岡 真理 (著)
出版社 大和書房
発売日 2023/12/22
単行本 166ページ
目次
内容紹介
レビュー
以下の記事 ⇩
にて記しきれなかった事について補足いたします。
4つの要点
①
まずは国連総会決議にて全会一致で採択された「ジェノサイド条約」の一部抜粋を御覧ください。
イスラエルが「ガザ地区及びその他のパレスチナ人」に対して行っているは、まさにこの条文の通りのことですけれども、劣悪な報道により多くの人々には「ハマースとイスラエル間の戦い」というきわめて限定的且つ誤った観点からしか見られておらず、パレスチナにて短期的、中期的、長期的に起きていること(起きてきたこと)が捨象されてしまっていることに大問題であると著者は訴えます。
また本書には、2023年の1~6月までの半年間に起きたパレスチナ人に対するイスラエル人の蛮行の件数が600件に達しているとの情報が記載されています。
※しかもそういった蛮行はイスラエル軍の後ろ盾の元に行われているとのこと
②
著者曰く、私たちは今起きているジェノサイドをなんとかして止めなくてはならい。そのためには表面的にではなく「問題の根本は何なのか」をしっかりと把握しなければならないと記します。きちんとした報道がなされない場合、本来であれば「声を上げていたかもしれない人たち」までもが「暴力の連鎖」「憎しみの連鎖」といった言葉に流されてしまい、「どっちもどっち」という考え方に陥ってしまうことにより、先に進むことがなくなってしまう……と。
そして「暴力の連鎖」「憎しみの連鎖」のような言葉に落とし込むような報道自体が犯罪であり、出来事を「他人事」にし、「声を上げない」「無関心」でいる側に人々を留めることになる……とも。
まさにその通りであると思います。
③
③の説明は全文引用いたします。
④は説明部分の全文引用から。
④
本書未読の方へ
本書の74~76頁『民主的選挙で勝利したハマース』、77~81頁『抵抗権の行使としての攻撃』、142~144頁『世界は何もしない』、157~160頁『西岸で起きていること』は、全ての情報が重要である本書の中でも、先入観を復してくれるという意味において、個人的にまずおすすめしたい箇所となっております。
著者の記すように、まず問うべきは「ハマースとは何か」ではなく、まずもって「イスラエルとは何か」であり、イスラエルの軍事政権がこれまでどのような犯罪を犯し、今現在どのような犯罪を積み重ねているのか、そしてその背景に長年に渡りどのような政治的問題が野放しにされてきたのかではないでしょうか。
パレスチナで起きていることは、「関係のない」他国の問題ではなく、「直接関係のある」人類の問題であると思います。