原油の生産量と埋蔵量が多い国ランキング
油が燃料になるという表現よりも、石油と言い換えた方がピンとくるだろう。
そして、石油が燃料の中心になっているということは、誰もが知っている事実だろう。
それから、油田から採掘したままの状態で、精製されていない石油を原油というわけだが、この原油についてはみなさんはどんなイメージを持っているだろうか。
私は単純にアラブ国々の生産量が多いと勝手に思っていた。
ということで、普段はほとんど気にしたこともない原油生産量の多い国々を調べてみると、そこには新たな発見があった。
2021年の原油生産量の多い国ランキング
以外かもしれないが、アメリカは2017年以降、世界の産油国の中で原油生産量トップの地位を占めている。
32の州とメキシコ湾岸地域で石油が生産されているのだが、約41%をテキサス州で掘削されているのが現状だ。
また、アメリカは最大の石油消費国でもあり、2019年には、計74.7億バレルの石油を消費している。
アメリカは2008年まで原油の産出量は減少傾向にあった。
しかし、ハイドロ・フラクチャリング、通称フラッキングと呼ばれる水圧粉砕法技術の開発によって、それまでは困難であったシェール層からの原油や天然ガスの抽出が可能となった。
2009年からは原油の産出量が増加に転じ、2011年以降に増加の速度が速まり、2017年には世界最大の原油産出国となったという経緯だ。
それまでの原油の産出量は、サウジアラビアとロシアが世界トップ2でしたが、現在ではアメリカが頭一つ抜け出しているという状況になった。
2021年には、世界シェアでは18.6%となっている。
ちなみに、この一連の変化をシェールガス革命と呼ぶ。
このシェールガス革命によって、アメリカは天然ガスの産出量も増えた。
参考までに、イラクは1980〜1988年のイラン・イラク戦争、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争などの影響があり、産出量が不安定だったが、2005年以降は増加に転じている。
特に最近10年間は、世界の増産量の約5分の1を占めるほどに成長しているという。
第1位となっているアメリカが世界最大の原油生産国になる前は、サウジアラビアがトップの座にあった。
おそらく、このイメージが中東諸国が産油国であるという印象づけをしているのだと思う。
ただ、あくまで私たちの世代の人たちの認識であって、10代や20代の人はそもそもそんな印象もないかもしれない。
そして、サウジアラビアは世界第6位の石油消費国でもあり、日量で平均378万バレルを使用している。
OPECの協調減産に伴い、サウジアラビアの原油生産量は2018年〜2019年にかけて日量60.9万バレル減少した。
2020年には、新型コロナウイルスが世界中に広まったことで、原油の需要が急激に減った。
これを受け、サウジアラビアの生産量はさらに日量330万バレル減少するという現象が起こった。
サウジアラビアの原油生産量はGDP(国内総生産)の約42%を占めている。
また、世界最大級の石油埋蔵量、生産量、輸出量を誇っている。
国際原油市場に強い影響力を持っており、輸出総額の約9割、財政収入の約8割を石油に依存している。
まさに、原油頼みの経済構造はサウジアラビアが克服すべき問題になっているという見方もできるわけだ。
ロシアはかつて世界有数の原油産出国だった。
ところが、現在ではサウジアラビアとアメリカの後塵を拝している結果になっている。
2018年〜2019年にかけての生産量の伸びは1%未満になった。
原油価格の下落によりOPECの加盟国とロシアが協調して生産量の減産に踏み切らざるを得なくなったのが原因だとされている。
また、2020年のはじめに発生したコロナパンデミックの影響により、生産量は最大で20%減少した。
ロシアの主な原油採掘地域は、西シベリアのプリオブスコエ油田とサモトロール油田だ。
2020年6月現在、ロシアは世界第5位の石油消費国で、1日あたり331万バレルを消費している。
これは、世界全体の約4%を占めている。
そんなロシアは2022年にウクライナ侵攻をしており、今後の原油生産量についての変化が気になるところだ。
それから、紹介してきた上位3ヶ国の原油生産量を合計すると、世界の4割以上に達する43.2%となることも併せて知っておくといいだろう。
以下、第4位がカナダ(513万55,000バレル/日)、第5位がイラク(411万4,000バレル/日)と続く。
2020年の原油の埋蔵量が多い国ランキング
一方で、原油の生産量と埋蔵量とはまた違う話になる。
大西洋海底にハイバーニア油田やテラ・ノヴァ油田を持つカナダが第3位となっている。
そして、原油埋蔵量のおよそ94%を占めていると見られているのは、オイルサンドと呼ばれる原油成分を含んだ砂岩だ。
第2位のサウジアラビアの原油埋蔵量は、第3位のカナダを1,000億バレル以上上回っている。
私を含め、石油といえば中東のイメージを持っている人は多いという予測は冒頭に述べたが、そのなかでもサウジの埋蔵量は最も多く、世界のおよそ17.2%を占めている。
原油生産量でも世界2位につける資源大国で、財政収入の約8割を石油によって賄っている。
第1位は南米のベネズエラで、世界シェアの17.5%を占めている。
ベネズエラは、国内を貫流するオリノコ川流域の地中に、オリノコタールと呼ばれる超重質油が眠っている。
これにより、2010年代に世界1位の埋蔵量となったが、技術的、政治的な問題による影響から石油生産量自体は停滞しているという背景もある。
日本の石油使用量
それでは、一体どれくらいの石油を日本人は消費しているのだろうか。
ここ最近は使用量が減少傾向にあるが、年間消費量は約2億キロリットルだ。
l1日あたり約77キロリットルで、これは25万t級大型タンカーの約2.7隻分に相当する量だ。
日本の人口を約1億2,000万人とすると、日本人1人当たりは約6.0リットル/日くらいになるので、1日当たり牛乳パック約6本分の石油を消費している計算になる。
まとめ
ちなみにバレルという単位が原油には登場するが、約160リットルだと覚えておくといいだろう。
バレル、トン、キロリットルなど原油の量を表すにも様々な表現がされることもあり、混乱しがちだが、バレルという単位も知っておくと想像ができる。
1人用のお風呂のお湯の量が160〜200リットルだといわれているので、1バレルとは大体そのくらいだというイメージである。
SDGsという言葉も浸透しており、自動車もEVシフトが進んでおり、まさにエネルギーの主役も時代に合わせて様変わりしている。
産油国が石油の輸出で得た資金のうち、投資に充てる資金のことをオイルマネーというが、資源には限りがあるので、オイルマネーを手にした国々がどういった動きをしていくのかにも注目したい。
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