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知っておきたい日本の硬貨の製造原価

坐薪懸胆(ざしんけんたん)
→ 将来成功を収めるために長い間苦労すること。

成功を収めるために長い間苦労することを努力と呼ぶならば、あなたはこの記事を読んでどう思うだろうか。

ずっと気になっていた記事なのだが、ようやく取り上げることができるタイトルかなと思い、載せて見るのでまずは一読してもらいたい。

新500円硬貨の「異形斜めギザ」は世界初? ここまで来た偽造防止の匠技

Forbes

さて、この記事を読んで、あなたはどう感じたか、私の感想を書いていくので照らし合わせてもらえたら嬉しい限りだ。

21年ぶりの新500円硬貨発行

記事にも書いてあるとおり、新500円硬貨発行が2021年11月1日から始まった。

すでに手に取ったことがある人もいるかもしれないが、私もその1人だ。

一瞬、オッとなったのは事実だが、そんな500円玉に注目してみたいと思う。

500円玉硬貨が生まれたのは、1982年4月1日に遡る。

私の生まれが1981年なので、ほぼほぼ同級生だということを知った。

岩倉具視の肖像がデザインされた500円紙幣から変更されて硬貨になったということだが、確かに紙幣だったことがあるということは知っている。

そんな500円玉のリニューアルは、2000年以来の21年ぶりだということだ。

紙幣や硬貨を発行するときのリスクといえば、偽造されることだ。

そんな偽造を防ぐために、新500円玉には高度な技術が使われているという。

ちなみに、紙幣や硬貨の偽造や使用が間違いなく犯罪となることは当たり前なのだが、その罪は重い。

通貨偽造罪は刑法第148条1項に制定されており、行使の目的で通用する貨幣、紙幣または銀行券を偽造し、または変造した者について、無期または3年以上の懲役を科すことを規定している。

新500円硬貨の特徴比較

見たことがある人は一目瞭然なのだが、結構変わったなと思う人が多いのではないだろうか。

明らかにわかるのが裏面の500の数字が入っている面の内側に円形の模様が入っている。

それから、素材も大きく変わっているそうで、旧500円玉硬貨はニッケル黄銅1種類だったものが、ニッケル黄銅、白銅、銅の3種類を混ぜたものになっている。

それよりも大きな特徴が2つあって、それはバイカラー・クラッドと異形斜めギザだという。

バイカラー・クラッド

まず、聞き慣れない、バイカラー・クラッドという匠の技についてだ。

2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む、クラッド技術でできた円板を、別の種類の金属でできたリングの中にはめ合わせる、バイカラー技術を組み合わせた技術のことだ。

このグラっと技術でできた円板の部分を埋め込む形になっているので、上述した明らかに裏面の500の数字が入っている面の内側にリング模様があるのがわかるのである。

異形斜めギザ

もう1つの特徴として挙げた、異形斜めギザは新500円硬貨の側面を見てもらえるとよくわかる。

新硬貨の側面に施されているギザの間隔が均一でなく、一部が異形になっているのである。

ギザの部分が少し広くなっている部分があるのだ。

それから、この新効果の側面上下左右の定位置に配置されているこの異形斜めギザの通常貨幣(大量生産型貨幣)への導入は世界初だという。

この異形のギザによって、偽造が非常に難しくなったのである。

微細文字

他にも、貨幣表面の縁に、JAPANの微細文字が上下2ヶ所、500YENの微細文字が左右2ヶ所に入っているので、新500円硬貨を手に取ったときには是非確認してもらいたい。

