三題噺「夏至」「スニーカー」「高校生」
夏至を迎えて数日、私は高校二年に買ったスニーカーを履いて玄関を出る。明日以降、本格的な夏に近づいていくことが楽しみな気持ちと、学校祭前に控えている中間試験の答案返しが不安な気持ちが同居しているため、複雑な心境で学校に行った。進路が決まる高校三年の私は、未だに進路を決めることができずにいた。LHRの時間で担任と面談をして進路を確定する必要があるのだが、進路を確定させることに自信を持てないでいる。高校二年の時はWeb編集者の仕事に就きたかったが、地元の近くにある専門学校ではプログラミングの授業を必修する必要がある、とハードルが高すぎた。また、当時はWeb編集に関わる技術を学びたい気持ちの他に趣味として書いている小説を仕事にしたい気持ちが同居していたが、今後のことを考えてWeb関係の仕事を選んだ……が、中学校の部活でコンピュータ部にいた経験よりもレベルが高すぎた。なくなく断念して趣味を仕事にしたい気持ちを担任に明かした。担任は趣味を仕事にすることのメリットとデメリットを並べて私の気持ちを否定せずに言っていたが、私は皮肉の意味合いを込めていると捉えて彼の話を聞いていた。
テストの結果はやはり数学が絶望的な結果となり、元から苦手意識を持っていた私も半ば諦めていた。……テスト期間二週間前から頑張っていたものの、結果は赤点ギリギリの三十三点だ。これには親も驚きを通り越して呆れていた。テスト期間以外でも、私は帰宅したら真っ先に自分の部屋に行っていたので、家族はゲームをしていると思っている。実際は小説の構想を練っているのだが、どう言っても
『ゲームをしているんじゃないの?』
と話を聞いてくれない。
その後、夏休み前にテストの点数が書かれた通知表を見せたが……結果はやはりネックな数学で話が持ち切りだった。私がようやく進路を決めた時には、既に夏休みを過ぎて九月に入って三日目のことだった。
私は高校最後の夏を、進路の確定に全振りした。