妬み嫉みをテーマにした作品
飲んだり食べたりするだけで、無駄に月日を送ることは本当に無駄なのだろうか。
私はこういう主張に対しては、そういう人を羨ましいという目線から罵っていると解釈してしまう。
穿った見方なのかもしれないが、人の嫉妬、つまり妬み嫉みというのは、いつの時代にも存在して決して気持ちのいいものではない。
私は割と何事に対してもハッキリと言うタイプなので、それなりに妬み嫉みを受ける側に回った経験もある。
だからといって自分のやり方が間違っているとは思えないし、そういった人たちの声が届かないところへ行こうと決めた。
ただ、世の中の人の多くはこの嫉妬に悩まされている気がする。
そんなものと向き合う時間がもったいないというのが私の主張だが、その理由について書いていこう。
妬み嫉みが起きる原因
そもそも、なぜ人は妬み嫉みという感情を抱いてしまうのだろうか。
その根本には、妬みや嫉みが自分が持っていないなにかを、他人が持っていると感じたときに生じる感情だからということがあるだろう。
これは、自分と他人との比較に関係している。
例えば、自分が同じ年齢の友人よりも収入が低く、友人が高収入であると知った場合、自分が妬みや嫉みを感じるといった具合いだ。
他にも、こういった感情が生じる原因は複数ある。
社会的比較理論によれば、自己評価を行う際に、他人との比較が不可避的に生じるため、自分よりも優れている人がいることがストレスを引き起こすことがあるとされている。
また、文化的背景や環境の影響も妬みや嫉みを引き起こす原因となる。
競争的な文化や資源が限られている社会では、他人との競争が激しくなり、妬みや嫉みが生じやすくなる。
そして、妬みや嫉みは、他人に対して否定的な感情を持つことが多いため、社会関係に悪影響を及ぼす可能性があることは言うまでもないだろう。
一方で、自己評価を正しく行い、他人との比較に囚われずに自分自身を受け入れることで、妬みや嫉みを軽減することができる。
そして、他人との競争に固執するのではなく、自分自身が望む目標を追求することで、自己成長を促すことができる。
そんなことは頭では理解していても、なかなか感情を押し殺せないというのが実態なのだろう。
妬み嫉みをテーマにした作品
そんな妬み嫉みが起きてしまうのは、古から著名な作品として現代社会にも残っていることからも不可避なものだと受け入れた方がいいと私は思っている。
代表的な作品としては下記が挙げられる。
オセローは、シェイクスピアの最も有名な悲劇の1つであり、1603年〜1604年頃にかけて書かれたとされている。
物語は、ヴェネツィア共和国の将軍オセローが、嫉妬心に駆られた部下イアーゴの策略によって、自分の妻デズデモーナを殺害するまでの過程を描いている。
ストーリー概要
オセローは、ヴェネツィア共和国の将軍として、キプロス島の防衛に赴くことになり、その旅の途中でデズデモーナと出会う。
2人は愛し合うようになり、結婚をする。
ところが、イアーゴというオセローの部下が、オセローを陥れるために、自分の妻エミリアやカシオというオセローの側近を利用して陰謀を企てる。
イアーゴは、オセローに偽の情報を伝えたり、デズデモーナをカシオと不貞の関係にあるという風聞を流したりすることで、オセローを翻弄し、デズデモーナへの嫉妬心を煽る。
結局、オセローはイアーゴの策略に騙され、デズデモーナを殺害する。
最期に、真実を知ったオセローは自殺し、イアーゴは逮捕され、裁判にかけられる。
検察官は、ロシアの作家ニコライ・ゴーゴリによる短編小説で、1842年に発表され、現在でも世界中で高く評価されている。
物語は、腐敗や権力者に対する風刺が込められた、コミカルで皮肉な作品となっている。
ストーリー概要
物語は、ある町の検察官が、その地域に起きた犯罪の捜査のために、ある日その地を訪れるところから始まる。
その検察官は、人々から厚い歓待を受け、食事や宿泊などすべてが用意される。
ところが、検察官がやってきた理由や犯罪についての捜査の進捗状況などは、一向に明らかにされない。
結局、検察官がやってきた目的は何だったのか、捜査は進展したのかどうかは明らかにされず、物語は終わる。
罪と罰は、ロシアの作家フョードル・ドストエフスキーによる小説で、1866年に発表され、現在でも多くの人に読まれている。
本作は、倫理や道徳、罪と罰、人間の自己啓発など、多くの哲学的テーマを扱っている。
ストーリー概要
物語は、貧しい大学生ラスコーリニコフが、老女とその娘を殺害し、その犯罪と向き合う様子を描いたものだ。
ラスコーリニコフは、自分が犯した犯罪を理論的に正当化し、罪の意識から逃れようとするが、やがて自分自身を責めるようになる。
そんなラスコーリニコフの苦悩や彼を取り巻く人々の心理描写が中心となっている。
