BEST NGC天体(夏の天体-3)
14.さそり座 NGC 6281
さそり座にはメシエカタログに無い散開星団がいくつもあるが、この画角でおもしろく見える星団は少ない。
NGC6281 はさそり座で最も明るい星団で、そのためメシエカタログにも Caldwell カタログにも掲載されていない。
さそり座μの東2° に位置している。スコットランドの天文学者でオーストラリアで活躍した James Dunlop はこの星団を「かなり明るい星が、奇妙な曲線を描いて並んでおり、多くの星が混在している」と表現している。
「Moth Wing Cluster(蛾の羽根星団)」との愛称がある。
15.さそり座 NGC 6302(バタフライ星雲)
「Bug(虫)星雲」の愛称がある。電視観望では小さな惑星状星雲だが、オレンジ色という珍しい色をしている。
拡大写真は有名で、蝶のように見えることから「バタフライ星雲」とも呼ばれている。知られている惑星状星雲の中で最も明るい。
この惑星状星雲は、太陽質量の星の晩年の姿。年老いて赤色巨星となった後、星の外層のガスが放出されていく。中心の星から放出される紫外線が、周囲に放出されたガスを電離して輝かせている。NGC 6302の中心星は25万度もの高温で、ガスの塵や円盤に囲まれている。
16.さそり座 NGC 6334(猫の足星雲)
さそり座南部の散光星雲で、「猫の足星雲」「熊の爪星雲」の愛称のある。「猫の足星雲」より、「猫の肉球星雲」と呼びたい。日本では「出目金星雲」とも呼ばれる。
この星雲は、320光年に及ぶ高質量のフィラメント状の星雲構造。可視光では水素原子の赤色と酸素原子の青色を放射しているのが見える。赤外線や電波の観測から、いくつかの星形成領域が確認されている。
右下の泡状の赤い構造は、一生の終りに近い星が大量に放出した物質か、またはすでに爆発した星の残骸ではないかと考えられている。
17.さそり座 NGC 6357(ロブスター星雲)
中央の明るい星雲部分が NGC6357 で、90' の範囲の全体は Sharpless 11「ロブスター星雲」と呼ばれる星形成領域。NGC6334「猫の足星雲」とは同じ距離で、巨大な星雲が暗黒星雲で分れて見えているとされる。
NGC6357 の拡大画像には、誕生したばかりの大質量星と複雑な様相の星雲が写っていたことから、研究者は「戦争と平和 星雲」と名づけた。
2012年にあるグループが国際天文学連合に対してこの星雲に、日本のアニメの『魔法少女まどか☆マギカ』のキャラクターに似ていることから「マドカミ星雲」と改名するよう請願書が出たという。もっともこの要望は、議論を開始するのに必要な25,000人の支持を得ることは無かったとのこと。
(秋-1 へ)
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