《連載#6》子どもの”お試し行動”対策②
こんにちは!タノ🦒です。元小学校の先生です。
昨日は大学時代の友達に会いました!
二児の父になっていた友人は学年主任になり、
一層たくましくなっていました・・・。
この連載では
塾講師3年、小学校アシスタント2年、小学校の先生7年の経験と
最新の教育情報と実践を組み合わせた
「学べる」「役立つ」「たまに面白い」教育情報を
教育現場で働く方・先生を志す方・子育て中の方向けに
お伝えします。
連載#6は、子どもの”お試し行動”②(対策編)です。
4、”お試し行動”対策
※続きなので”4”からスタート。
それでは”お試し行動”対策です。
”エスカレート現象”を起こさないための手立てです。
(1)「先手の指導」でルール化・線引き
(2)「1対1の対応」で信頼関係を結ぶ
(3)言うことを聞いた方が得だと思わせる
まず、”お試し行動”=”愛着確認行動”ということを思い出します。
根本は、信頼関係構築のための行動です。
・ただふざけている
・人を困らせて楽しんでいる
というパターンは一度横に置いて考えます。
対応が難しい”愛着の問題を抱える”子は、
「そんなことをしなくても人は自分に優しい」
「困っていたら基本的に助けてくれる」
「自分が失敗しても誠実であれば許してくれる」
という、
信頼感や絆が育っていないことがあります。
”お試し行動”を行う子どもの心理は、
”私を見て欲しい”
”自分が失敗しても認めれくれるか”
という、期待よりも不安の割合が大きいです。
だからといって、
「いいよいいよ〜」では、秩序がなくなります。
この秩序をなくさない覚悟が必要です。
(1)「先手の指導」でルール化・線引き
1つ目は、「先手の指導」でルール化・線引きするです。
「これは絶対に許さない」「この場合はこうします」
という枠を作ります。その大きさを絶対に変えない。
枠の大きさを変えて失敗したことが何度も私はありました。
すると、子どもの大人への信頼揺らいでしまいます。
この”枠の大きさを変えない”は実はすごく難しく、
そして、大事な部分です。
タノが行っている
ルール化・先引きを行う時の4つポイントです。
①絶対に許せないことを決める
→法律・人権に抵触することや命に関わることをした時
②活動が成立するための最低限のルールを決める
→時間や切り替えのけじめをつける、他人の邪魔はしない
③上記二つ以外は柔軟に変えることを伝える
→変わることはあると事前に伝える
④守れなかったときの対応をあらかじめ考えておく
→スルーする、ペナルティをかす、個別に話すなど
集団生活でも個人でも大切なのは、子どもとの間のルール。
まずは、大きくて汎用的なルールを作ってそれを主軸にします。
タノの場合は「法律や人権、命に関わる」なので、
・人を傷つける言動
・モノを盗む、壊す
・危なすぎる行動
はアウトです。
続いて、人の邪魔をするなどの行動は、
人の権利を侵害しているので、これもアウト。
それ以外は、ある程度柔軟に対応します。
そして、たまに変わることも前もって伝えることで、
「前に行ったことと違う〜」に対して
「変わることもあるって伝えたよ〜。それにこっちの方が良いでしょ?」
と切り返すことができます。
そして、意外に大切なのが④。
守れなかった時にペナルティーはあるのか?
話はあるのか?スルーするのか?
例えば、
「理科室で走る人が一人でもいたら、実験はやめます」
と言います。
で、実際に走った人がいたけれど普通に実験を継続してしまった。
この瞬間、ルールは口先だけのものとなって、効力を失います。
絶対譲れないルールだけは、必ず守ることが大事です。
(2)「1対1の対応」で信頼関係を結ぶ
とは言っても、守ることが難しい子もいます。
それと、分かっているけれど”あえて破って反応を見る”子。
この子に全体の場でかまいすぎてはいけません。
”負の強化”といって、
”お試し行動をする”
→大人が強く反応する
→もっと強い反応が欲しくなる
→”エスカレートする”
という現象が起きます。
《有効な対策は3パターン》
①気持ちは受け止めつつ毅然としてルールを伝える
②ユーモアのある返しをする
③個別の約束をしておく
具体的には、
授業中にAさんが
「先生〜ジュース飲みたーい」と言います。
①「喉渇いたよな〜」
「でも授業中は心にしまっておこう」
②「良いだろう。代わりにお年玉の準備は良いな?」
③事前に「授業中に集中が切れる時は〇〇をしよう」
「目線が合ったらこんな合図をするね」
「授業集中できたらシールを1つずつ貼ろう!」と約束しておく。
といった具合です。
①②は色々な指導の工夫があります。
大切なのは③の個別の約束です。
全体でかまってあげなくても、
「見てるよ」「できたね」を伝えることで
信頼関係を結びます。
そして、時間はかかりますが、
大人からの自立を図ります。
個別対応の時間は、あくまで自立への道です。
個別対応の時間そのものを手立てにすると
「もっと時間を費やして!」となるので、
個別対応は少しずつ減らしていくことも、
対象の子どもと約束しておくと良いです。
(3)言うことを聞いた方が得だと思わせる
これは、教育の根幹かもしれませんが、
「楽しい」「成長させてくれる」
「この人は見てくれる」
と子どもに思わせることです。
「楽しい!」と思える活動をテンポよく行ったり、
ルールができた時には「強化」を行ったりします。
※「強化」は連載#”123”を参照です。
活動自体が楽しかったり、十分意味のあるものだったりすれば、
子ども達はついてきます。
もちろん”ただ楽しいことだけしたい”では秩序がなくなるので、
”楽しさ”と”秩序”を両輪とすることが大切です。
「ルール化」「個の信頼関係」「楽しさ」
の3つが大切だと考えます。
ただ、「できたら苦労しないよ!」ですので、
次回は、すぐできる
アイスブレイクやレクの記事を書きます。
準備がいらないものから、
少しの準備で盛り上がる活動をまとめていきます。
5、まとめ
子どもに接する大人の難関”お試し行動”。
その子との関係やクラス運営において、
これにうまく対処できるかが、
最大の鍵だと思います。
「なぜ起こるのか」
「どうしたら良いか」
を考えて実践しければと思います。
でも、大事なのは、
1人で抱え込まないことです。
お試し行動やエスカレート現象があっても、
対処した1人の大人が絶対に悪いことはありません。
環境要因やその子の積み重ねも大きいです。
ゴールはうまく対処することではなく、
その子が愛着確認行動をしなくて良い位の
他人への信頼感情をもち、自立することです。
だから、効果的と思われる実践を行いますが、
みんなでその子と関わることで、
他者への信頼や愛着を育むことが大切です。
大人が1人で全てを抱え込まず、
みんなで育てることができたら良いと
心から思っています💡
今回はここまでです!
次回は#7 すぐにできるアイスブレイクやレクです。
今後ともよろしくお願いいたします!
タノ🦒でした!またね!