「箪笥」を観たよ


おとぎ話にはよく「継母」が現れますよね。

シンデレラとかシンデレラとか、あとシンデレラとか。
ごめんなさい、何か継母が出てくるおとぎ話を挙げたかったんですが、何故かシンデレラしか出てきませんでした。

白雪姫はあれ、元々実母だしさ。後から変えたんだよねたしか。

にしてもなんで継母なんですかね〜。
悪者として扱いやすいからかなぁ。
実母が実子を殺そうとしてたら、めちゃくちゃ胸糞悪いもんな。

最近見た韓国のホラー映画「箪笥(たんす)」にも、美しいけど意地悪な継母が現れてました(話持ってくの下手くそか)

今日はこの映画を紹介させて下さい。
2003年公開のこの映画は、韓国の古典怪談「薔花紅蓮伝」をベースにしたお話です。
この怪談が映画化されるのは六度目だそうですが、この「箪笥」では元の怪談とおなじストーリーではないそうです。


ざっくりあらすじ(最後までネタバレあり)


大きな池の辺にある豪華なお屋敷に、スミスヨンという名前の姉妹が訪れます。
その屋敷はかつて彼女たちが両親と住んでいたのですが、
ある日母親が亡くなり、姉妹も病気で入院してからは、父親が一人で住んでました。(父親が一人で、のところは私の推測です)


彼女達が療養してる間に父親は再婚しており、新しい継母ウンジュが姉妹を出迎えました。

ウンジュは優雅に微笑みながら姉妹に歩み寄り、小鳥の泣くような優しい声で「お前や挨拶もせんのか?え?こらおい」みたいな事を、オブラートに包みはせずともお上品な意地悪さでぶつけます。

いるよね〜こういう女。
口調が上品なのに中身が下劣なんだよねー。

2人は各々の部屋に行き、姉スミは部屋の中に何故か持って帰ってきた日記と同じものが部屋にもあり、しかも洋服タンスの中に同じ服がたくさん入っていることに気持ち悪さを覚えます。


その日の夕食はとても沈んだ空気でしたが、ウンジュだけが不自然なほど明るく話していました。
彼女は姉妹の叔父夫婦を招くと話しますが、父親は聞こえてるのか分からんけど無反応で席を立ちます。

スミウンジュに「部屋の中のもん勝手に触るなや」と文句を言い、言い返そうと口を開いたウンジュの前に、父親は錠剤と水を置いて立ち去ります。
お前らマジで、それぞれの独特の時間を生きてるなぁ。


その日の夜、ウンジュの隣で横になり眠ろうとする父親でしたが、なかなか眠れません。なので彼はベッドを抜け出し、書斎のソファで寝ることにしました。

そうしてグースカ眠ってる父親の元に、水を飲もうと起きたスミが現れ、父親に毛布をかけてやります。ええ子やんけ。
そこにウンジュが声をかけ、「そいつ寝とるんやから、起こすなよ」と釘を刺します。気の強いスミは反抗的な態度でその場を離れ、冷蔵庫を開けて水を飲みます。
その時、スミは冷蔵庫の中のあるものに気づきました。それは何かを紙で包んでいるもので、赤黒い液体が冷蔵庫の中に滴っています。

開けてみるとそれは、人間の指みたいなものでした。腐っており、正直気持ちのいいものではありませんね。
スミは短い悲鳴を上げ、それを床に落としてしまいました。

その後落とした指はどうしたのか知らんけど、スミはベッドに戻ります。一緒に寝ていたスヨンを抱きしめて眠ります。



朝、スミはなかなかパンチのある悪夢を見て悲鳴を上げながら目覚めます。

その悪夢というのは、黒い服を着た長い黒髪の女が彼女のベッドに仁王立ちになり、その太ももから血が垂れ、股間から手が生えてくるというものです。ヤベぇじゃん。

なんとか平静を取り戻したスミは、自分の手に血がついてることに気が付きます。布団を捲ってみると、スヨンの下着に血がついていました。oh......月のもの。

スミウンジュの部屋に忍び込み、洗面所の戸棚からナプキンを一掴み、拝借して部屋を出ようとします。それに気付いたウンジュは「生理?」とスミに訪ね、「わしやない、妹や」と答えたスミの言葉にニヤニヤしながら、
「不思議だわァ、私と全く同じ日に来るなんて」と言います。たしかに不思議だしアンタ怖いわ。

後日、スミは物置から母の遺品の入った箱を持って帰ってきます。その中にあった写真には家族の写真があり、最初は微笑みながらそれを見ていたスミでしたが、ウンジュが写ってる写真も多数あったことに腹を立てました。

そこにやってきたスヨンが、母の遺品の中から花飾りのついた髪留めを欲しいと言いました。
その時、スミは妹の腕にある痣に気づき、ウンジュにやられたのかと激しく問い詰めます。
スヨンは取り乱した様子でスミの手を振り払って立ち去ります。

