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製造業が大切にしたい3つの競争力〜地方中小企業から思うこと〜

今日は、先日とあるセミナーに参加した際に教えてもらった書籍を読んで、非常に共感した内容があったので、その内容についてシェアしようと思い、noteを書くに至りました。題して、製造業が大切にしたい3つの競争力、特に地方中小企業に勤めるから、よりその重要性を痛感したのかもしれません。

コア・コンピタンス経営

自分はよくセミナーやイベントで書籍の紹介を受けたときに、その場ですぐポチッと購入ボタンを押すようにしています。特に、そのセミナーの講師が著者である場合もそうでない場合も。セミナーが自分に合ったかどうかは、あまり関係なく、とりあえず、ポチッと押すようにしています。

自分に合っていない、というのは、言葉を換えると、自分が考えていなかったことや自分とは違う考え方や進め方をされていることが多いので、そういうのはむしろ、極力吸収するようにしています。自分に合っているって言うのは、同質性を求める形になって、その考え方に凝り固まってしまう恐れがあるため。ただ、明らかにすでに知ってる内容だった場合は別ですが。

余談が長くなりましたが、今回知った書籍はこれ!他にも2冊ぐらいあったのですが、まだ読めていないので、今日はこちらを紹介。

1995年に日本経済新聞社から刊行。著書は、コンサルティング会社などを経営するゲイリー・ハメル、C・K・プラハラード。

自分の中で長年感じていたことが言語化されていて、コア・コンピタンスに関わる書籍はよくありますが、網羅的に記載されていたので、読了した後は頭の整理になりました。調べてみたら、コア・コンピタンス(他社が真似できない核となる能力)という概念は、この書籍が最初だったようです。なので、コア・コンピタンスってそもそも何?ってところを最初から学びたい人にはオススメな書籍です!

未来のための競争

本書では、当時のヨーロッパ、アメリカ、日本などの企業を例に挙げて、リストラ(リストラクチャリング)やリエンジニアリングに躍起になる企業を紹介し、リストラが単なる人員解雇に終わったり、単なる組織の変更に終わったりと、現状のみの変更にばかり終始するやり方を指摘しています。(その結果、未来のための市場競争に必要な力を削ぎ落としているとの指摘)

大切なのは、今ではなく、未来のために、どう組織や業務を変革していくか、という点を主張して、未来の市場機会、すなわち、グローバルな市場へどう攻めていくかのヒントも記載。

個人的には、何かが完全に分かってから市場に出ていては、その時点ですでに他社に負けている。打率を極力上げることは大事だが、百発百中を狙うことはできない。打席を如何に多くし、打率を上げるのかが、大切。

それを、探検的マーケティング、と表現していて、とても好きになりました。

現在の市場に終始するだけでなく、未来に向けてどう行動するか、が大事であり、そのために、特に経営者層や管理職層が、会社のコア・コンピタンスを正しく認識し、それをしっかりと定義した上で、事業を行うことが大切だと説いています。(まさしく、その通り。)

製造業が大切にしたい3つの競争力

この書籍の一番の骨子は、未来のための競争に対して、どうコア・コンピタンスを認識し、それを踏まえて、会社の方針や戦略を決めて、会社の経営資源を投下していくかかを描いているところになると思いますが、個人着目点としては、書籍の導入の段階で、3つの競争力についての記載があることでした。

  1. 製品開発能力

  2. 世界レベルの供給能力

  3. 市場へのアクセス網

製品開発能力

これは他者に先駆けて、市場でトップを獲れるような製品や技術の研究、開発をしっかりと行なっているか、先駆者は常にリスキーであるが、未来へ一番乗りできるか、どうかを決定するものです。

世界レベルの供給能力

研究、開発を行ってもそれを市場へ展開するためには、その生産技術を培わなければならない。開発品として優れたものができても、それが量産できずに市場へ展開できる能力がなければ、意味がない。そのため、世界レベルのコストと品質で製品を製造し、サービスを供給する能力が次に必要となる。

市場へのアクセス網

研究や技術開発の成果である製品、コストや品質も世界レベルで通用する、その製品をしっかりと物理的に市場へ届けられる広範な販売網やマーケティングサービスの基盤、それが最後に必要となります。

バランスを取る

製品開発能力、世界レベルの供給能力、市場へのアクセス網、製造業が自らの力で生き残っていくためには、これら3本の脚が必要。製品開発能力だけあっても、それを安定して作れなければビジネスにはならない、一方で生産能力だけあっても、将来的に他社が技術開発を仕掛けてきたら、うまくいかない。

また、優れた製品があったとしても、市場へ届けられなければ認知されないので、市場へ展開されない。また、それを他社に依存していたら、明確な力関係が決まってしまう。

最初はこれから3つのうち、ひとつだけでもトップレベルであれば、暫くは企業活動を続けられるかもしれないが、将来的に持続可能な成長を追う必要があるのであれば、どの部分においても自分たちで標準以上の力を培わなければならない。

少し話は変わるかもしれませんが、標準以上の力を養うという点の重要性を説く書籍として、上記のファイブ・ウェイ・ポジショニングが非常に参考になります。企業の力を商品・サービス・価格・経験価値・アクセスの5つの観点で明らかにして、5段階評価で5が1つ、4以上が1〜2つ、3以上が2〜3つはないと、市場の優位性を保てないという書籍。

地域の中小企業に足りないのは?

新卒で入社した京セラ株式会社、5年勤務した後に石川県金沢市の従業員50名程度の明和工業株式会社に入社しました。非常に面白い技術は持っていて、実際にその製品ではニッチトップではあったものの、業界の構造的に大手プラントメーカーの下請け的な立ち位置で、市場へのアクセス網を持っていませんでした。

そのため、提案後のプロジェクトの詳細(ユーザの計画など)が開示されない、価格的な要求も一方的にされるような状態でした。そういった危機感から自分たちで市場へのアクセスを試みる努力を行いましたが、当然、既存の商流を変えられる恐れがあるので、メインの取引先から猛反発を喰らうわけです。

また、現在勤めている企業も非常に強い製品、世界レベルの供給能力はありますが、市場へのアクセス網が弱い状況ではあります。実際に生き残っていくためには、3本の力のバランスが不可欠だとは、実体験として思います。

最初の企業が世界的な企業に成長した、技術的な差異はもしかしたら分野特化ではそこまでないかもしれませんが、自分の職種が営業やマーケティングというのもありますが、市場へのアクセス網が圧倒的に弱い、と感じます。

これは、ニッチトップという形で、敢えてニッチトップでいるのか(フェラーリの戦略のように)、自然とニッチトップになってしまったのか、は大きく違いがあるなぁと感じる次第。

地域の中小企業に足りないのは、この市場へのアクセス網だと思います、今まで良くしてくれたパートナーとは今後も共存共栄できるように配慮はすべきです。ですが、一方で、自分たちも自立して生き残るためにも、その関係に依存しないよう、自分たちでも市場へのアクセス網は持っておく、というのが非常に大事だと思っています。

でも、今までできていなかったから、ノウハウや繋がりがない、どうしたらいいのか?

そんな質問はあるとは思いますが、それはまた別の機会に書ければと思います、ただ、いずれにしても、まずはそれが大事!と思うことが重要だと感じる次第です。


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