自信を胸にめざす夢舞台 もっと前へ、さらなる高みへ 木造高校
壁を越えるために足りないもの
今年の春、県ベスト8入りし夏のシード権を獲得した木造。県大会は2試合とも二桁安打を記録し、爪痕を残した。
キャプテン・渡邊優豪(3年)は「打撃面で成長が見られた」と話す。昨秋の県大会で敗れて以降、トスバッティングのやり方を変えるなど、力を入れて取り組んできたことが実を結んだ。
一方で、攻守ともに「決定力に欠けた」と渡邊主将。好機でヒット1本が出ず残塁が多かったり、併殺で抑えられたところをできなかったりという課題も見えた。
今年就任したばかりの大栁孝紀監督は、敗れた準々決勝 八戸工大一戦について「経験値の差が出た」と話す。
「普段どれだけいろいろなことを想定しながらやっているのか、一球へのこだわりをもっともたなければならない」
2011年夏の青森大会でベスト4を経験したOBでもあり、同校野球部を陰ながら見守り続けていたという大栁監督。
「勘違いでもいいから、もっと向かっていってほしい。どっしり構えて自信をもっていい」と、先輩としての思いも抱きながら、日々の指導にあたっている。
2人の二刀流とムード-メーカー
中心となるのは、打線で中軸を担い、ピッチャーとしては二本柱である金澤未来(3年)と秋田谷優作(3年)。木造の絶対的な存在だ。
金澤はスピードボールとキレのあるスライダーを駆使する勢いのあるピッチャー。まだ荒削りな部分があるというが、どこまで修正した状態で夏に臨めるか。
コントロールの良さが武器である秋田谷は、丁寧なピッチングで打者を抑えていく。マウンド捌きが上手く、ピンチの場面でも自信のあるボールを投げられるという精神的な強さも。
互いに意識し合い、切磋琢磨してきた2人が勝利へ導いてくれるだろう。
そしてもう1人、このチームにおいて重要な存在が大坂優生(ゆう・3年)である。渡邊主将に中心選手を尋ねると最初に名前を挙げられた大坂は、どんなときでも盛り上げてくれるムードメーカー。
「普段から明るくていじられキャラ。ピンチやチャンスの場面で彼がなにか言うと、士気が上がります」
大栁監督も「優しくて面倒見のいい子」と話しており、皆から信頼されている。
夏は彼の口から発せられる言葉にも注目したい。
よみがえれ「津軽の暴れん坊」
4強入りした2011年を最後に、木造の夏は少し短いものとなっている。2013、19年に16強入りはしたが、他はすべて2回戦までに涙をのんだ。それだけに、今年のチームへの期待は高まっているだろう。
開幕まで残りわずかとなったが、「いつも通りに、特別なことはしていない」と大栁監督。夏の大会も「一つ一つやっていきます」と言い切る。
シード校のため初戦の相手は確定していないが、来たる夏に向け、渡邊主将は強く意気込んだ。
「どこの高校がきてもやることは変わらない。技術面も精神面もみんなで高めていき、自分たちの野球をやるだけです」
目指すは40年ぶりとなる甲子園出場。夢を見ているのではない、現実にしてみせるのだ。