映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女【完全版】』
2009年/製作国:ドイツ スウェーデン デンマーク/上映時間:183分
原題 Man som hatar kvinnor 英題 The Girl with the Dragon Tattoo
監督 ニールス・アルデン・オプレヴ
予告編(日本版)
予告編(海外版)
STORY
レビュー
知性を用いて戦う男性ジャーナリストと女性ハッカーが手を組み、約40年もの間「闇」に隠されていた事件等に果敢に挑んでゆくサスペンスミステリー。
まずスティーグ・ラーソンの原作の完成度が素晴らしい。その上で本作の制作陣、俳優陣の文句なしの人選により、傑作が誕生した。
尚本作はその後ハリウッドにて、デヴィッド・フィンチャー監督の手によりリメイクされており、主人公リスベットのファッションに関してはハイウッド版が群を抜いて素晴らしいものとなっている。しかしそれ以外は、本作の出来がハリウッド版を上回っている(と、個人的には考えている)。
※ゆえにハリウッド版ではなく、オリジナルの「完全版」をレビュー対象に選んだ
主役の一人であるリスベット・サランデル(以下:リスベット)は、異常な記憶力を誇る凄腕ハッカーであるが、20代半ばにして社会からはほぼ完全に孤立しており、社会的なコミュニケーション能力はほぼ皆無の女性。
もう一人の主役ミカエル・ブルムクヴィストは、雑誌ミレニアムの発行責任者兼ジャーナリスト、後ろ暗い経歴の一切無い高潔な人物で、社会的コミュニケーション能力も高い45歳男性。
このコンビの存在だけでも素晴らしいのに、そこにさらにリスベットの魅力的な過去が絶妙に見え隠れすることにより、人物描写に更なる陰影が与えられ、鑑賞者は完全に主役ふたりの内面世界にのめり込んでゆくこととなる。
当然ながら2人が挑むこととなる事件の謎や真相も面白く、加えてチョイ役の登場人物達までもが一切の手抜き無しに丁寧に練られているため、鑑賞者の多くは最終的に、完全に本作の物語世界の虜となってしまう。
エンターテイメント作品として最上位に位置していながら、その社会派な内容も素敵過ぎる、最強の1本としておすすめしたい。