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秋谷のコミュニティで体感する、"境界"の溶かし方/ 丑田美奈子

こんにちは。Soil work コミュニティマネージャーの丑田です。主に会員さん向けの学び・交流・共創の機会を作るイベントの企画をメインに、PRやマーケティングのサポートなども担当しています。
主な勤務地は、葉山の先にある横須賀市・秋谷(あきや)の「Soil work Akiya Village」。
誰もが「最高の環境」と口を揃えるのもそのはず、海を見下ろす高台にあって、四季折々の植物と絶景のサンセットがついている。
そう、とっても気持ちの良い場所なんです。

この記事では、そんな秋谷で日々を過ごしながら感じているSoil workのコミュニティの形について、私なりの視点で綴ってみようと思います。

丑田美奈子 | Minako Ushida
Soil workコミュニティマネージャー/Staple コーポレートブランディング・PR担当
茨城県生まれ。転勤族の親に連れられ国内外を転々としながら育ち、土地やカルチャーへの関心から大学では都市社会学を専攻。駅ビルの運営会社にてマーケティング・プロモーションを担当したのち、“作る側に回りたい”とクリエイティブ会社・Konelに転職しプロデューサー/ライターとして活動。さらにコミュニティの渦中にどっぷり入るべく、同社に在籍しながら2024年4月より現職に参画。モットーは「迷ったらやってみる」。二児の母。好物は納豆・ポップコーン・柿の種。

こんな環境で
こんなイベントを企画運営したり
こんなことしたりしてます

コミュニティマネージャーという顔を持ち始めて約10ヶ月。
さまざまな職種とバックグラウンドを持つ会員さんが集まる秋谷のコミュニティには、ひとつの特徴があることがわかってきました。
それは、「あらゆるものの境界が曖昧」だということ。

この曖昧さがなんだか新鮮で心地よいので、ちょっと言語化しておこうとお思います。

昨年10月に開催した交流イベント・Soil work FESには約120人が参加した

ライフとワークの境界を溶かす

「ワークライフバランス」。もはやちょっと古い言葉だなと感じるのは私だけではないはず。
メリハリつけなきゃ、ビジネスの顔と母の顔を切り替えなきゃ、と躍起になっていた頃は今思うとちょっと辛かったように思います。(もちろん切り替えた方が良い場合もあると思うし、そこは人それぞれですが)
でも、秋谷では「ワークもライフも混ぜこぜで良くない?」というスタンスの人が多いように見えます。

夜中2時に起きて釣りに行ってから働く人、朝ジムで汗をかいてそのまま帰っていく人、夏休みに子供を連れてきて宿題やらせてる人(これは私もやった)、ベビーカー出社する人、1時間かけてすごい坂道を自転車出勤する人、キッチンで朝ごはん作り出す人
….

夏休みの秋谷はこんな感じ

シェア“オフィス”?!…と感じるほど、皆さん自由な過ごし方をしています。
子供の出入りも多くて、週に一度は誰かのお子さんに挨拶している気が。
珍しい環境に思えるけど、もともと仕事って、たとえば八百屋さんが店の2階に住んでて、親が手を離せない時は子供が店番してるみたいな、元来は生活に接続したものでした。
スーツ着て別人になって遠くに働きに行く父ちゃんが、何の仕事をしてるか子供は知らない、みたいな状況よりもよっぽど自然なんじゃないでしょうか?

ライフとワークの関係を再構築するような秋谷のスタイルは、時代を一回りして、これからの働き方の先端を行っている気がしてなりません。

サービスの提供者・受給者の関係性を溶かす

長年アパレルやレストランなど有形無形の商品を扱う商業施設で、“ザ・商売”な世界にいた私は「経済合理性の外にありそうな世界では何が起きるのかを知りたい」と思っていたのですが、この点でも秋谷はとても興味深い場所でした。

フランスの社会学者、ピエール・ブルデューが1970年代に発表した定義によると、世の中には”Economic Capital / 経済資本” ”Social Capital / 社会関係資本” “Cultural Capital / 文化資本”という3つの資本が存在するとのこと。

このうち前者2つ、「経済資本」と「社会関係資本*」が、秋谷ではじんわりと溶け合ってる感じがするのです。

*社会関係資本:人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方のもとで、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念

Wikipediaより

それを感じるエピソードをいくつか。

イベントやるよ!ってなったら会員さんが準備や設営・撤収を手伝ってくれたり、

薪が必要だとなったらそのままイベント化されちゃったり、

キッチンでたくさんおかず作ってお裾分けしたり(写真は私がやった時のもの)、

みんなでキッチンシェルフをDIYしたり、

会員さんにイベントのラーメン作りをお願いしたら、持ち寄りがどんどん増えて豪華な町中華ナイトに発展したり

イベント当日にサプライズでこんな素敵な手作り看板やオブジェが持ち込まれたり

餅つきも本格的で、とことんこだわった年始イベントになったり

どれも、これはお金を介するべきなんじゃ?という意見があってもおかしくないこと。もちろん誰かに経済的負担が集中しないような配慮はしているけど、経済と同じくらい社会関係資本に価値を感じている人たちが多いからこそ、こういうことが起きるんだろうなぁと思います。

自分や周りを豊かにしていく手段や時間は、経済合理的な土俵の外にもいっぱい広がっているんだと気づかせてくれるのです。

以前、別の地域でまちづくりのキーマンに言われて印象深かったこの一言を思い出します。
「サービスって供給者・受給者の関係になったとたん、“助け合い”という要素が消えてしまうんだよね」

供給/受給の境界が曖昧なことがコミュニティにとっていかに大切かを、秋谷で実感をもって教わったように思います。

秋谷はどこへ向かうのか

こんな風に書いていると、秋谷はユートピアなんじゃないかと思えてきますが、まだまだ進化の途中。今が100点というわけではないのです。細かい課題はあるし、それらひとつひとつに仮説を立てアクションをしてみて振り返る、という繰り返しこそがコミュニティマネジメントの核である気がしています(駆け出しコミュマネの体感ですが)。

ただ、「秋谷モデル」は人とロケーションと地域性の絶妙なバランスのうえで出来上がってきているはずで、そう簡単にほかの地域で再現できるものではないと感じていて。
でもこれからの時代、私がここで感じている“あらゆる境界が溶けたコミュニティ”の価値はどんどん高くなっていく気がしており、ここだけでとどめておいてはもったいない。
加えて、コミュニティからどんどん遠くなる都市部の人たちにこそ、その価値を体感してもらいたいけれど、それも放っておいてどうにかなるものではなくて…。

「では、どうするか?」

そこがコミュニティマネージャーの腕の見せ所。

Soil workには、秋谷だけでなく都市・ローカル・ネイチャーというさまざまな地域に拠点があり、それぞれを行き来しながら利用することも可能です。
(今後も、京都を始め各地に続々拠点が増えていきます!)

東京・日本橋や
千葉・一宮などにも拠点があります

いつかこうした拠点ごとの地域間の境界すら溶けて、さまざまなコミュニティをしなやかに行き来するようなライフスタイルが広がったら、とても豊かな世界になっていくと思いませんか?

そんなことを思いながら、今日も秋谷のサンセットを眺めてパソコンを閉じます。
これからのSoil workを、お楽しみに!

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