潜像

ここからの技術は、旧500円硬貨にすでに導入されていた高度な偽造防止技術なのだが、引き続き搭載されているのが、まずは潜像だ。

新500円硬貨は見る角度によって文字が見え隠れするのである。

上から見たとき、つまり下に傾けたときは、JAPANの文字、下から見たとき、つまり上に傾けたときは、500YENの文字が合わられるので、是非試してもらいたい。

穴加工

転写等による偽造を防ぐため、貨幣模様の中央部にある桐部に微細な穴加工、微細点が施されている。

微細線

表面の、日本国、五百円の周りなどに、扇状に微細な線模様が施されている点も見てもらいたい部分の1つだ。

この微細線は髪の毛より細く、金属彫刻における最先端技術を使用している。

世界最先端技術が使われている矛盾

とまあ、散々新500円硬貨に世界最先端技術が施されていることは書いてきたとおりだ。

ただ、世の中はキャッシュレスに向かっている。

交通系ICカードやQRコード決済を使っている人もかなり増えてきている印象だ。

かくいう私も正直、現金を使う機会は圧倒的に減った。

そもそも、新500円硬貨が2021年11月1日から発行されている事実も、たまたま手にしたから知ったようなところがある。

周りの人に見せたら、結構前だと指摘されたくらいなのだが、それだけ現金、特に小銭を使うという文化から離れている。

広島の一部のお店では未だに現金しかダメだという面倒なところもあるので、仕方なく現金をいくらかは持つようにしているが、本当になくなって欲しいと思っている1人だ。

そして、そういった人は一定数いるのもまた事実で、そうなったときに世界最先端技術を施す理由があるのかという矛盾が生まれてくる。

現金をなくせばいいじゃんの一言で片づく問題ないのだが、まあ利権の大きく絡む部分なので、そう簡単には進まないのももちろん理解できる。

とはいえ、ハッキリ改めて言うが、無駄の一言に尽きる。

せっかくの世界最先端技術をそんなところに使う必要はない。

そんなことで偽造防止の効果が高くなるというくらいなら、ブロックチェーン技術を使った方が確実だ。

けれども、世の中の大半の人はわからないものには蓋をするし、悪くするとよくないものとして扱う傾向にある。

となると、結局アナログな矛盾する部分が現れてくるというわけだ。

硬貨の原価

硬貨や紙幣をなくせば、当然原価はかからなくなる。

それでは、硬貨をつくるのにどれくらいの原価がかかるのか興味が湧いてこないだろうか。

財務省からの正確な発表はないのだが、各種の硬貨に含まれている金属の種類や割合は公表されているので、そこからザックリの原価の算出はできる。

もちろん、原材料となる鉱物についてはボラティリティがあるので、とある時点でということになるが、2020年3月6日に三菱UFJ信託銀行のサイトで解説してあるロジックは下記のとおりだ。

例えば、1円硬貨は100%アルミニウムでつくられていて、重さが1gだ。

2018年のアルミニウムの価格は1kg当たり約291円前後なので、この価格を当てはめると1円玉の原料価格は1枚当たり約0.29円となる。

ただし、硬貨をつくるには、原料費の他に製造コストが当然かかってくる。

ということで、推測して算出された各硬貨の原価は次のとおりだ。

  • 1円玉:約3.1円

  • 5円玉:約10.1円

  • 10円玉:約12.9円

  • 50円玉:約12.1円

  • 100円玉:約14.6円

  • 500円玉:約19.9円

つまり、1円、5円、10円はすでにコスト割れしているのが現状で、その中でも硬貨の価値と製造原価との乖離が最も大きいのは1円玉ということは見てのとおりだ。

また、2022年現在、ウクライナ危機と円安が多方面に影響を広げている。

このことから、5円玉の原料となっている銅や亜鉛が値上がりし、5円玉の原価も高騰しているというのである。

このままだと、5円玉を作るための鉱物原価が5円を超えてしまうこともあり得るということで、ここに製造原価が加わるとどれくらいまで硬貨の価値と乖離が生まれるのかが懸念されている。

まとめ

あなたが消費をするとき、つまりショッピングをする際、現金を使うかキャッシュレスの人なのかによって、新500円硬貨に対する考え方も異なるだろう。

個人的に思うのが、日本の紙幣や硬貨はサイズが大きいし重たくて邪魔だ。

もっとコンパクトにつくれないものかと不思議に思う一方で、一気になくしてしまえば、結局それに慣れてしまうのにと思う自分もいる。

まあ、そうさせたくない人たちがいるということも十分に理解しているが、世界最先端技術を持っていても枯れていくものにそれが使われているいう矛盾は、なんともやるせない気持ちになるのである。

テクノロジーは有意義な場面で使われていかなければ意味がないという嘆きを添えておこう。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。