ハイブリッド社内巻き込み大作戦(前編)
どうも、金さんです。
『営業が強いB2Bメーカー』になるために、その手段としてSaaS ツールの中で、名刺管理システムの候補として Sansan を入れたいと思うようになりました。
今回は、実際の導入までの経緯を書いていきたいと思います。
『ハイブリッド社内巻き込み大作戦』と銘打っていますが、実際はとてもスマートなものではなく、てんやわんやな、とりあえず、進みつつ、壁にぶつかりつつ、できることはなんでもやった、そんなドタバタ劇でした。
それでも、「会社を変えるきっかけとして、ツール導入をしたい!」と考えるあなたの参考になれば幸いです。
前回記事はこちら。
※特にこの記事は、Sansan さんとコラボしているわけでもないので、個人的な感想となっていますので、その点、ご理解くださいませ。
sansan、それは本当に名刺管理ツールなのか?
「それ、早く言ってよ~」
名刺管理ツールがどんなものか?社内で認知してもらうために、スモールスタートとして、Sansan 株式会社が運営する「Eight Teams」を少人数で使い始めていました。
その結果、一定の成果を得たものの、更なる効果と機能を期待して、sansan に関心を持ち、営業さんに話を伺いました。
その前に、少し「Sansanってどんな会社なの?」って方に紹介します。
Sansan株式会社は、「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとして掲げ、営業DXサービス「Sansan」、インボイス管理サービス「Bill One」、契約DXサービス「ContractOne」を展開する企業。
名刺管理サービスとしては、国内市場において導入企業7000社、シェア82%で6年連続1位という企業。
会社サイトを見たときに、特にそのミッションに惹かれました。
「出会いからイノベーションを生み出す」
小学生の時から、何かとの出会い、大学時代は人との出会い、「出会う」ことで、自分の人生が形作られてきて、自分の今の原点は、特別な出会いで成り立っていると心の底で強く感じていました。
自分の人生観とこのミッションがバッチリ嚙みあったので、サービスの内容次第ではあるものの、もしもご一緒できるのであれば、長く付き合えるのではないか?と感じた次第です。
そんなこんなで、Eight の営業担当者から Sansanの営業担当者を紹介してもらい、サービス内容を一通り説明してもらった後に、概要の提案を受けました。
ただ、その中で、気になったことがありました。
「基本は、全社員にアカウント付与」
…
…
…
「それ、早く言ってよ~。」と心の中で叫んだ一瞬でした。
「営業DXサービス」というカテゴリ
Sansan のサービス内容を聞けば聞くほど、「これ、名刺管理ツールじゃなくね?」って思い始めました。
名刺管理ツールとしての機能
名刺読み取り精度:99.9% 保証
※OCR(AI)+オペレーターによる手入力名刺情報から同一人物を選定する「名寄せ機能」
タグによる一括管理機能
11か国語の多言語対応
【対応言語】日本語・英語・中国語(簡体字/繁体字)・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・インドネシア語組織や人物の情報を付与(人事異動/ニュース配信)
・外部ソースと組み合わせて、個人別の経歴情報の付与
・帝国データバンク等の連携による組織情報の付与名刺分析(β版機能)
オンライン名刺交換機能
コンタクト機能(電話や打ち合わせの情報入力可能)
案件管理(各案件の詳細情報の入力可能)
メール一括送信機能(メルマガ機能、1on1メール配信など)
初期導入時における過去名刺取り込み委託
(Sansan に名刺送れば全て過去名刺は取り込んでくれる。)
これを見た時に、まずは単純に「ハイスペックすぎじゃね?」と思ったのが、懐かしい。(当時は、2022年5月頃)
特に、「名刺読み取り精度 99.9% 保証」。
他の名刺管理サービス(9社)と比較しましたが、「極めて高精度!」「99%以上の精度!」と他社さんの売り文句に対して、「保証」しているのは、Sansan だけなんですよね。
99%であれば、100文字に対して、1文字間違うということ。
名刺の情報量は多いので、もしそれがメールアドレスなどであれば、アドレスを再入力しないといけないという手間が発生します。
名刺情報のメンテナンス(再入力)などを極力排除することで、ストレスなく、使うことができる、そういったユーザーの負担を無くそうとする姿勢をとても頼もしく感じました。
ツールを入れることによって、新しい負担(付帯業務)が発生する
これは、DXへの道にあってはならないことなので、こういう部分、自分はすごく気にするので、ここについては、自分の中で刺さった機能でした。