彼は、犯罪の重荷を背負いながらも、自分自身を変えようとし、罪からの救済を求める。
そして、彼の人生になにかが変わる瞬間が訪れる。
Nana(ナナ)は、フランスの作家エミール・ゾラによる小説で、1879年に発表された。
19世紀末のパリを舞台に、風俗娼婦のナナが主人公となって、欲望や腐敗、堕落といったテーマが描かれている。
ストーリー概要
物語は、ナナという女性が舞台に現れるところから始まる。
ナナは、貧しい家庭出身で、若くして娼婦として生計を立てていた。
彼女は美しく、踊りが上手く、多くの男性から求愛を受ける。
そんなナナは、富裕な男性たちに次々と手を出し、自らの地位を上げようとする。
彼女は、劇場でダンサーとして成功を収めたり、上流階級の男性と結婚したりするなど、様々な手段を講じる。
ところが、彼女の生き方は堕落と腐敗に満ちたものであり、周りにいる人々も次々と破滅していく。
物語は、ナナが自己破産を起こし、再び娼婦として生きることになるところで結末を迎える。
ナナが自らの欲望に溺れ、周りの人々を巻き込んでいく姿が描かれている。
The Virginian(荒野のロング・トレイル)は、アメリカの小説家オーウェン・ウィスターによる小説で、1902年に出版された。
西部劇小説の傑作として知られており、アメリカ西部の風景や文化を描いた作品としても高く評価されている。
ストーリー概要
19世紀末のアメリカ西部の小さな町メディシン・ボウに住む男性、バージニアンと、彼が恋する女性、ミス・モリー・ウッドの物語だ。
バージニアンは、牧場の仕事をしており、荒々しい外見や振る舞いを持ちながら、内面には繊細で人間味あふれる性格だ。
物語は、バージニアンが新たな牧場主に任命され、彼の経営方針に対する批判や、ミス・モリー・ウッドとの関係に対する嫉妬など、様々な葛藤に直面する様子が描かれている。
また、バージニアンが違法行為に手を染め、法の制裁を受ける危機に陥る場面もある。
そんな物語のクライマックスは、バージニアンが最愛の女性を守るため、恋人を裏切った男性を処刑する決断を下す。
そして、バージニアンとミス・モリー・ウッドが最期に再会し、その後の彼らの運命について語る場面で結末を迎える。
グレート・ギャツビーは、アメリカの作家スコット・フィッツジェラルドによる小説で、1925年に出版された。
1920年代のアメリカ社会を舞台に、夢と現実、愛とお金、成功と失敗などを扱っていて、現在でもアメリカの文学史上において、最も重要な作品の1つとされている。
ストーリー概要
物語は、ニューヨークのロングアイランドに住む、若き大富豪ジェイ・ギャツビーと、彼を慕う男性ニック・キャラウェイの出会いから始まる。
ジェイ・ギャツビーは、誰もが憧れるような豪華な生活を送っており、自分の豊かさを増やすために、違法な手段も辞さないと噂されている。
そんな物語は、ジェイ・ギャツビーが彼が愛する女性デイジー・ブキャナンを取り戻すために尽力する様子が描かれている。
ところが、デイジーの夫トム・ブキャナンや、デイジーの親友ジョーダン・ベイカーといった周囲の人々が、ジェイ・ギャツビーの正体や彼の目的を知り彼を非難するようになる。
そして、ジェイ・ギャツビーが自分の目的を果たすために取った行動の果てに、彼の人生が大きな変化を迎える場面で結末を迎える。
レ・ミゼラブルは、フランスの作家ヴィクトル・ユーゴーが1862年に発表した長編小説だ。
フランス革命を背景に、19世紀初頭のフランス社会を描いた社会派小説の代表作の1つとされている。
ストーリー概要
物語の主人公は、囚人から市民になるまでの物語を描いたジャン・バルジャンだ。
ジャン・バルジャンは、盗みを働いた罪で19年間もの刑期を務めた囚人であり、出所後は社会から追われる身となる。
しかし、彼は人々のために尽くすという信念を持っており、自分が捕まえた盗賊の逃亡を手助けしたことがきっかけで再び追われることになってしまう。
物語は、ジャン・バルジャンを中心に、彼の周りの人々やフランス社会の様々な人々の人生を描きながら、貧富の格差や社会の不条理、人間の善と悪、愛と憎しみ、そして人間の尊厳について深く掘り下げている。
また、小説の中で歌われる、星条旗は世界中で広く知られた歌となった。
まとめ
世界中に散りばめられている嫉妬、つまり妬み嫉みをテーマにした作品が現代社会にも影響を与えているのはどういうことを意味しているのだろうか。
共通したテーマとして語り継がれているということは、この嫉妬という感情は不変で不可避だと捉えた方がいい。
つまり、人とはそういうものだと受け入れた上で、ポジティブに生きた方がいいということを推奨している。
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