チャンネルを回してバラエティ番組だらけだと「ああ、バカになりそう…」と思う。  私に対してテレビ視聴を禁じた両親が、年老いてからは、NHKの他に旅とグルメ番組ばかりつけ始めて呆れたこともある。(それしか観るものがないからではあるが。)  そん

          最期を選ぶということ

          アンサンブル・サビーナ まちづくりコンサート

           豊中市蛍池にあるアンサンブル・サビーナによる、1時間ほどのミニ・コンサートへ行ってきた。2006年から定期的に開催されている管弦楽の「まちづくりコンサート」。蛍池公民館と千里文化センター「コラボ」との協働で開催されているそうで、今回が120回目だとのこと。母体であるイタリア生活文化交流協会は、2004年の発足というから今年は20周年だ。  イタリアと日本の音楽家による「友情のサビーナ・オーケストラ」も結成されており、大きなホールでのコンサートにも何度か行った。シンフォニーホ

          アンサンブル・サビーナ まちづくりコンサート

          絵本作家 降矢ななさん

           若いときにピースボートに乗ったと書いたが、まだ始まって2年目のときで、今の「世界一周」などとは違う、純粋な戦跡巡りツアーだった。一度しか乗らなかったが、多士済々というか魅力的な乗客が多く、今も同じ船室のかたとお付き合いさせていただいている。  当時のことでは、漫画家の石坂啓さんと話したり、まだ公開まもない『風の谷のナウシカ』を船内で観たり、まだ酒税が高かった「シーバス・リーガル」を飲んだりしたこと等々をおぼえている。  なかでも、わずかな接点ではあったが、デビュー前の降矢

          絵本作家 降矢ななさん

          中国帰国者の系譜

           続けての話になるが、シンポジウム「中国残留婦人『三世・四世』という経験」(近畿中国帰国者支援・交流センター主催)にも参加した。私は中国帰国者三世・四世というテーマと向き合うのは初めてだった。「中国系日本人」と自称するかたもいるようだが、これには賛否両論あるようだ。  一橋大学大学院のかたによれば、中国帰国者の一世は既に平均年齢85才、語りを聴けるのもあと10年が限界だという。思えばうちの母は、旧満洲育ちで「敗戦後の引き揚げはたいへんだった。もう一便、船が遅れたら、今頃は北