他にも、多言語対応や名寄せ(同一人物であれば、情報を統合してくれる)、上場企業などの新しい異動情報などが反映されるので、情報が常にアップデートしてくれるような機能。
名刺交換をした企業(つまりは、顧客や顧客候補)に関する理解を深めさせてくれる機能がたっぷりでした。
もはや、この時点で、あれ?名刺管理どころのサービスではなくね?と思い始める自分。
営業DXサービス
Sansan さんは、コロナ禍で名刺交換の機会が減った社会で、サービスの方向を再検討したようです。従来の名刺管理サービスから脱却し、営業DXサービスへ方針を転換、それに伴い、すごい機能が実装されていました。
営業DXサービスへの転換秘話はこちら。
この記事読んで、単純にこの記事に出てくる加藤さんとお会いしたくなりました。めっちゃ会いたい!(今の野望が、中小企業において、Sansanを活用した、成功リーディングカンパニーになって、なんとしてもお会いできる機会を作れれば!と思っているぐらい。)
営業DXサービスとしての機能
帝国データバンクとの連携による(未接点企業含む)100万社以上の企業DB
ウェブフォームとの連携による(スマートフォーム機能)問い合わせ情報の自動入力
企業のリスクチェック機能
Microsoft TeamsやSales Force などとの連携可能
特に、企業DB(データベース)は非常によく、検索条件を入力すれば、新規開拓候補企業のリストアップができる。
もしかしたら、他の社員がすでに当たりたいと思っている企業と接点があるかもしれない、そこから突破口を見つけられるかもしれない、そう感じた瞬間でした。
その内容を聞いた瞬間から、Sansan ≠ 名刺管理サービス だと思い始めました。(名刺管理サービスからCRM/SFAの中間にあたるツールなのかなと思いました。)
社内巻き込み大作戦
ボトムアップからじわじわと
名刺管理サービス(9社)の資料請求を行い、名刺管理サービスとしての比較を開始。少し疑問になった点があったら、打ち合わせも行いました。
また、名刺管理サービスが本当に良いのか、も含めて、検討するため、CRM/SFAも検討、社内の状況にフィットする企業とは面談を行いました。
その上で、ある程度厳選した数社で自分だけではなく、実際の営業部員や営業事務、システム部、その他、関連部署から(できる限り、実務に近く、一方で、一定の権限もある人または各部署で影響力を持つ人)を呼ぶようにしました。
実際のデモに参加してもらい、サービス会社さんと一緒に、営業部や他の関連部署が抱える問題をヒアリング、課題解決のための打ち手としてツールが役に立つのか、意見を聞きながら、進めました。
結果として、
「現在、自分たちが入れるべきは、SFAやCRMではなく、ベーシックな部分を構築できるSansanが良い!」という結論に至りました。
Sansanを入れることで、接点企業や顧客企業(及び人)におけるベーシックなデータベースを構築、仮に今後、CRMやSFAを入れるのであれば、そのSansan Based なデータベースを活用できるツールが良い、という流れになりました。
(因みに、水面下では、Sansan と連携性が高そうなSales Forceの導入を次は狙っています。。。)
あとは、実際に企業DBなどの紹介を受けて、肌で「これは使えるかもしれない!」と感じてもらったのが大きかったように思います。
別視点で言えば、企業のリスクチェック機能が、業務効率化という点で非常に関心を寄せていました。
「これは、非常に便利!リスクチェックは新規取引先だけではなく、既存取引先も年に一回リスクチェックを行う必要がある。取引先が多くなるにつれて、その業務も増えてしまうが、これであれば、簡単に解決できそう。今は、記事検索サービスを利用し、担当者で1回30分以上かかる。」
この視点は自分にはなかったので、非常に嬉しかったです。
(既存顧客数 × 1社にかかる時間(記事検索サービスの時間ーSansanのリスクチェックに置き換えた場合の時間) × 年 + 想定新規顧客数 x 同様の数式) の時間を削減することができる可能性があったので、業務効率への効果が、定量的に把握できると感じました。
あとは、海外企業に対しても、リスクチェックを網羅的に行えるという点も良かった。(海外取引先が増えた際に、どのようにチェックを行うのか、ちょうど法務Gで検討していたため。)
「議事録は属人化していて、一方で、一個一個の議事録がファイルとしては独立しているから、企業別に時系列でまとまっていない。でも、Sansan なら過去のやり取り全て時系列で見れる。」
「週報を各メンバー別でエクセル管理、そのエクセルをグループリーダーがまとめて、最終的に報告。そのため、時系列や企業別、担当者別でまとまっていない。
