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3歳児だって、現実だけじゃ嫌なんだ。

 「世界の美術館」シリーズで挿絵に使いたい絵を、また見つけてしまったので、文章をアップ。アートの力は、すごい。
 
空想の世界だからこそ、楽しくなれる。3歳児だって、自分を囲む今の現実だけじゃいやなんだ。
 2歳8ヶ月でラボパーティに通いはじめたTくん。はじめてのお話は「はるかぜとぷう」。すこしづつ英日のお話の世界で楽しく遊べるようになる。そして、途中、お母さんが二人目を妊娠なさって、今までのようには、彼の思い通りにいかないこともでてきた。
 彼がいつもは大好きな英語の歌で遊ぼうとしても、何もかもいや!どうにもならない感情を抱えているように見えたときがあった。でも、そんなときも、ティムラビットのおはなしをやろうと誘いかけると、驚くほど見事に気持ちを切り替えて、お話に出てくる犬の役を、元気にとびはねてやりはじめた。
今、ここにいる自分の現実は思い通りにはならないけれど、自分以外のなにかになっているときの気持ちは晴れやかで楽しい。
 こんな幼い子だからこそ、思い通りにいかない現実を理屈で処理できない。大人なら、「また、時がすぎれば楽しいこともあるさ。」ってわかるし、「これが終われば他の楽しいこともある。」と今、わきおこってくる感情をなだめて対処してしまうこともできる。
 でも、幼いからこそ、それが出来なくて、苦しいんだ。そんなときに、こころをお話の世界に遊びに出してやることができると、ほっとするんだろうな。
 子供達がほっとする瞬間が、今の自分からお話の登場人物へ変身する時間にあった事実。それをお母様たちと、視線だけで会話しながら見守ることが出来たのは、幸せな時間。

この子達が、こんなにも真剣に、想像してお話を楽しむ理由は、現実から離れて心を遊ばせることが出来ることにあるのではないかな。
 英語のセリフなのに、さらっといえるのは、そのセリフの気持ちに同調できてるから。
 いわされてる感じでなく、聞こえてくるCDの言葉を役になってる自分がいうのは、「自然なこと、必要なこと、うれしいこと」ととらえているように見える。

 ママと一緒のクラスでお話のごっこ遊びを英日でやるメリットは?
想像の世界で遊ぶこと、自分以外のものになること、自分以外のものの気持ちになれること、それはこの子達の心の成長に大事な体験。そういう貴重な体験をするお手伝いをしているんだという意味があるから、おうちの方には、そのようにお子さんと関われることをちょっと誇りに思って参加していただければ。

 おまけの体験として、大人もふとした瞬間に、自分以外の何かになって相手とすっくと向かい合ってみると、自分とその人の間にあると思っていた関係が、ゆらゆらと変化してくるおもしろさを、大人として体験していただければ、それは、人生のもう一つの楽しみが増えたこと。願わくば、そんな副産物を、ラボから差し上げられればいいなと、思っているのです。
 
 

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