The Merge vs レイヤー2(第二章 レイヤー2)
イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決すべく取り組まれているイーサリアム本体のThe Mergeと、取り巻くレイヤー2。
前回の投稿ではThe Mergeについて軽くまとめましたが、今回はレイヤー2について脳内情報をまとめます。
ややこしや〜
レイヤー2を説明するにはブロックチェーンネットワークを多少なりとも知る必要がありますが、ここがホントにややこしい!
や、システム自体はそんなにややこしくないんですが、テクノロジーを知らずに
「暗号通貨とかNFTとか話題だし興味あるから顔突っ込んでみよう!」
みたいな気持ちで始めた私からしたら、USDTもETHもBNBもSOLもMATICもAPEも、全部同等の、ただの通貨の単位なんです。
「BTCが米ドルなら、ETHはユーロで、SOLは元、MATICはウォンみたいなもんか」ぐらいにしか認識してないんです。
ネットワークなんてものは送金するまで知らないし、プロジェクトとかネットワークがあって、その上にトークンが発行されてることすら知らないんです。
私みたいな人、意外に多いんじゃないかって思うんです。
ちなみに今出た通貨はこういうサービスの元生まれました。
USDT:米ドルと同じ値動きを目指した暗号通貨。テザー社というところが発行。
ETH:イーサリアムブロックチェーンのネットワークを持った独自の回線みたいなもの。
BNB:バイナンスという暗号通貨取引所が発行した通貨。バイナンスはBNBチェーン(旧BSC)という独自のネットワーク回線も作った。
SOL:ETHに対抗?して作ったネットワーク。Solanaチェーンという独自のネットワーク回線を持っている。
MATIC:イーサリアムネットワークって高いし渋滞するから、回り道作ろう!って作られたネットワーク。MATICは通貨の単位で、ネットワークの名前はPolygon。(ややこし!)
APE:大手NFT・BAYCのプロジェクトが作った通貨。ネットワークは持ってない。イーサリアムとBSCのネットワークで送金できる。
、、、
とってもややこしくないですかっ!?
しかもBNBはETHのネットワークでは送金できなくて、MATICはETHネットワークとPolygonネットワークで送金できるけど、BSCではできない、とか。
こんな基礎的でとても大事なことを、どの記事もブログもチラッとしか教えてくれない。どの通貨がどのネットワークに対応してるのか、分かりやすく教えてくれてるサイトがいくら探しても見つからない。みんな、「ネットワーク間違えるとお金紛失するから気をつけてね」と注意喚起するくらい。
初め、私はとても混乱しました。
ちなみにCoinMarketCapという通貨の値動きをみてるサイトによると、2022年5月8日 時点の通貨の種類は19,339個!
ブロックチェーンネットワーク回線の通貨だったり、ネットワーク持ってないけどNFTを作ってたり、ゲーム内で使う通貨だったり、、、通貨の起源はホント色々なんです。
しかもこの通貨の種類は日に日に爆増しています。通貨が爆増してるので、記事にしたところで追いつかないために、あまり記事が無いのかもしれません。
なので、自分が買おうとしたり、送金しようと思ってる通貨が、どのネットワークで送れるかは、よく調べたほうがいいです。違うネットワークで送るとどこか行っちゃうので。
レイヤー1
ちなみに送金とかNFTでよく使う主要なブロックチェーンネットワーク回線は以下の通りです。
・BTC:Bitcoin関連ネットワーク
・ERC20:イーサリアムネットワーク
・BEP2、BEP20:BNBチェーン(旧バイナンスチェーン、旧BSC)
・Solanaチェーン
・Terraチェーン
・Avalancheチェーン
・(まだたくさんありますが割愛します)
この、一つ一つ独立したブロックチェーンを、【レイヤー1】と呼びます。
イーサリアムのスケーラビリティ問題を機に、イーサリアム・キラーとして新しいブロックチェーンネットワークが次々と立ち上がっています。
川の対岸まで渡る橋が何本もあるイメージですね。
広くても渋滞してる橋や、通行料の高い橋、自動車用の橋や、速いけど電車用の橋など、色んな種類の橋があります。
越えたい川にどんな橋がかかってるかによって、乗り物も時間も料金も変わります。
こっちから出発できても対岸まで届いてない橋もあり、もしその橋を進んでしまうと消息不明になります。
こっちから向こうまで直線で行ける独立した橋がレイヤー1。
レイヤー1で一番メジャーな橋がイーサリアム(ERC20)ですが、最近は通行料が高いしいつも渋滞してるんですよね。
だからERC20をスムーズに進む道に作り替えようっていうのがThe Merge。
