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映画『メアリー&マックス』
2009年/製作国:オーストラリア/上映時間:94分
原題 Mary and Max
監督 アダム・エリオット
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
オーストラリアに住む8歳の少女メアリーは、いじめられっ子でひとりぼっち。ある日、アメリカに住む「誰かさん」と文通をしようと思い立ち、分厚い電話帳から風変わりな名前のマックス・ホロウィッツさんを選び出し、早速手紙を書いてみる。
一方ニューヨークに住むマックスは、44歳の中年男。人付き合いが苦手な彼もまた、孤独な日々を送っていた。そんな彼のもとに、オーストラリアから一通の手紙が届く。それはメアリーとマックスの大陸を越えた20年以上に渡る交流の始まりだった……。
レビュー
5年の製作期間を経て完成したという本作は、色彩の使い方がとても素晴らしく、メアリーの世界はセピア、マックスの世界はモノクロにて描かれるのですけれども、文通にて相手から届いたものは、相手の世界の色のまま。またアクセントとして使用される「赤」は、終始良い仕事をしております。とにかくその独自の色彩が、相手の世界から届く違う世界の香りや肌触りを、感覚的に表現しており見事です。
私は文通をしたことが無いため、その感覚はイマイチわかりませんけれども、特定の誰かを想いながら記して送る手紙は(それも20年も!)、きっと特別なものに違いないと感じました。
違いを受け入れることの難しさ。しかしその違いと互いの不完全さゆえの、必要性。
受け入れてもらうことを望みつつ、孤独な人生を支え合いながら書く手紙の温かさと、かけがえの無さ。
この世界に自分を受け入れてくれる人が存在することの、幸せ。
本作はアニメーションの世界の持つ可能性と素晴らしさを、存分に見せてくれます。
物語を記し、絵を描いて、手作りで制作し、撮影して、映画にしてゆく……
ストップモーションアニメの制作は、大変な手間と労力を要する作業ではありますけれども、それに見合った価値のある芸術を生み出すことの出来る、素晴らしい世界に違いありません。
大好きな作品です。