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韓国のIT企業から学ぶ金を生む哲学

我田引水(がでんいんすい)
→ 自分の利益になるよう計らい、行動するたとえ。

企業として必ずやらないといけないことがある。

それは、利益を出すということである。

利益が出せなければ、誰も幸せにすることなどできない。

ただ、そう簡単に利益が出せるのであれば苦労はしない。

そんな中、日本の隣国である韓国の企業の面白い記事を見つけたので紹介していこう。

金を生む哲学

カカオ創業者の「金を生む」哲学 宿敵・LINEとの関係は?

(出典:Forbes)

韓国のメッセンジャーアプリのKakao Talk、通称カカオを知っているだろうか。

日本のLINEのようなものだといえば、ピンとくる人も多いだろう。

そんなKakao(カカオ)は、可愛らしくてキャッチーなキャラクターたちのスタンプで、日本だけでなく世界中のユーザの注目を集めている。

韓国へ行けば必ずといっていいほど、Kakaoの代表的なキャラクターたちの専門店やグッズを見かけるという。

そんなKakaoは、チャットアプリだけでなく、配車サービスのKakao taxi、Kakao map、Kakao musicなど、様々なサービスを展開している。

今や韓国ではKakaoなしでは生活ができないといわるほど人々の生活に浸透していて、韓国最大のIT企業となっている。

Kakao(カカオ)という韓国のIT企業について

Kakao(カカオ)はまさに自社に利益を呼び込む、金を生むサイクルを実現した企業となった。

ただ、そんなKakaoの創業者は平凡な家庭で育った大手企業出身のキム・ボムスという人物である。

共働きの両親に支えられソウル大学を卒業したあと、ITサービスの提供を行う、サムスンSDSに入社。

そんな彼は、とにかく努力家なサラリーマンとしてキャリアを積んでいく。

キム・ボムスはKakaoで大成功する前に、韓国でインターネットゲームのブームを起こしている。

2000年に未来の宿敵と果たした韓国最大級のM&Aなのだが、詳細を書いていこう。


1998年、世間が大不況で苦しんでいた中、キム・ボムスは起業のために大手企業を飛び出した。

彼はサムスンSDSで、インターネット時代のはじまりに遭遇し、ヤフーの成功も目にしてきた。

人を集めることで儲ける機会が生まれると確信し、自ら安定した環境を捨てて起業したのである。

人々の生活の一部となるようなサービスを作ることで、数多くの人を集めることができる。

インターネットを使って、人を集めるビジネスについて考えた。

そうして、退職した2ヶ月後に念願だったオンラインゲームサイトを手がける、ハンゲーム社を創立。

キム・ボムスの立ち上げたゲームサイトは、花札やテトリス、囲碁など一般的なオンラインゲームを揃え、サービス開始後3ヶ月で会員数が100万人を超えた。

このハンゲームの中のゲームをプレイしたことがあるという日本人も少なからずいるだろう。

こうして、ゲームコミュニティは確立できたものの、ゲーム以外の手段でさらに会員数を増やせないかと考えていた頃、ある人物がキム・ボムスに声をかけた。

キム・ボムスとサムスンSDSに同期入社し、現在のNAVERを創業したイ・へジンだ。


1999年、イ・へジンは、サムスンSDSの社内ベンチャーとして、NaverCom(現:NAVER)を5億ウォン(4,800万円)の資本金を手に始動させた。

当時、サムスンSDSは1億4,950万ウォン(1,400万円)をNaverComに出資していた。

そんなイ・へジンが売上げをさらに上げるために、ハンゲーム社のキム・ボムスと手を組んで2000年にできたのが、NHNだ。

合併当時の資本金は22億ウォン(2億1,000万円)、従業員数96人だった。

合併した1年後には一部のゲームを有料化したモデルである、ハンゲームプレミアムサービスをローンチし、1週間だけで売上高3億ウォン(2,900万円)を突破した。

未来の宿敵と手を繋いだことを、当時は誰も知る余地がなかった。


NAVERによるハンゲーム社の買収提案を受け入れ、同社の共同代表に就任したキム・ボムスは大金を手にした。

売却した株式も含め、その額は3,000億円と推測されている。

2007年、その使いきれないような巨額な資産を持ってキム・ボムスはNHNを退職し、当時家族たちがいたアメリカで人生の夏休みを過ごすことを決める。

しかし、アメリカで過ごしていたキム・ボムスに起業を再度志す機会がすぐにやってくる。

アップル社のiPhoneの登場である。

PC上のウェブの世界が、今度はスマホを使ったモバイルの世界、いわゆるモバイルシフトが進むことを確信したのである。

こうして、Kakao Talkの創業に本腰を入れることになる。

試行錯誤の末、2010年にKakao Talkが世に送り出された。

それまで韓国では、通話やメールの送受信には料金が発生していたが、Kakao Talkが全て無料で連絡を取れるようにしたことで、一気に注目が集まった。

1年半で利用者は数千万人を超え、3年半で1億人を超えるほどに急成長した。

日本で話題になったきっかけは、2011年に発生した東日本大震災だ。

当時日本では震災によりほとんどの通信手段が遮断されてしまった一方で、Kakao Talkは問題なく使えた。

この経験によって、Kakaoはよりメッセンジャーアプリの強さを日本でも知らしめることができたのである。

なぜ日本にはKakaoではなくLINEが広まったのか

2011年の東日本大震災以降、Kakao(カカオ)が立ち上げたソーシャルネットワークプラットフォームのKakao storyは一時的に日本でも流行した。

2012年にサービスが開始し、ユーザが自らのページに現在のインスタグラムのように写真を投稿できる機能で、Kakao Talkと同時に若者の注目を集めた。

順調にKakaoが日本でも広まろうとしていたにも関わらず、なぜ日本ではLINEが覇権を握ることになったのか。


東日本大震災でKakaoが話題になった裏側で、キム・ボムスの成功をしっかり観察していた人がいた。

それが、NAVERのイ・へジンだ。

2010年Kakao Talkがサービスを始めた3ヶ月後にLINEが登場した。

LINEのローンチ後、韓国ではKakao Talkに太刀打ちできないとすぐに判断したイ・へジンがとった行動が海外進出だった。

現地メディアの韓国経済によると、NAVERは売上高全体の35%を海外が占める。

2011年6月に日本でLINEのサービスを始めたことにより、大きなインパクトをもたらすことができた。

2019年時点のLINEの月間実ユーザ(MAU)は、日本だけで7,500万人、世界1億6,500万人になるという。

それから、近年LINEは日本だけでなく、台湾、タイ、インドネシアなどでも人気が高まっている。

加えて、ネットバンキング、暗号資産などにも機能を広げFinTechの分野も強化している。

こうして、LINEは海外進出を見事に果たしたことで、韓国での市場では競えなかったものの、Kakao(カカオ)の需要を韓国内に封じ込めることに成功したという経緯だ。

まとめ

海外進出をLINEによって制されてしまったKakao(カカオ)だが、韓国国内での業績は絶好調である。

2020年の年間実績を見ると売上高が4兆1,567億ウォン(約4,000億円)、営業利益が4,560億ウォン(約440億円)となっている。

NAVERイ・へジンとのライバル関係が今後どうなっていくのか注目していきたい。

そして、2度の大きな成功を収めたキム・ボムスから学べることも多い。

サラリーマン時代に気づいた、人が集まればお金が集まる法則と新しい時代の到来を見逃さなかったことから、どんな立場であっても成功を収めることはできるという見本だ。

また、国内だけでなく海外に目を向けて事業展開している、イ・へジンからも同様に学べることは多くあることもよくわかるだろう。


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株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。