「オンライン同窓会」をしながら飲んでみる （スズキナオ） 〜『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』より公開！ ①〜
こんな状況でも、楽しいお酒の飲み方はあるはず
若手飲酒シーンを牽引する人気ライターのパリッコ（『酒場っ子』）とスズキナオ（『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』）が編集、執筆を務める飲酒と生活の本『のみタイム』。
1杯目は100頁以上にわたり「家飲みを楽しむ100のアイデア」について考えました。日常を楽しくする、使えるアイデアが満載！
2020年の前半、わたしたちはこんな「のみタイム」を過ごしていました。
002 「オンライン同窓会」をしながら飲んでみる （スズキナオ）
（パリッコ／スズキナオ『のみタイム １杯目 家飲みを楽しむ１００のアイデア』より）
ここ最近、「オンライン同窓会」という言葉をちらほらと見聞きするようになった。なるほど、現実の同窓会だったら誰か言い出しっぺが面倒な役を買って出て、会場をおさえ、招待の連絡をあちこちにして、出欠の返事を取りまとめ、といろいろと手間がかかる。しかし、オンライン飲み会全盛の今となってみれば、言い出しっぺが言い出しさえすれば、誰がどこに住んでいようと簡単に同窓会が開催できてしまうのである。なにせ家にいながらでいいので、一日の全部をそれに捧げる必要もない。開催時間中に少しだけ顔を出すといったことも可能だろう。と、ここまで書きながら思ったが、「空いた時間にちょっとだけ」と言っても、そのために着替えたり、髪型を気にしたり、化粧したりしなくてはならない。オンライン上でとはいえ、久々に多くの同級生と顔を合わせることになるわけだから、ハードルの高さを感じる人もたくさんいるだろう。
幸い、私にはまったく気をつかわずに顔を見せ合える中学校の同級生がふたりいる。彼らとは長いつき合いで、一緒にバンドを組んで今でも活動しているので「同窓会」という感じでもないのだが、この機会に中学生時代のことを語り合ってみるのもいいんじゃないか。
そのようなわけで、中学時代の同級生ふたりと私、計３人でオンライン同窓会を開催してみることにした。「今日はなんなの？」「同窓会をしてみたくてね」「なんで？」とふたりとも怪訝そうにしているが、「とにかく３人が同じ中学校で出会った頃について語り合いたいんだよ！」と、納得してもらった。
友人の手元に卒業アルバムがあるというので、それをみんなでモニタ越しに見ながら話す。「〇〇ってやつ、今、税理士やってるらしいよ」「えー！ そうなの。ちょっと賢そうな顔してたもんな」「〇〇って、あの子とつき合ってたんじゃないっけ？ あの、〇〇さん」と、話し出してみれば思い出が芋づる式に現れる。懐かしいクラスメイトの名前が友人の口から飛び出すだけでおもしろい。「ああ、いたいた！ ものすごい背が高いやつ」「俺、あいつの家に遊びに行ったことあるよ」と、片っ端から思い出していくだけで時間がどんどん経っていき、気づけばだいぶいい具合に酔っていた。（ナ）
パリッコ／スズキナオ（編著）
『のみタイム １杯目 家飲みを楽しむ１００のアイデア』
2020年8月5日発売 発行：スタンド・ブックス 本体1,500円（＋税）ISBN：978-4-909048-09-7 C0095 A5変型判 並装 132p
カバーイラスト：石山さやか ロゴ：スケラッコ デザイン：戸塚泰雄
スズキナオ（編著）
1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』『メシ通』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』（スタンド・ブックス）、パリッコとの共著に『酒の穴』(シカク出版)、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ”お酒』（イースト・プレス）がある。
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