ある日記「裸になったように」2024年12月25日
大きなショッピングモールに行った。カフェに荷物とコートを置いて、店外のお手洗いに向かった。少し肌寒いなと思った。途端に自分が裸になったような気がした。すれ違う誰もがコートにマフラーをしていた。僕だけが薄着でスマホも財布も持たずに歩いていた。スマホも財布も持ってくるべきだったと後悔した。
寮に住んでいた。深夜に同じ階の友達とノリでコンビニに行った。コンビニで飲み物を選んでいると、扉のガラスに自分の姿が反射した。パジャマを着ていた。自分が裸になったような気がした。寮のみんなはシャツやトレーナーに学校のジャージなどを着ていたが、僕はしっかりパジャマ派だった。コンビニの店員は制服を着ていた。見上げると湾曲した自分が鏡の中にいた。
商店街を歩いた。キャッチに声をかけられた。何も言わずに会釈だけして通り過ぎた。キャッチの視線が背中に張り付いていた。自分が裸になったような気がした。髪はジェルで固め、中身の詰まったリュックを背負っていた。商店街の出口はまだ遠かった。
混んだ電車に乗っていた。車両の中ほどに位置取って立ち尽くしていた。両脇から軽い圧力を受けた。主要な駅で多くの乗客が降りた。自分が裸になったような気がした。両隣にはさっきと同じ人たちが立っていた。鉄の棒を強く握った。
先輩から冬は裸で布団に入った方が体が温められるという話を聞いた。先輩はいつも裸で寝ているらしかった。僕は温かい毛布を持っていたので布団の寒さに困っていなかった。知らなくていい情報だった。試しに裸で布団に入ってみると、確かに温かかった。というより暑かった。布団を脱いだ。寒かった。なんだよと思ってパジャマを着た。裸でいいことなんて一つもなかった。
ハイウェイのナンバープレート抜き抜かれ後部座席で10を作った
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