浦和レッズの変化をドラッガーの『マネジメント』で語ってみる

Jリーグ再開の延長が決定的になりました。。Jリーグで僕の休日は成り立ってまして、楽しみにしていたのですがリーグ戦1節、カップ戦1節しか試合が行われてない。涙


僕は浦和レッズファンなのですが、明らかに今年の方がよいチームになってます。特に大きな移籍加入がなく(レオナルドの加入は大きいが)、大槻監督も続投。ちなみに2020年開幕前の下馬評はかなり悪いものでした。
(参考:http://www.ohtashp.com/topics/toto/expect.html)

ただ蓋を開けてみると、2019年まで課題だった得点力は大幅に改善され2試合で8得点。何より選手が躍動しチームが連動し、強い浦和が戻ってきたとファンに期待を持たせるスタートになりました。

選手・監督が大きく変わらずなぜここまで変わったのか。
ドラッガー先生の「エッセンシャル版 マネジメント」にある名言から分析したいと思います。

ドラッガー


近年の浦和レッズの悪夢

2016年:2nd 優勝。勝ち点は年間1位 ※2ステージ方式であった
2017年:7位
2018年:5位
2019年:14位

2017年に6年以上監督を務めたミハイロ・ペトロビッチ(ミシャ)監督がシーズン途中解任。その後、監督が毎年途中交代し、特に2019年はかなり低迷。

ミシャ監督は「攻めの美学」の独自サッカー哲学を持っており、フォーメーションも攻めと守りで選手のポジションが異なるなど複雑でしたが、美しいパスサッカーで好成績を収めました。しかし、攻めの姿勢を貫きすぎたことで失点を重ね2017年に解任されてしまいます。

(ちなみにこれがミシャ・フォーメーション。出展:wikipedia)

ミシャ式

その後の堀監督以降も、選手の慣れ親しんだ"ミシャ・フォーメーション"を継続しますが、守りを重点的に意識させるコーチングをします。しかしそこで起きたのは、失点が多いにも関わらずゴールも奪えないという悪循環。また状況を打開してくれる選手もおらず、レッズがやりたいサッカーが何かもわからず、ファンもイライラする試合が多かったです。

なぜこのようなことが起きたのか、第7章にある「マネジメントの組織」を中心にドラッガー先生の言葉を引用し分析します。

「戦略を変えれば組織構造を分析しなおさなければならない。(中略)。戦略の変更なしに行う組織改革は間違いである。あるいは、組織構造がはじめから間違っていたということである」

ミシャ・フォーメーションは攻めの美学に基づいたフォーメーション(組織)構造であったにも関わらず、その後の監督は同組織を踏襲しつつ守備意識を植え付けました。

それにより、もともとの思想・戦略に組み込まれた組織体制に相反する戦略を組み込んだことにより全てのバランスが崩れたと考えられます。
端的に言うと、「戦略と組織構造のミスマッチ」です。

戦略を変更するのであれば、組織体制も大きく変更しないとうまくいかない、ということが言えるかと思います。


2020年に行った変化

続投になった大槻監督は約10年続いていた組織(フォーメーション)と戦術を大きく変更し躍動。

ドラッガーは「組織の条件」をこう語ってます。

いかなる構造であっても組織として最低限持たねばならない条件がある。
明快さ、理解の容易さ、安定性と適応性、永続性と新陳代謝である。
(一部省略)

それでは何が行われたか。詳細の引用をしつつ、現状のレッズを分析してみます。

画像3

【明確さ】
自らの位置が分からない組織構造は、無用の摩擦、時間の浪費、意思決定などの遅れをもたらす。そのような組織構造は成果の障害になる。

複雑なフォーメーションとパスサッカーをやめ、「縦に早いサッカー」を掲げる。中盤で奪うとサイドハーフが走り出しカウンターを仕掛ける。サイドで切り崩して2トップが仕上げるという分かりやすい戦略。

【理解の容易さ】
仕事は常に具体的かつ個別的でなければならない。誰もが理解できるのは、自分の仕事を明確に定義づけし、何をすべきかおのずから明らかな仕事だけである。

現フォーメーションは山中選手曰く「サッカー選手ならだれもが経験したことが慣れ親しんだフォーメーション」。自分が必要な動き出しなど何をすべきかが明確になっている状態。

【安定性と適応性】
人にはコミュニティが必要である。自分の知っている人、自分を知っている人がおり、他の人との関係性が定着していることが必要。

昨年と選手が大きく変わらず大部分の選手がコミュニケーションがとれている状態。新加入のレオナルドも言ってましたが、「去年の選手が大きく変わってないから新加入の選手が合わせればいい」と。
また、通常よりも2週間ほど長いキャンプも実施し、意思疎通の時間も大幅に増えているはずです。

【永続性と新陳代謝】
組織は永続できなければならない。同時に新陳代謝できなければならない。組織構造は、組織内の人材が仕事を通じて学び、成長していくことを助けるものでなければならない。

ミシャ時代から続いていたことはスタメンの恒常化。これはミシャ式の戦術が複雑で、理解できる人材を登用するため人材が固定化して新しい選手が試合に出にくい弊害がありました。そしてそれは2019年まで脈々と続きました。

しかし戦術変更により、スタメン争いが起き若手も徐々に登用されるようになりました。特に杉本・汰木・山中・マルティノスといった2018~19年に加入した選手が水を得た魚のように縦横無尽に動き回っています。


組織マネジメントに大切なこと

「レッズってこんなに選手層が厚いの?」と改めて思わせる今シーズン。全てのポジションに複数の選手の競争があり、本当に楽しみです。
(守備はまだまだ不安定、、、笑)

昨年までのちぐはぐの組織よりも、選手ひとりひとりの個性が活かされており、それをどうチームとして昇華させられていくかがとても楽しみです。
いちJリーグファンとしては、早く再開してほしいっ!


最後に僕がドラッガーの好きな言葉を贈りたいと思います。

人が雇われるのは、強みゆえであり能力のゆえである。組織の目的は、人の強みを生産的に結び付け、人の弱みを中和することである。

組織は人であり、人の力を発揮するために組織があるということ。
僕自身これが実践できるよう頑張りたいと思います。


あ、あと自分、サッカー未経験者です。爆

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