バーゼル問題について

えっと。

Σ_n(1/n^2)を計算しなさい。って問題がバーゼル問題なんだけどさ。

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~ooura/BaselProof_j.pdf

うっそ。これ、複素解析使わないで解ける問題なの……? と思って、思わず杉浦光夫の本を取り出して確認してみた。すると杉浦光夫はArcsin xの[0,1]区間上でのマクローリン級数展開がディニの定理で一様収束することを用いて計算してた。マクローリン級数展開自体がこの本ではArcsinが正則関数であることの系から出していることを考えると、複素微分を導入せずに議論するのは……ちょっと無茶だろうなと思う。というわけで杉浦光夫の本のやり方では、複素解析を経由せずにこれを出してない。

一方で、いま貼った証明は倍角の公式とはさみうちの原理、それから0<x<π/2の条件下で出てくる関係

sin x<x<tan x

を使っている。最後の関係について面倒な議論があることを、前に記事にした。

まあこれがあるからちょっと微妙なんだけど、さしあたりsin x<xは0<x<π/2の条件下で与えられてると仮定すると、x<tan xは計算で出てくるという単純な事実にこの前気がついた。で、sin x<xは、円弧の長さの定義を微積分を使わず、折れ線近似したときの折れ線の長さの上限と定義するとかなり簡単に出せるので、ここで複素解析は(上限があることを証明しなければならないというやっかいな問題を無視すれば)使わなくて済む。

残りの議論、つまり倍角の公式とはさみうちの原理で複素数の出る幕はゼロだ。つまり、なんも複素数に触れずにこの定理を証明する道があるってことだ! すげえ! マジですげえ! ワンダフルだ!

あ、それだけです。はい。実際? まあ知られてる結果ってことでいいんじゃないですか。たしかハーディとライトの『数論入門I』

https://www.amazon.co.jp/dp/4621062263

ではπが無理数であることをこの結果から出してたので、学部生レベルの知識でここを完全に補完したければまあ、ありといえばあり。でもsin x<xを完全にきっちり論理的に証明しようとしたら複素数使った方が(つまり杉浦光夫の本の第3章の通りに示した方が)楽だと思うよ?

以上です。

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