映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
1995年/製作国:日本/上映時間:85分 アニメーション作品
原題 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
監督 押井守
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
西暦2029年、日本。
高度に発達したネットワーク社会において多発するコンピューター犯罪やサイバーテロなどに対抗するため結成された非公認の超法規特殊部隊「公安9課(通称《攻殻機動隊》)」。
ある日、某国情報筋から国際手配中の凄腕ハッカー・通称「人形使い」が日本に現れるとの情報が9課に寄せられる。隊長の草薙素子と9課の面々は人形使いの追跡を開始するが……
レビュー
主人公、草薙素子(以下:少佐)に、クールでありながら艶と温もりを纏う個性的な声で生命を吹き込み続けてくれていた声優の、田中敦子が亡くなった。
本作の初見は20歳前後、そのスタイリッシュな映像と言葉の世界に、一気に引き込まれた。
その頃の私は何もかもが空っぽで、そこへ「電脳」「義体」「ゴースト」「模擬人格」……等々、少佐の語る言葉の数々が、まるで乾いた大地に雨の降り注ぐが如く沁み込み、潤し、今もってその大地の水脈のひとつとして流れ続けている。
そしてあのラストの少佐の決断は、全身が痺れる程に感動した。
そのようなわけで本作と少佐の存在(田中敦子の声の存在)は、私にとって特別なのだ。
きっと鑑賞者それぞれの中に、それぞれの少佐の姿が、ある種のゴーストとして宿っており、そのゴーストは田中敦子というある一人の稀有の声をもって、これまでも、そしてこれからも囁き続け、鼓舞し続けてくれるに違いない。
否、制約を捨て更なる上部構造へとシフトした少佐のことだから、広大なネット世界より私たちを守護精霊のように見守りながら、永遠の生命を育みゆくのかもしれない。