スミは怒りに任せてウンジュの元に行き、お前何しとんや!と怒鳴りつけます。
「悪いことしたらおしおきするのは当たり前やろ、お前も嫌だろうけど私も嫌なんや!残念ながらわしはお前らの母親になったんやで!」的なことを言い返すウンジュ
そして急に憐れむような目つきでスミを見て、「まだ病気が治ってないのね」と言います。怒ったスミはテーブルの上のティーポットを破壊。

父親がそれを聞きつけてキッチンに向かうと、スミが1人で泣いておりました。大丈夫かと肩に手を置いた刹那、スミはそれを振り払います。
しばらく言い争いをした後、スミは父親に言います。

「これから起こる忌まわしいことの責任は、パパが取ってよね」


週末叔父夫婦が訪れ、姉妹抜きで食事をしていました。
父親、叔父夫婦共に葬式のように静かに食事をしていますが、やっぱりウンジュは空気読まない子。
壊れた人形のようにケラケラ笑いながらマシンガントークです。

そんなウンジュを不快そうに見ながら食事していた父親たちでしたが、突然叔父の奥さんが心臓発作を起こして倒れました。
それを見たウンジュまで、激しく取り乱して叫び声を上げました。うるせぇのなんのって。

叔父の処置で一命を取り留めた奥さんは、帰りの車の中で叔父に衝撃の告白をします。
「流しの下に、血まみれの女の子が居たわ」

惚けてテーブルに座ったままでいたウンジュは、流し台の戸棚がひとりでに開くのを目撃します。駆け寄って何事かと確かめます。
床に花の飾りがついた髪留めが落ちているのを発見し、しかも背後に異様な気配を感じました。振り返ると、そこには緑色のドレスを着た少女が。


取り乱したウンジュは父親に「あの子たちが来てから変なことが起こる」と訴えますが、父親はそれを適当に流し、とにかく休めと言って部屋を出ていきました。

ウンジュスヨンの部屋に行き、そこにあった写真を見つけます。
写真に写っていたウンジュの部分を破り取り、彼女の顔の部分をボールペンかなんかで黒く塗りつぶした物が散らばっています。

激怒したウンジュスヨンの眠るベッドの布団をはぎ取りますと、なんと彼女が飼っていた小鳥の死骸があるじゃないですか!
いよいよマジギレのウンジュスヨンにつかみかかって暴力暴力。そのまま引きずって部屋にあった箪笥(タンスというよりクローゼットみたいな作りです)にスヨンを閉じ込めてしまいました。

泣いて叫ぶスヨンウンジュはお前らには罰が必要なんや!と怒鳴り散らして立ち去りました。

眠っていたスミはやっと目覚め、異変に気付きスヨンのもとへ駆けつけます。助け出した妹を抱きしめるスミ

そこに父親がやってきて、お前はどうしちまったんだとスミに訪ねます。スミは、あの女がスヨンをいじめるのが悪い!と言い返しますが、父親は怪訝そうな顔。

「スヨンは死んだじゃないか」

取り乱す姉妹。スミスヨンに掴みかかり、んなわけないよな!?と揺さぶりますが、スヨンはただ叫ぶだけでした。

場面が変わり、ウンジュがサンタさんが担いでるような大きな布袋を引き摺りながら廊下を進んでいました。その袋は赤黒く染まっています。
ふいにウンジュは近くの棒切れでその袋を激しく叩きます。するとスヨンの叫び声が。

その声で目が覚めたスミ。おや、さっきのは夢かしら?
部屋の前には父親からの「外出するで」というメモが。
胸騒ぎがしたのでしょう、スミはスヨンの部屋駆けつけましたが、何故か扉にたくさんの釘が打ち込まれており、開けられません。

ふと足元を見ると廊下には血痕らしきものがあり、それをたどって行くとあの大きな袋にたどり着きました。必死にそれを開けようとしますが上手くいかず、ハサミを探しにいくスミ

ハサミを見付けて戻ると、袋は場所を移動しており、納屋の箪笥のなかに入っていました。スミはそれを触ろうとしますが、触れる瞬間袋は大きく身震いします。


袋を開けようとするスミが振り返ると、そこにはちゅんちゃんに熱したヤカンを片手に、ウンジュが立っていました。あれね、沸騰したらピーピーなるやつ。

「お前ら家族にはうんざりやでほんま」そうブチ切れた彼女はスミに掴みかかり、揉み合いの末にスミウンジュの手をハサミで突き刺します。それでもめげないウンジュに引っ張られ、スミは頭を強くぶつけて気を失いました。


ぐったりしたスミを廊下に引きずり出した後、ウンジュは大きな石膏像を持ってきます。「お前は本当の恐怖を知ってるか?」と語りかけ、
「助けて」
と呟くスミに「お前を私が助けてやる」と答えます。
そして石膏像を持ち上げ、スミの上に落とそうとするところで場面が変わります。


次の場面では父親が帰宅したところです。父親はスミが石膏像の破片の中に倒れているのを見付けます。

部屋の中が散乱しているのを見て驚く父親。タンスの中には、あの袋と、その中に人形がありました。

リビングに座ってぼんやりしているウンジュに、父親は錠剤を渡して飲むように言います。アイメイクもボロボロでパンダです。美人が台無しやで。
その後父親は部屋から出ていき、入れ替わりにウンジュが入ってきました。................あれれ!?

