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恨み節をやめることにした。


ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃと私の口は余計な事を喋り続ける。

悲しいだとか、苦しいだとか、悔しいだとか、もう1年も前の事なのに、まるで、今先ほど起きたかのように、鮮明に、繊細に、情景さえも交えて、苦しさを伝えようとする。

それは無意識だった。
ただ苦しくて、不幸にならない元彼共が憎たらしくて、早く◯ねばいいのに、と毎日の様に呟いた。
その言葉一つ一つの意味なんて考えもしないで、私はただただその事実を苦しいと、一刻も早く過去の笑い話にしたくて、笑いながら話し続けた。
ずっと何か月もそれは続き、受け入れられてきたものだと思っていた。

そして幾分かの時間が過ぎた頃、彼が漸く口を開いて
「もう二度と元彼の話はするな」
と、一言だけ、言った。

普段は反論を言うことなんて殆どしないから、豆鉄砲をくらった鳩のような顔をしていたと思う。

そしてその時になって初めて、自分が傷付けて来たものの大きさに気が付いた。


ずっと恨んで来た。
ずっと悲しんで来た。
傷付いて、苦しいと一年経ってもまだ訴え続けて
友人達は飽きもせずそれに付き合ってくれるけど
一番傍で見て来た人のことを、私はきっと考えてあげていられなかった。

「もう忘れよう」

そう思った。

すぐには出来ないだろうけど。
怨みが消えるわけではないけれど。

今あるものの方がそんな感情よりもずうっと大切だから。

忘れる努力をしようと思った。



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どうでもいいけどカバー写真のコスモスは私が撮りました。青空が綺麗な日だった。

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