レゴで飲む (パリッコ) 〜『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』より公開! ② 〜
こんな状況でも、楽しいお酒の飲み方はあるはず
若手飲酒シーンを牽引する人気ライターのパリッコ(『酒場っ子』)とスズキナオ(『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』)が編集、執筆を務める飲酒と生活の本『のみタイム』。
1杯目は100頁以上にわたり「家飲みを楽しむ100のアイデア」について考えました。日常を楽しくする、使えるアイデアが満載!
2020年の前半、わたしたちはこんな「のみタイム」を過ごしていました。
030 レゴで飲む (パリッコ)
(パリッコ/スズキナオ『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』より)
池袋で会社員をしていた頃、昼休みに立ち食いそばをすすればもうすることがない。そこで常に、無駄に街を徘徊していた。「ビックカメラ」なんて最高の暇つぶし場だ。いったん最上階まで行って下りながら、家電や最新のガジェットなどをあれこれ眺めては、「フーン」なんて言っていた。
途中におもちゃ売り場がある。そこにどーんとディスプレイされ、大きく売り場展開されていたのが「レゴ」だ。忍者屋敷や海賊船、はたまたお姫様のお城など、それはもういろんなジャンルの、子供が無条件に飛びつきそうなラインナップがずらり。そのなかで妙に惹かれたのが、「レゴクリエイター」というシリーズで、海辺に建つ小さなビーチハウスが3パターン作れて2000円ちょっとのやつが急に欲しくなった。しばらく悩んだのち、買った。
家に帰ってさっそく開封し、ついでに缶チューハイも開封し、飲みながら1パターン目の家を組み立てる。プールの横にデッキチェアを置き、そこに人形を配置する。可動式のサイドテーブルには、酒に見立てた透明の丸いブロック。これが、想像以上に楽しい。
数日間はこのハウスを眺めながら飲んでいるだけで満足していたが、そろそろ次の段階だろうと、いったんバラす。そこで僕は、さて2パターンめのハウスに……とはならなかった。いきなりフリースタイルレゴの世界に突入だ。実は、もうたまらなくなって、全部で583ピースのいろんなかたちのブロックが入った「レゴ クラシック アイデアパーツ〈エクストラセット〉」を買ってしまってある。これも2000円程度だった。もともと増築に増築を重ねたような古い酒場が好きだったりするから、オリジナルの「増築酒場」を夢中で作りはじめる。ここに窓をはめて、2階へと続くハシゴの先にドアを配置して、トイレはあえて「はなれ」にするか……。
完成したオリジナル酒場を眺めながら、自分がそこに入り込んだような気持ちで酒を飲む時間は、あまりにも至福だった。(パ)
パリッコ/スズキナオ(編著)
『のみタイム 1杯目 家飲みを楽しむ100のアイデア』
2020年8月5日発売 発行:スタンド・ブックス 本体1,500円(+税)ISBN:978-4-909048-09-7 C0095 A5変型判 並装 132p
カバーイラスト:石山さやか ロゴ:スケラッコ デザイン:戸塚泰雄
パリッコ(編著)
1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『酒場っ子』(スタンド・ブックス)『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)『ほろ酔い!物産館ツアーズ』(ヤングキングコミックス)『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、スズキナオ氏との共著に『酒の穴』(シカク出版)『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)『“よむ”お酒』(イースト・プレス)など。