別に新規で架けた橋が後続のレイヤー1。(SolanaとかTerraとか)
そして、ERC20の途中にバイパスを通す方法が、レイヤー2(セカンドレイヤー)です。
レイヤー2
お待たせしました。
ようやくレイヤー2のまとめに進みます。
レイヤー2はセカンドレイヤーとも言われています。
今までWeb3について調べるなかで、ブロックチェーンにしろメタバースにしろ、私が知ろうとしてる情報を1つにまとめた記事は多くありません。が、今回書こうと思っていたレイヤー2については腹落ちする記事を見つけましたので紹介させていただきます。
DeFi_Ranchさんの『DeFi牧場』というブログ記事
「ブロックチェーンの「レイヤー2」プロトコル【銘柄一覧】仮想通貨の基礎知識」
なかなか技術の種類別にプロトコルまとめてる記事少ないんですよね。
上のブログで紹介されているなかでも、今回はRollupという種類のレイヤー2を特筆したいと思います。
Rollup
全ての取引をレイヤー1(ERC20)上で行うからガス代の高騰と速度遅延が起こるので、取引処理はバイパスのレイヤー2で行いながら、結果をレイヤー1に戻すことで改ざん防止や信頼性はレイヤー1に寄与するという技術です。DeFiやGameFiで使われてるのを見ますが、単に送金やNFT購入ではあまり見かけない(=選択できない)技術ですね。
Rollupには主に2種類の技術があります。Optimistic Rollupとzk-Rollupです。
Optimistic Rollup
基本的に不正が起きない前提でレイヤー2上で処理が進みます。不正の疑惑にさらされたら、もう一度、今度はレイヤー1上で取引処理が行われるという、性善説的な技術です。
「そんなんでいいの!?」と思ってしまうのですが、EVM(イーサリアムチェーン上に処理を書き込む翻訳機)との互換性があり、早くて安いのでとても多く使われています。
不正の可能性に対する審議期間があるため、資金をレイヤー1に戻すのに7日間かかります。私はとても人間味のある技術だと思っています。
代表的なのはArbitrum、Optimismなどです。
zk-Rollup
私が好きで期待してる技術です。
zkとはZero Knowledgeの略で、「ゼロ知識証明」と和訳されます。名前からしてカッコいいですね。詳しくはWekipediaのゼロ知識証明(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E7%9F%A5%E8%AD%98%E8%A8%BC%E6%98%8E)の「洞窟の問題」をご参照ください。
要は、「不正を監督する側が、取引の内容を知る事なく、正当性を証明する技術」です。とてもシステマチックで数学的で、これぞコンピュータの世界って感じが好きです。
ただ、先程のEVM互換性が持てたのは最近の話で、まだまだ発展途上です。
代表的なのはLoopring、dYdX、zkSyncなどです。
zk-RollupにはSNARKsとSTARKsという技術があるようですが、まだ勉強中なので詳細は割愛させていただきますが、STARKsは今後、量子コンピュータが席巻したときに耐性を持っている技術のようで、とても期待を寄せています。
ちなみにレイヤー2の規模をランキング形式にしたL2BEATというサイトがありますので、2022/5/8現在のランキング画像をご紹介致します。
まだまだOptimisticが主要ですが、私がレイヤー2を知った1ヶ月前からしても、zk-Rollupの存在感が高まってきていると感じます。
今後の考察
個人的にはThe Mergeよりレイヤー2に期待を寄せており、将来的には送金したりNFTを買う時にも当たり前のようにzk-Rollupが使えるようになり、ガス代もほぼ気にしなくていいような時代が来てほしいと思っています。
ただ、今の動きとして、サイドチェーンのPolygon(MATIC)がzk-Rollupを取り入れたPolygon Hermezを開発したり、Optimistic Rollupの代表格・Arbitrumが将来的にはzk-Rollupを導入すると明言したりしており、今後、この線引きは次第にグレーになっていくと思います。
通貨も乱立、ネットワークも乱立、レイヤー2も乱立し、更に各々が発展している、、、特に技術を理解したい新規利用者にとってはとても分かりにくい現状だと思います。どの道を選ぶかの選択が非常に難しくなっているように思いますが、発展途上の産業だからしょうがないのでしょうか。
Web3界隈が成熟した時、自動車産業や大手携帯電話キャリアのように、数パターンに淘汰され、シンプルでガス代も安い時代が来ることを、私は願っております。
その覇権争いと技術の進歩自体もとても面白いので、今後も頑張ってウォッチしていきたいと思います。