ハロウィンナイト・ワークス
街全体がパレードで盛り上がる中、カフェの奥のテーブル席には話し合う四人の男がいた。
胡蝶「若者たちがこうやって楽しんでいるのも良いが……本来のハロウィンがどういったものかを知っているのは、少ないだろうな」
水島「胡蝶さんは知っているのか?」
泉谷「水島は純粋に楽しんでいるんだな」
水島「泉谷、俺のことからかってる?」
泉谷「んなわけないって」
水島「胡蝶さん、元々ハロウィンはどういったものだったの?」
胡蝶「現世に訪れる魔女や悪霊を追い払う西洋の昔の儀式に近い行事だったが、今ではイベントとして親しまれているんだ」
泉谷「へえ、それは奥が深いね」
胡蝶「黒崎様から聞いたんだけどな」
水島「いわゆる又聞きってもん?」
胡蝶&泉谷「そうそう」
蝶野「……とか言っているうちに、仕事の依頼が来たようだ。私たち全員でこなすのは久しぶりではないか?」
水島「パレードがこれからという時に、仕事が入るのは残念だけどね」
泉谷「その後、またこのカフェに行こうよ」
胡蝶「泉谷、いいこと言うね。仕事終わりの打ち上げの場所が決定だな」
カフェを出た後、四人は人気のない路地裏に集合した。
蝶野「さて……準備はできたか?」
胡蝶「もちろんだ」
水島「いつでもいけるよ」
泉谷「俺たちは黒崎様の部下として、やるべき事を果たす必要があるからね」
路地裏に巣食うモノたちが邪魔をされまいと行く手を阻む。四人はそれぞれ仕事道具などを用意して任務にあたる。
蝶野「……生者に仇なす魑魅魍魎に告ぐ」
四人「審判の刻は満ちた。悪業もろとも……断罪されよ」
街を混乱に陥れようとする『それ』らの猛攻をしのぎ、任務を遂行した四人はカフェに戻る……はずだった。
胡蝶「何とか仕事できて良かったよ……」
水島「ギリギリ俺たちのことバレてなかったよな」
泉谷「水島、それ以上言ったらまずいって!」
蝶野「……さっきから妙な視線を感じないか?」
他の三人「え」
蝶野「とにかく、仕事前の感じで振舞ってやり過ごすぞ」
他の三人「……うん」
蝶野「すいません、ウーロンハイとアイスティーのおかわり二つずつお願いします!」
彼らはその後、黄泉国(よもつくに)の役人であることを周りにバレないよう何とか隠し通した。
蝶野「あとちょっとでバレる所だったぞ!」
胡蝶「待って何かついてきてる!」
水島「あの時、確実に倒したんじゃなかったのか?!」
泉谷「全部倒した!」
胡蝶「このまま引き付けて黄泉で裁く?」
水島「胡蝶さん、ナイスアイディア!」
蝶野「そこに黒崎様も加えて五人で裁くか? ついてきてるヤツは、仲間を倒された怨みに塗れているからな」(裁いた後は無間地獄と大紅蓮の叫喚フルコンボだな)
他の三人「その提案のった!!」
その後四人は、宵闇に姿をくらませた。
登場人物紹介
蝶野敦史(ちょうの あつし)
○責任感の強い性格だが腹黒い一面がある
○幻術や刀など多彩な手段をもつ
胡蝶裕樹(こちょう ゆうき)
○几帳面だけどどこか抜けてる
○妖気の込められた短剣とクナイを扱う
水島すくな(みずしま すくな)
○忠誠心は強いが口が軽い
○強力な妖怪・両面宿儺の力で相手を圧倒する
泉谷恭平(いずみたに きょうへい)
○蝶野並みに几帳面だが凝り性
○トンファーと先輩二人から教わった符術を扱う
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