BEST NGC天体(春の天体-5)
使用機材は以下で同じなんですが、撮影日によってフラット補正してなかったり、空の透明度が悪いなど、画質が不均一です。スミマセン。
・Vixen R200ss(D=200mm、fl=800mm、コマコレクター)
・ASI183MC+UV/IR Cut filter
・ASI Studio(ASI DeepStack)、Gain=高(270)、Binning=3、15秒
31.うみへび座 Abell-33(ダイヤモンドリング星雲)
うみへび座 ι 星の南 1° 40’ に位置する惑星状星雲。太陽程度の質量の恒星が一生の終りに外層ガスを放出し、中心の白色矮星のエネルギーで光る惑星状星雲。星雲の中心に白色矮星が見える。2500光年の距離にある。
同じ方向の750光年の距離にある7等星との組み合わせで、ダイヤモンドリングのように見える。おおいぬ座ο1nすぐ北にある「Dolphin 星雲」と似た様子の小型版で、私の電視観望セットでちょうど良いサイズ。
ただし15秒露出では淡くしか見えない。空気の透明度が良い時はよく見えるが、湿気や埃で透明度が悪い時は見えず、空の透明度の評価に使える。
32.ろくぶんぎ座 NGC 3115(C-53、スピンドル銀河)
銀河系の数倍の大きさのあるレンズ状銀河。3200万光年の距離。「スピンドル(紡錘状)」の愛称があるが、「レンズ状銀河」の方が良い?
この銀河は若い頃はクエーサーだったと考えられる。ガスをほとんど消費してしまい、新しい星形成のきっかけになるようなガスや塵はほとんど残っています。銀河を構成する星のほとんどは非常に古い。
33.うみへび座 NGC 3242(木星状星雲)
明るい惑星状星雲。いつもの星雲星団の電視観望用の15秒では露出オーバーなので、この画像だけ5秒の1枚モノ。
見かけの大きさが木星とほぼ同じ 40” ほどなので、星雲星団用の画角では緑色の丸い天体にしか見えません。残念。
34.うみへび座 NGC 3312 周辺(Abell 1060)
うみへび座のほぼ中央に位置する、比較的近距離である1億5800万光年にある「うみへび座銀河団(Abell 1060)」が、約1° の範囲内に157個の銀河が見えている。その内、NGC3309とNGC3311は実際に近接した楕円銀河で、重力相互作用をしている。そして NGC3312 は明るい渦巻き銀河です。ただし、これも重力作用でダストの帯が歪んでいます。
南中高度が低いため、透明度が悪いとよく見えません。
35.うみへび座 NGC 3621
うみへび座の、NGC3312 よりさらに南中高度の低いところにある、明るさ10等の大きく見える銀河。
渦巻き銀河ながら、中央のバルジに膨らみが無く、薄いホットケーキ(パンケーキ)のような形をしている。「フレーム銀河」「南十字銀河」の愛称があるが、それが分るほどに大きく、明るく、見てみたいものである。
36.しし座 NGC 3521
しし座の後ろ足の先にある明るい銀河。銀河中心の右側(西側)に南北に暗黒帯が明瞭で、りょうけん座の「M63(ひまわり銀河)」を一回り小さくした感じ。「Bubble(泡)銀河」の愛称がある。
37.コップ座 NGC 3511-13
うみへび座の星座線の近くにありながら、星座の区分ではコップ座に位置する銀河。画像の中央が NGC351左下は NGC3513。
NGC3511 は渦巻き銀河に分類されているが、よく見ると、乱れた渦巻きになっている。
南にある NGC3513 は、フェースオンの、典型的な某渦巻き銀河。棒が長く、そこから伸びている渦巻き腕が1本ずつしか見えない、とても特徴的な形をしている。その腕は、おそらく近接した銀河のよって、乱れている。
38.コップ座 NGC 3672
コップ座の北側に位置する10等の明るい銀河。拡大像では渦の巻き方がカラフルで美しい。
39.からす座 NGC 4038-9(C-60/61、アンテナ銀河)
有名な衝突銀河の1つ。北側がやや西にあって NGC4038、南側が NGC4039。Caldwell 60/61 の番号が付けられている。「アンテナ銀河」「触角銀河」「リングテール銀河」の愛称がある。
触角銀河は衝突途中にあるもので、相互作用銀河の典型例。コンピューターシミュレーションから、衝突の様子が再現されている。12億年前、NGC4038 は棒渦巻き銀河、NHC4039 は渦巻き銀河だった。この特徴は今も残っている。衝突以前は NGC4039 の方が大きかった。9億年前にこの2つの銀河は接近を始め、6億年前には両者が互いの本体同士を通り抜け、3億年前に銀河の星々の一部が本体の外に放り出され初めて、その流れが触角状になったと考えられている。
40.からす座 NGC 4361(スプリンクラー星雲)
銀河ばかりの春の星空の中の、数少ない惑星状星雲。からす座の台形の中にある。中心星が非常に高温のため、青白く見えている。
中央星は、非常に高温のウォルフ・ライエ星で、270,000度もある。これは中性子星ではない星では最も熱い星。太陽の18,000倍の明るさを持ちながら、大きさは太陽の 6.1%しかない。
41.おとめ座 NGC 4517
NGC4517 は渦巻き銀河を横から見た姿で、拡大像では暗黒帯が複雑に見えている。大きさは私たちの銀河系とほぼ同じ。
なお、この銀河のNGC番号は重複していて、NGC4437と同じもの。カタログ上では NGC4437 は西に正確に5分離れているが、そこには何も無く、観測コメントから NGC4517 の記載ミスによる二重登録と確定され、1940年に訂正リストに掲載された。しかしその訂正リストには NGC4417 と誤植されていて、NGC4417 の場所には銀河があったため、それぞれ元に戻されて、結経 NGC4437 は欠番状態になった、不運な銀河。
上(北)に見える淡い銀河は NGC4517A。ここにも NGC番号付けの混乱が見える。
42.おとめ座 NGC 4760
おとめ座銀河団Ⅱ群が集まっている。明るい銀河は、少し東(左)の NGC4781。このように、この画角で、それなりに明るい銀河が集まっていて、「いかにも、銀河団だぁ」と思える場所は少ない。
43.おとめ座 NGC 5044-54
おとめ座銀河団のスピカ南方の一部。この辺りの銀河は「NGC5044グループ」と呼ばれ、広大な銀河間空間に1,000万度を超える高温ガスが充満している。距離は1億2900万光年。
ただし、大きく見える NGC5054 は8000万光年の距離で、別の、おとめ座Ⅱ銀河団に所属すると考えられている。
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