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『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』 記事の思い出 (スズキナオ) その2

朝日新聞「天声人語」でも紹介されるなど話題となり、現在までに5刷と大好評の『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)。

著者・スズキナオさんが、収録の全6章29編についての思い出を語ります。

各章ごとに6日連続公開、第二章です!

(第一章はこちら)

第2章 今、自分が居心地いいと思える場所を探して、少しでも長くその空間を味わって記憶しておけるように、きっとこれからも歩き回るのだーー店


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⑤ 芝田真督さんと変わりゆく神戸の町を飲み歩く

私が神戸で好きな店は、ほぼ全部が芝田真督さんと平民金子さんと安田謙一さんの真似。その方々の本を読んで知ったものだ。書籍ができあがり、芝田さんにお渡ししに行った際、新開地の酒場「丸萬」でお酒をご馳走になってとても嬉しかった。

ーー芝田さんは古いお店がどんどんなくなっていくのをずっと見てこられたと思うんですが、それについてはどういう思いがありますか?
「やはり古いお店がなくなっていくのは寂しいですよ。神戸がどこにでもある地方都市のひとつになっていくなという気はします。でも、しょうがないんですよ。どうしたって消えていくんですからね。行政の人が考えることは、私たちが望むようなものとは大抵違いますから、自分の思うような町になんかなっていかないです。諦めの境地(笑)。ですから、これはノスタルジーでもなんでもなく、古いお店には、行けるうちに行って、見ておいて欲しいですよ。神戸でも大阪でも、きっとこれからどんどん古い物がなくなっていくでしょう。どうか、行けるうちに行ってください。それだけです」(93p)

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記念写真を撮らせていただく(「喫茶 おもいつき」)

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芝田さんもご満悦である


⑥ 71歳のおじいちゃんが作るハンバーガーは全国3位

つい先日、福岡に行った知り合いから「今も絶賛営業中ですよー!」と画像が届いてホッとした。「あと10年は頑張ります」とおっしゃっていたそうである。また食べに行きたい。

早速かぶりついてみると、まず驚くのはサクッと心地よいパンの食感。そしてハンバーグの、鬼の、いや仏のような柔らかさ。ふわっとして肉汁があふれてくる。そしてウィンナーのパリッと感とキャベツのジャキッと感。ひと口の中にあらゆる食感があるような、たまらないうまさである。そこからは無心となって一気食いだ。(100p)

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分厚いお肉が挟まっていておいしそうだ

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今崎さん、いつまでも元気でがんばってください!


⑦ 本当に営業中なのかわからない食堂「伊勢屋」のラーメンがうまい

この記事がネット上に公開されて以来、知人が「ああいうお店、見つけましたよ!」と“伊勢屋系”のお店を探して教えてくれるようになった。

「わー! すごい建物! このお店がまだ営業している頃に来てみたかったな」と思いながら写真を撮ろうと構えて、はたと気付いた。ここがまさに目的地の「伊勢屋」なのだ。(103p)

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圧倒的なものを感じさせる外観

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「きつね丼」は刻んだ油揚げとネギがのったもの


⑧ 東京ラーメン遺産 「福寿」の店主に会いに行く

WEB上にアップされた元記事を大好きな石野卓球さんが読んでくれたり、岸政彦さんが読んでくれたり、大将の魅力のおかげで私が得した気分になった。その後、念願の上五目ラーメンも食べることができた。気軽に東京に行けるようになったらすぐまた食べに行こう。

「昔さ、高度成長期の頃、神武景気だとかいって大人が一所懸命働いてる時代があったわけ。親が忙しくて子どものご飯作ってる暇もないわけ。そういう時に、子どもにお金渡して『あそこでラーメンでも食べておいで』ってうちに行かせるの。どうしてかっていうと、うちはお酒を置いてないからさ、酔っ払いがいないわけ。だから子どもがひとりで行っても平気だっていうんでさ、そういうふうに使ってもらってたから、アルコールは置いてないのよ」(120p)

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「これが最後の写真かもしれないから」とポーズを決めてくれた

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丼の底の「日本一」の文字は完食のご褒美


⑨ 廃車になったバスの中で絶品の和歌山ラーメンを食べてきた

文末にもある通り、突如閉店してしまった「山崎食堂」。有言不実行な私は一度しか食べることができなかった。元店主の和美さんにはその後連絡を取り、今もお元気であることがわかっている。

和歌山県が好きでよく県内をドライブしているという友人から、「動かなくなったバスの中で営業しているラーメン屋さんが和歌山にいくつかある」という話を聞いた。
その友人が和歌山の魅力にハマっている理由は、県内をくまなく探訪すればするほど和歌山にしか見付からない独特の文化に行き当たるからだそう。その「バスラーメン」も、和歌山独自のものなのだろうか。(123p)

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おいし過ぎて悲しいような顔になる

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バスの入口にかかる「中華そば」ののれんが素敵


(第3章へつづく)

 『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』店舗限定購入特典ペーパーのための書き下ろしに、大幅に加筆・修正を加えた。


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