映画『ぼくとアールと彼女のさよなら』
2015年/製作国:アメリカ/上映時間:105分
原題 Me and Earl and the Dying Girl
監督 アルフォンソ・ゴメス=レホン
予告編(海外版)
STORY
グレッグは、親友のアールと「名作映画のパロディ」を作る趣味(聖域)を持つ男子高校生。学校ではどのグループにも所属せず、そつなく立ち回り、アール以外とは深い関係を作らないことにより比較的平穏な日々を送っている。
しかしある日、同級生の女の子レイチェルが白血病を発症したことを母親から伝えられ、レイチェルのお見舞いに行くよう半ば強制的に指示を受け、それを渋々受諾することとなる(そのような事情を知らずに学校で意図せずレイチェルを傷つけてしまうような発言をしてしまったことの罪滅ぼしも兼ねて)。
お見舞い初日、当然ながら距離はあったものの、ちょっとした会話をきっかけに相手に対する信頼が芽生えた2人は、その後少しずつ心を通わせてゆくこととなる。しかし心を通わせてゆけばゆく程に、レイチェルの病気は少しずつ、確実に、彼女の身体を蝕んでゆくのであった……
そんな中、グレッグとアールはレイチェルのために、初めてのオリジナル作品(映画)作りにチャレンジすることとなる。
レビュー
見守っていたつもりが、実は見守られていたことに気づく瞬間が人生にはあり、そのことに気づいた時、人は成長し、優しくなり、そして強くなる。
ただ、そういった瞬間を経験するためには、まずは自分以外の命と「深い関係」を結ぶ(経験する)必要があり、そうするには相当の勇気と労力を必要とする。なぜならそれは対象に対して、ある意味、自分の命の一部を捧げる行為であるから……
また深い関係は、「癒し」や「喜び」と共に、必ず何かしらの「痛み」や「悲しみ」を伴う。それはコインの裏と表のようなもので、決して避けては通れない。
ユーモーアと他人を想う優しさに満ちた、とびきり素敵な青春映画である本作は、どのような精神状態の時に鑑賞しても、観た者を励まし、ハートを温めてくれる作品です。
そして繰り返し鑑賞すればする程に、一つひとつのシーンの豊かさとそこに込められた思い、そして監督の爆発する映画愛に癒され、元気を貰えます。
※好き過ぎて何万字でも記すことの出来る作品ですけれども、ネタバレ無しでご紹介したいため、自重します