我がウンジュぞ!?と驚いている彼女に向かって、やってきたウンジュ「スミ」と呼びかけました。そう、さっき暴れてたのはウンジュではなく、スミでした。


最初から、スミ一人でした。そしてウンジュだと思っていた人は、全てスミだったのです。
夫婦のベッドに寝ていたのも、鳥を殺したのも、叔父夫婦との食事中壊れたように笑い続けていたのも、スミでした。

父親とウンジュが見守る中、スミは錠剤を飲み干します。

場面が変わり、精神病院。病室のベッドに座るスミに、ウンジュが語りかけます。
「また来るわね」と言って立ち去ろうとするウンジュの腕を掴むスミ
ウンジュはなかなか離そうとしないスミの手を無理やり振り払い、立ち去りました。


帰宅したウンジュはダイニングのテーブルに座り、じっと何かを考えていました。
場面が変わり、回想シーンです。
ダイニングにはスミスヨンウンジュと父親、そして叔父夫婦が居ました。

何やら食事をしたがら話し合いをしていた様子で、腹を立てたスミが食器を乱暴に置いてその場を立ち去りました。
残されたスヨンを睨みつけるウンジュは、八つ当たりのようにその手からフォークを奪います。

部屋に逃げ帰ったスヨン。泣いてるところにやってきたのは、黒い服を着た彼女の母親でした。泣きつくスヨンの頭を撫でながら、母親も静かに涙を流しました。


回想シーン終わり、ダイニングで頭を抱えるウンジュでしたが、2階の物音に気付いて立ち上がります。
向かった先はスヨンの部屋。何故か震えるほど寒いその部屋の電気をつけると、カーテンから一瞬髪の毛が垂れているのを見ました。
恐る恐る部屋に入り、カーテンを開けますが何もなし。

しかし次の瞬間、部屋の電気が消え、そこにあった箪笥の扉が音を立てて開きました。ウンジュは寒さに振るえながら箪笥の前まで行き、開きかけていた扉を開きます。

箪笥の中の布団の隙間から何かが出ていることに気付き、ウンジュはそれを引っ張ります。
すると、そこから真っ黒な、なんか焼け焦げた感ある姿の少女が這い出してきました。透明なよく分からんネバネバした液体まで垂れてきます。うえぇ。
驚いて腰を抜かし、大きな悲鳴を上げるウンジュ。

さて再び回想シーン。
母親に慰められながら寝落ちしていたスヨンは、目を覚ますと母親の姿がないことに気付きます。タンスの扉が開いており、不思議に思った彼女は歩み寄り、タンスの扉をあけました。

タンスの中で、母親が首を吊って死んでいました。

取り乱したスヨンは、母親の亡骸を引っ張りだそうとしますが、タンスが倒れて下敷きになってしまいます。

物音に気付いたウンジュが部屋に来た時には、まだスヨンは生きていました。タンスの下でもがく彼女に驚いてウンジュが後ずさると、近くに置いてあった写真立てにぶつかって落としてしまいます。
その写真には、いつだったかウンジュの前に現れた、緑色のドレスを着たスヨンが写っていました。

ショック状態のウンジュは、スヨンを助けずに部屋を出ます。廊下で外出しようとしていたスミと鉢合わせし、軽く言い合いになります。

「お前はこの瞬間を一生後悔するかも」と言うウンジュに対し、「てめーの顔を見ることが最大の後悔やで」と言い残して出かけるスミ

「助けて、お姉ちゃん」と呟いてスヨンが息絶える瞬間、スミは呼ばれたような気がして振り返ります。
しかし、2階のバルコニーでは鬼婆が睨みつけていたため、再び背を向けて歩きだしました。

現代に戻り、湖の船着き場に一人腰掛けるスミを背景にエンドロール。


感想

やべぇ。見応えやべぇ。

結局スミはぶっ壊れてウンジュになり切ってたわけだけど、劇中のどこまでがスミのウンジュで、どこまでが本物のウンジュだったんだろ?
いや、多分全部スミだったのかも。

色々と考えるのが楽しいストーリーでした。

にしても、ウンジュは途中から「もしかして良い奴か?」となったのに、最後の回想シーンでやっぱクソアマだってことがよくわかりました。女ってやつはなぁ!せめて助けろよ!

姉妹の母親は、父親に浮気されて捨てられる所だったのかもしれませんね。おそらく追い出されそうになってたのかと。

ってことは父親が一番の悪者かぁ!クソが!(笑)


いやー、非常に面白かった!
そして女の子めちゃくちゃ可愛かった!

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