でも、Sansan のコンタクトなら、時系列、企業別、担当者別、それぞれの切り口で表示を変えられるので、一目瞭然となる。
また、まとめる作業も要らなくなる。」
とその場で直接コメントフィードバックいただきました。
ただ、その時点で、企業DBについても、新規開拓、特に国内がメインの事業部に対しては、使える!といったリアクションはありました。
弊社の主力事業の光コネクタ部品は、市場のメインが海外なので、海外企業には使えないか?という質問もありました。
ただ、心なしか、企業DBに対するリアクションは、他の機能へのリアクションに比べ、少なかったように感じました。
質問としては、Sansan は帝国データバンクさんと連携していて、直近1期の売上実績などは見れるのですが、「3期分見たい(新規取引登録のための与信調査に関連)」や「与信判断」の要望もありました。
そのほか、システム部からセキュリティに関する確認やAPI連携ができるかの確認があり、実務者としては是非入れたい!という方向になりました。
提案書の作成
ここまで、社内で他の部署の方も入れながら、進めていましたが、そもそも、自分が所属する部署がこういったシステムを入れる業務が所掌範囲に入っていなくね?と思っていました。
直属の上司には、報告はしていて、自分の想い(営業が強いB2Bメーカーになりたい)という気持ち、これからやろうとしていることを伝えて、理解を示してくれましたし、その分、稼働しても良いというコメントをいただきました。
この上司のとてつもない理解が、後半でだいぶ助けられます。
少し社内事情をお話しますが、僕の部署は、市場動向調査や全社に関連するビジネスの創出、一方で自部署が研究開発している製品を広く展開し、可能性のある企業と連携・取引を行うまでの流れを作るのがミッションでした。
一般的には、研究開発部門 x マーケティング部門 x 新規事業開発部門 が合わさったようなイメージです。(どんな部署だよ!)
一方で、自分は社内のチーム制度を利用し、広報チームを作っていました。
※チーム制度とは?:部署関係なく、現在の会社の部署では対応する部署がいなく、一方で、単一の部署だけではなく複数の部署での対応が必要となる業務や課題に対して、期間限定で部門関係ないメンバーで作れるチーム制度です。他社さんで言えば、プロジェクト制度のようなものかもしれません。
因みに、この制度開発についても、社長や取締役の経営層、影響力のある部長や実務キーパーソンとともに、携わっていて、全社における制度説明なども自分が担当させていただいておりました。
広報チームの活動としては、以下のような形で動いていました。
対外的な広報活動(全社の販促活動支援)
企業、事業、製品ブランディングの実行(及び各事業部への間接支援)
ホームページの整備および各SNSの管理運用
上記活動のための社内勉強会開催(チーム以外のメンバーも参加可能)など
そうだ、きっと、各事業部への間接支援に繋がる!という観点で、広報チームの金原として、この時は動いていました。
その範囲で、必要な予算を得るために、予算申請書(提案書)を作成しました。
提案書の骨子
ツール導入の背景(問題や課題の記述)
課題解決をし、問題を無くすための打ち手提示
打ち手を複合的に含んだツール導入の必要性
ツール10社比較
(上記課題解決に資するツールとしての機能の星取表及び金額比較)Sansan を選ぶ理由
Sansan における導入効果
(新規取引開拓数や手作業名刺管理廃止、リスクチェック簡素化による削減業務時間など)最終的に描ける白山の未来
上記をベースに、提案書を作成しました。
(名刺を保存する単純な名刺管理機能だけを切り取った)単純な月額利用料だけでいえば、Sansan は決して安いと言えるものではありませんでした。
他のツールの方が安価ではありました。
ただし、過去名刺の取り込みが別料金、名刺スキャナーが別料金、または、購入必要(その購入及びメンテナンスも自社負担、Sansan はリースという形式でアップデートなどは自動)だったり、条件を一緒にすれば、結果的に同じような金額帯になりました。
また、スキャナーのメンテナンスや名刺読み取り精度の悪いと、ツール入れたことによる、付帯業務が発生するので、広まらないなと感じました。
ツールを入れても、そのツールによって、ユーザーサイドに新たな負荷が発生するのは、本末転倒。
Sansan は、名刺管理機能だけを切り取っても、他社さんに比べて、ハイスペック、かつ、営業DXツールとしての機能もあるので、はるかに得られる効果が大きいという結果に落ち着きました。
そして、いざ、予算申請をし、その後、経営層(社長・取締役)、経営企画・財務部のヒアリングに臨むのでした。
後編へ続く。