「模倣霊」を観たよ
3歳か4歳かの時、朝は父に起こされて保育園に通っていました。
父が私を起こす際、私のパジャマを捲って口をつけて、「ぶーーっ」と息を吹いて変な音を出してじゃれてました。
ほら、曲げた肘の内側に口をつけて息を吹くと、変な音出るでしょ。あれを腹でやってた。
私、それが普通だと思ってたんです。子供だったからね。子供だったから!
だからある日、地域の子供会の集まりでそれをやったんです。小学校一年生の兄と、その友達に混ざって、3歳か4歳かの私が遊んでました。
兄の友達の一人を、なんの流れかわからんけど皆でくすぐって遊んでたんですけども、テンションが上がった私はその子の服をガバッと捲って、「ぶーー!」とやったんです。
兄含め、その場にいた子供が「え........?」と、驚いて私から身を引きました。
今思い出しても頭を抱えたくなるほど、みんな気持ち悪そうな表情をしてました。
兄も普段家でよく「ぶーー!」てしてたのに、なんか死人のような顔してました。
「なにやってんの........?いけだちゃん........」
兄の友達の1人が呟きました。「いつもうちでパパがしてるから、楽しいことだと思ってやったの」と答えました。
「でもそういうことはおうち以外の人にはしない方がいいよ」
三つ編みの女の子でした。気持ち悪そうに唇を歪めながら、私の顔を覗き込んでそう言いました。
子供すぎて理解できない、謎の緊張感が分かって、私は怖くて泣いてしまいました。
大人の真似をして、色んなことを学んで、たまに失敗して人は大きくなるんですね........。
思い出す度に「あーー!」って言いながら顔をおさえて蹲りたくなる。つらい。なんで未だにこんな細かく覚えてんだろう。
今日は「模倣霊」を観ました。
2017年公開の韓国のホラー映画です。
ざっくりあらすじ
夜中の山道を、一台の車が猛スピードで走っています。乗っている男女は何か取り乱している様子。
どこかへ向かう途中彼らの車は犬を轢いてしまいました。運転していた男はそれを掴むと、車のトランクを開けます。
トランクの中には猿轡をされた女が。気にせず犬を投げ込む男性。
車は目的地に着きました。そこは何かしらんけど洞窟っぽいです。入口がレンガで塞がれてます。
そこで男性はトランクの中に居た女を殺害し、洞窟の入口のレンガを壊して中にポイーっとします。
ポイーっとする際、鈴やら御札やら付いたしめ縄が張られて居たのを無理やり引きちぎったのですが、なんやろ、絶対それあかんやつやん。
よっしゃひと仕事終えたで、とその場を立ち去ろうとする男女。その背後にかけられる声。
その声は先程ポイーっとした女性の声でした。
その他にも、ついさっき男女がした会話や犬の鳴き声などがザワザワと聞こえてきます。あらやだ怖い。
次の瞬間、洞窟の前に居たはずの男女の姿は消えていました。
その後〜
山の中にあるいい感じのペンションに、とある家族が引越してきます。
獣医の夫・ミノ、妻・ヒヨン、5歳くらいの娘・ジュニ、ミノの母・スンジャの4人家族です。
この中で物語のメイン人物はヒヨンです。
子供はジュニだけですが、実はもう一人息子のジュンソがいました。しかし5年前に行方不明になっているため、ここには居ません。
ミノはジュンソが行方不明になったことで少し精神的に不安定になり、街中でも似たような背格好の男の子を見つけると取り乱すレベルです。病院行った方がいいのでは。
さて、一家がペンションに引っ越したのはミノの母であるスンジャの療養のためです。
スンジャは結構な高齢で、だいぶ痴呆が進んでいました。ヒヨンが話しかけても反応せず、引越してからずっと森を眺めているだけでした。
でも娘のジュニに話しかけられると反応します。昔亡くなったお姉さんだと思っているようです。
ある日、飼い犬が行方不明だという姉弟がやってきました。ヒヨンは彼らから犬の写真つきのビラを受け取り、大変やなあと励まします。
ちなみに、冒頭で男女が乗った車に跳ねられた犬です。
その後、姉弟は帰ろうとしますが弟のほうが「森からうちの犬の声がするぞ!」と言い出します。2人は森の中へ。
あの洞窟を見つけて、姉が中を覗き込むと何者かに引きずり込まれてしまいました。
が、すぐに脱出した姉。姉弟はヒヨンの元に助けを求めに走りました。
ヒヨンと夫のミノは、姉弟と一緒に洞窟に向かいました。
姉弟とミノが洞窟の様子を見ている間、ヒヨンは近くにあった手鏡を見つけました。テープが巻かれている手鏡を不思議に思い、一枚一枚剥がしていくと、鏡に写った自分の後ろに、赤いワンピースを着た少女が立っているのを発見します。
お前どないしたんや?名前は?家はどこや?と問いかけるも怯えた様子で答えない少女。泥やらで汚れた姿の女の子は、なんだろう、すごい守りたくなる何かがありました。
以下ネタバレ
ネタバレ注意
女の子の正体
幽霊です。
あの洞窟に住むと言われている「声真似をして人を惑わせる妖怪」を崇め奉る祈祷師の娘でした。祈祷師は妖怪に気に入られたらしく、妖怪と同化したような奇行を繰り返すようになります。
そこら辺の家の飼い犬を殺して食べたりね。
妖怪と同じく声真似ができるようにもなりました。
祈祷師は妖怪へ祈り、自分の血も捧げたりしましたが妖怪は満足せず、「色々じゃんじゃん持ってこい」と祈祷師に要求し続けます。
ある日祈祷師は娘を壺かなんかにぶち込んで、それを妖怪に捧げました。
その後祈祷師と娘は行方不明になりました。そして村人が一人、また1人と姿を消すように。
親子は妖怪の下僕となり、村人を生贄としてさらっているのだと言われていました。
ヒヨンが見つけた女の子はその娘です。
最初は喋らなかったのですが、ヒヨンや娘のジュニの会話を聞いて、それを真似するように喋りだします。
女の子が名乗った名前はジュニ。ヒヨンの娘と同じ名前です。
最終的に祈祷師も現れて家族が攫われるなど、まぁ色々わちゃわちゃしてきます。
感想
こっわ。
そんで女の子可愛い。
ヒヨン役の方は以前紹介した「箪笥」という映画でも出ていました。あれでは派手な出で立ちでしたが、こちらでは大人しめな格好でしたので、最初気付かなかったです。
怯える祈祷師の娘に、ヒヨンが優しく手を差し伸べたら噛み付かれたシーンがあったのですが、あの瞬間頭の中で「痛くない........痛くない........」とナウシカの声が再生されたのはきっと私だけじゃないはずだと思ったw
祈祷師の娘は、逃げた自身の母親をずっと待ち続けていたとのことなので、やはり母親が欲しくてヒヨンに懐いたのかなと。悲しい話ですけど。