サビアンシンボルと二十四節季ー小満
今年は5月21日から小満に入ります。江戸時代の『暦便覧』によれば「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されていますが、秋に蒔いた麦の穂が育つ頃にあたり、その出来具合に「少し満足する」、一安心するという時の実感から生まれた言葉だそう。
麦は二毛作の作物で、秋から冬に種を蒔く秋(または冬)小麦の収穫は夏から秋。春に種を蒔く(春小麦)は初秋から冬にかけて収穫します。俳句の季語となっている、麦秋と呼ばれる季節は初夏で、冬小麦が青々と確実に実っていく時期となっています。
端陽 相州道中 張 問陶
(たんようそうしゅうのどうちゅう ちょうもんとう)
杏子櫻桃次第圓 きょうしおうとうしだいにまどかなり
炎涼無定麥秋天 えんりょうさだまることなしばくしゅうのてん
馬蹄歩歩來時路 ばていほほらいじのみち
照眼榴花又一年 めをてらすりゅうかまたいちねん
杏やサクランボがしだいに丸みを帯び
暑かったり涼しかったり、定まらない麦秋の時節
馬に揺られて一歩一歩来た道を進めば
鮮やかなザクロの花が目に映り、ああ、また一年過ぎてしまったことだ
今年は梅雨入りが早いそうですが、蒸し暑い日があれば小雨が降り肌寒い
日もあって、朝になると何を着ようかと迷う人も多いのでは?
200年以上前の張問陶の時代でも、同じような時節だったのですね。
八百屋の店先やスーパーの野菜売り場では、夏野菜がいよいよ彩鮮やかに
並び、6月になれば梅やサクランボを皮切りに、甘く香り高い果物が登場します。ちなみに、この詩には柘榴の花が登場しますが「紅一点」の由来となったのは、王安石が柘榴の花を「万緑叢中一点紅」と詠んだので、とされています。柘榴は麦秋と並ぶ初夏の季語でもあります。
占星術では、この時期は双子座1度から15度で、サインの前半に当たります。
サビアンシンボルの1度から15度までを、ジョン・ルディアは“発見”の
シーン、サビアン研究会主宰のSUGARさんは“熱中“のスパンとしています。
双子座1度のサビアンシンボルは「グラスボートが海中の驚異を明らかにする」。いよいよ豊かになっていく自然の広がりに目を注ぎ、6度「石油を掘る労働者」で希望の対象を掘り下げ、さらに11度「体験における現実主義の新たなる道」のように夢と現実のすり合わせから新しい方向を見出し、15度「会話をしているオランダ人の子供」、つまり夢(理想)と現実のせめぎ合いを検証するという流れになっているのではないでしょうか。
双子座前半には、人がよりエッジの立った個性を作り上げるプロセスを感じます。