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秋の敗戦から着実に成長         再び、夏の頂点へ                                       弘前学院聖愛高校

撮影・文◉工藤璃子

貴重な春に尽くしたベスト

 今春の県大会で準優勝、東北大会ではベスト4という成績を収めた弘前学院聖愛。
 この春を振り返って、主将の丸岡昂太郎(3年)は「練習試合がほとんどできないなか、公式戦という貴重な機会を経て、少しずつチームが強くなれた」と話す。
 実際、聖愛が取材日(6月21日)までに臨んだ試合の数は19で、そのうち練習試合は6試合のみ。戦い方を試す機会がないなかで「夏の大会での引き出しを増やすため、1打席でも多く、場面も一つでも多く経験させたかった」と原田一範監督。
 負けたら終わりの公式戦で試行錯誤し、自分たちのスタイルを求め続けた。

限りある時間の中で、少しでも多く練習を


勝利の裏側にあった工夫と意識

 聖愛がこの春に結果を残すことができた理由として考えられるのは2つ。まず、昨秋以降の取り組みの変化だ。
 新チーム始動後、秋の県大会初戦で青森山田に0-4で敗れたことで「自分たちは弱い」と自覚。大会後は、一人ひとりが基本的な力を身に付けるように練習やトレーニングを重ね、冬場にはオンラインでの練習を実行。
 ネットワークをつなぎ、コロナ禍で集まれずとも全体練習を行うことができたという。

コーチからマンツーマン指導を受けることも

 もう1つは、入りと最後を大事にすること。
 原田監督は日頃から選手たちに「最初と最後は人間力だ」と指導しており、試合だけでなく普段の練習でも入り(=準備)や最後(=片付け・整備)をしっかりさせている。
 春の県大会と東北大会計8試合のうち7試合で先制点を挙げたことも、先制することを強く意識していたわけではなかったというが、チームのいい雰囲気をつくるという準備を大切にした結果、流れを呼び込むことができた。
 逆に「最後はまだまだ」と原田監督。勝ちきるために強化していかなければならない部分である。

西日が差すなか、選手たちで話し合う


前回王者として挑む夏

 チームの中心となるのは5人の3年生。
 不動の1・2番である主将の丸岡と工藤遼大、中軸を担う髙木優斗は攻撃の要。自らのバットで勝利をたぐり寄せる。
 投手陣では、昨夏もエースナンバーを背負った葛西倖生とこの春 成長を見せた津川凱がキーマン。葛西はバッティングでも活躍が期待され、投打にわたり魅せてくれるだろう。

左から順に工藤、津川、髙木、葛西、丸岡

 聖愛といえば、最近話題になっている「ノーサイン野球」。
 5年ほど前から取り入れていて、名前の通り原田監督がサインを出すのではなく、選手たち自身が考え、アイコンタクトなどで意思疎通を図る。
 とはいえ、「事前の打ち合わせはしっかりしたうえで、グラウンドに立ったら自己判断でやってみよう」というもの。
 この戦い方に対する意見は様々あるが、今春の成績を見ても分かる通り、「結果はついてきているので、効果は実感している」と原田監督。
 この夏、聖愛ナインがどういう判断でプレーするのか、注目したい。

練習後のミーティングの様子

 2連覇がかかる夏、そのチャンスはもちろん聖愛にだけ与えられたもので、目指すところでもある。
 丸岡主将は「一戦一戦、チームが強くなった状態で臨みたい」と意気込む。
 冒頭で述べたように、原田監督は「実戦不足は否めない」としながらも、「対応力・適応力・応用力といった基礎・基本的な力を高めていきたい」と残り少ない期間でのレベルアップを誓った。

「Do for others」を合言葉に、いざ

※葛西選手のお名前について、「葛」は中が「ヒ」が正しい表記となります




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