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映画『私の想う国』

2010年/製作国:チリ、フランス、ドイツ/上映時間:90分 ドキュメンタリー作品
原題
 Mi país imaginario 英題  My Imaginary Country
監督 パトリシオ・グスマン



予告編(日本版)


予告編(海外版) ①

予告編(海外版) ②


STORY

 2019年、突然チリのサンティアゴで民主化運動が動きだした。その口火となったのは、首都サンティアゴで地下鉄料金の値上げ反対がきっかけだった。その運動は、リーダーもイデオロギーもなく、爆発的なうねりとなり、チリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがした。運動の主流となったのは、若者と女性たちだった。150万の人々が、より尊厳のある生活を求め、警察と放水車に向かってデモを行ったのだった。
それは2021年36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する。
 
 目出し帽に鮮やかな花をつけデモに参加する母親、家父長制に異を唱える4人の女性詩人たち、先住民族のマプチェ女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンなど、多くの女性たちへのインタビューと、グスマン監督自身のナレーションが観客に寄り添い、革命の瞬間に立ち会っているかのような体験に我々を誘う。

 かつてのチリの大統領サルバドール・アジェンデが始めた「永遠の改革」を捉えた世界最高のドキュメンタリー映画と評される名作『チリの闘い』、チリ弾圧の歴史を描いた 3 部作『光のノスタルジア』、『真珠のボタン』、『夢のアンデス』に続き、グスマン監督は過去の記憶と往来を重ね、劇的に変わりゆくチリを、若者と女性中心の新たな社会運動を前にして希望を信じ、かつて想像した国が実現することに願い込めて女性たちの言葉にフォーカスを当て記録した。

公式サイトより


レビュー

 本作の上映に合わせ『光のノスタルジア』『真珠のボタン』『夢のアンデス』の三部作を上映なさった映画館があり、本当に素晴らしい試みであると思いました。
 パトリシオ・グスマン監督は、一貫してチリの「政治」「歴史」そして「人々」を記録してきた信頼のおける監督ですけれども、その監督がその系譜に本作を加えたことには、大きな「意味」と「価値」があります。
 
 また「主導者のいない民衆隆起」は、現在多くの国で採用されている政治・経済の形態が「最早まともに機能しない時代遅れの産物」となっている現状を、鮮明に炙り出して見事でした。
 歴史を紐解けば、人々に幸せをもたらす政治・経済の仕組みは既に存在しており、しかしながらそれらはいつの時代も広く定着する前に、既得権益と自らの欲望のみを貪る者達により、策略(情報操作)と暴力(武力)をもってして潰されてきました。
 今、世界中の若者たちはそのことに気づき、学び、「現状のシステムはオカシイ」と声を上げ、変えてゆこうと戦っています。その戦いは直ぐに大勝利をもたらすことはなくとも、この先に必ずや大きな変化をもたらすであろうと、個人的には確信しております。
 数十年前、サルバドール・アジェンデと共に戦った人々の想いが、チリのみならず世界中の人々に受け継がれていったように。

 
 公式サイトの内容が素晴らしいので、ペタリンコしておきます。
 よろしければご活用ください。

公式サイト




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