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映画『ヴァラエティ』
1983年/製作国:アメリカ/上映時間:100分
原題 Variety
監督 ベット・ゴードン
脚本 キャシー・アッカー
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
1980年代、アメリカ。
NYのタイムズ・スクエア近くに佇むポルノ映画館「ヴァラエティ」。そこでチケット売りとして働く女性クリスティーンは来場者から向けられる好奇と欲望の視線を浴びつつ、日々仕事をこなしていた。しかしある日、1人の男性客と言葉を交わした彼女は、それ以来その男性を尾行するようになり……
レビュー
男性に「見られる側」から、男性を「見る側」へと移行してゆくクリスティーンの姿と(女性の)「視線」を通し、観る者(観客)は社会を支配している(男性の)「視線」とその背後にある「思考」へと踏み込んでゆくこととなる。
ベット・ゴードン監督が、「ポルノ」という主に男性を消費者として成り立つ文化を起点として、1980年代のニューヨークの街並み(風景)に潜む「欲望と権力の力学」とをフェミニズムの視線を透して炙り出してゆくその先に、今を生きる私たちは何を感じ、何を観るのか……
当時のニューヨークの欲望揺らめくネオンの光と色彩に、私は……
そういえば日本語では「交尾」と「尾行」は同じ音の置き換えにより構成されていて、なんだか面白い。
脚本は小説家キャシー・アッカー。撮影は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のトム・ディチロ。「ナン」役で写真家のナン・ゴールディンが出演している。
ちなみに本作が制作された1983年、日本では初めて国外の女性監督作品の公開本数が「5本」をこえたとのこと。『ヴァラエティ』は、そんな時代の作品。
※本作は制作から40年以上を経ての日本初公開となりました
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