(詩)壁

目の前が真っ暗になって、一歩も動けない時が必ず来る
自身の手も見えない程暗くて息も苦しい
一休み出来たらいいのに
誰も居ないところで、君しか居ないところで
凍えた耳が痛む
聞きたくないことも聞こえてしまう
萎えた腕も上がらない
そもそも体の骨が無い

君が死んだら、多分僕は泣けない
想像したら悲しくなるけど
考えただけで、涙が下睫毛を乗り越える
けど泣けない。実際に目の前にしたら
きっと今以上に死にたくなる

ずっと夢見てたことが目の前に迫る
嬉しい筈なのに後退りしてしまう
水の様に、風の様に
掴んだと思った瞬間、指の間をすり抜けて
全部無くなってしまうかもしれない
そう思うと、背を向けたくなる

人の温もりも、優しさも、
そうやって逃げてきた
皆が大好きだから
居なくならないでほしいから
だからそばにいてほしい
でも私を見ないで欲しい
幸せは怖い

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