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映画『救命士』

1999年/製作国:アメリカ/上映時間:121分
原題 BRINGING OUT THE DEAD
監督 マーティン・スコセッシ




予告編(海外版)


STORY

 麻薬と暴力が蔓延していた1990年代前半の、アメリカ、ニューヨーク 。
 フランク・ピアースは腕利きの救急救命士
 しかし彼はハードワークと、救えなかった人々に対する思いから精神的限界の境界線を彷徨っていた。
 そんな日々の中、彼の人生に変化と救いをもたらす出会いが訪れる。



レビュー

 私は子どもの頃、ニコラス・ケイジが嫌いだった。
 ヘラヘラ&ナヨナヨしたキレの無い顔がイヤだったのである。
 しかし自活するようになり、一日13~15時間のハードワークをこなす日々の中で本作と(レンタルDVDにて)出会ったとき、まるで雷に打たれたように一撃で、ニコラス・ケイジ……否、ニコケイのファンになってしまった。
 であるのだけれどたぶんそれは、本作にてニコケイが演じた主人公の心理状態と生活状況が、そのときの自分の置かれていた心理状態と生活状況にかなり酷似していたこと、そして更にはもし自分が過労によりぶっ倒れた場合は、きっとニコケイが駆けつけて救ってくれるに違いない……という妄想……、まぁ有り体に言えば「白い救急車に乗った救命士のニコケイ」が、「白馬にまたがった王子様ニコケイ」に見えてしまっていたからに他ならない。

 本作の、まるで主人公の内面を照射したかのような夜の街の光の捉え方は素晴らしく(救急車内は特に)、深夜(というかほぼ朝)に帰宅していたあの日々の街の光を、あの時の感情と共に思い出させてくれる。
 ジョー・コネリーの詩的な原作を見事に脚色したポール・シュレイダーの仕事は流石だし、音楽に造詣の深いスコセッシだけありサントラも抜群で、ニコケイの同僚を演じる俳優達も手練れ揃い(ジョン・グッドマン、ビング・レイムズ、トム・サイズモア)、ヒロインにはパトリシア・アークエット。
 文句の付けどころがない。

 生(光)と死(闇)。後悔と救済。思いやりと愛。
 傑作。
 



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