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悪魔の口紅
とても、魅力的に思えたのですよ。
雑誌掲載の、カシスレッドのような色味の口紅。
美容院で施術中だったので、そもそも真剣に雑誌を読んでいたワケではなかったのですが。
『荷物を軽くするなら、持ち歩くのはこの口紅1本だけでOK』
普段からやたら荷物の多いワタクシにとって、大いに気になる見出しがババーン!と載っておりまして。
雑誌と適度な距離感を保ちながらも(軽い老眼なのですよ)食いつきましたよ。
今の化粧品は機能性が高く、化粧直しがあまり必要でなくなりつつあるので、短時間の外出であれば口紅だけ持ち歩けば事足りる、という内容の記事でした。
で、モデルさん使用の、カシスレッドのような色味の口紅が、ワタクシのハートを射抜きまして。
ここ何年も、ピンクかオレンジ系ばかりだったし、レッド系もたまにはいいかな、と。
そんなこんなでチャレンジャーかつ出不精のワタクシ、実物の色味を確認することなく、ネットでシュパッと注文しました。
手元に届くまでの数日、待ち焦がれておりまして、3日後にようやく届いたのです。
と・こ・ろ・が!!
うきうきと開封の儀を執り行ったのですが、開けてびっくり!でございますよ。
実物はカシスレッドとは程遠く、黒ずんだ血豆のような色だったからです。
(まるで、悪魔のようだ…)
通販で買ったことを、激しく後悔しましたよ、ええ。
(現物を見てたら、絶対手を出さない色だ…。使わずにこのままフリマサイトで売ってしまおうか?)
という考えが頭をよぎりましたが。
(いやいや、何事も挑戦なのだ!案外、塗ってみたら悪魔ではなく小悪魔っぽくなるかもしれないのだ!)
と、無理矢理自分に言い聞かせ『悪魔の口紅』をデビューさせるコトにしました。
メイクの順序は人それぞれだと思うのですが、ワタクシは最後に口紅なのです。
んもう、そこまで仕上げるのにも、ドキドキしっぱなしでございましたよ。
で、いよいよ『悪魔の口紅』を塗る段になりまして。
(なんとか小悪魔っぽく発色してくれい!!)
祈るようなキモチで手鏡を見ながら、まずは下唇に直塗りしました。
(ん?見た目より薄めな発色…そしてなめらかな感触…)
なんだかイケそうな気がして、上唇にも塗り塗りし、全体のバランスを鏡で確認しましたら、案外良かったのですよ。
(小悪魔は年齢的に無理があるけど、少なくとも悪魔っぽくはない!)
しかし今ひとつ客観視できていない気がしまして、母上の意見を聞きに行きましたよ。
ワタクシが「どう?」と聞く前に、母上のほうから
「あら、いい色味じゃない。似合うわよ!」
本当に、本当に、安堵いたしましたよ。
こうして『悪魔の口紅』は陽の目を見ることと相成り、お気に入りの一本になったのですが。
リピ以外で口紅を通販で買うのは、金輪際やめることにいたします…。
P.S.
コロナ禍が続き、長きに渡りマスク生活を余儀なくされ、ノーメイクがデフォになったワタクシ、この口紅の出番もめっきり減りました。
収束した暁には、またメイクを楽しみたいッ!