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「夢」とは仕事にすることじゃない

虎本です。

SHASEN×ステージタイガー「Re:TURN!」、最後の稽古を終えました。

この公演が最初に企画された時に学生から求められたことは

・演劇(劇団)をモチーフに

・テーマが「夢」であること

・本音をぶつけ合う

ということでした。



演劇のモチーフは可能。僕が演劇を20年以上やってきた人間だから取材も充分。

本音をぶつける…もなんとなく盛り込める。それぞれのキャラの葛藤、ぶつかり合いを描けばいい。

ただ


夢って何だろうか。


というのが、僕の中で引っかかったのです。

若者達が夢を見て追いかける姿は美しいと思うのですが、40歳を超えた僕はそれが全て叶うわけじゃないことを知っています。
夢を語ることが時に愚かな現実逃避になっている人たちもたくさん見てきました。
僕もそうでした。
20代の時に想像した今の僕はもっと高い山に登っていたはずだ。
だから。
夢に対して、夢を語ることに、否定的な考えを持つ自分がいたのです。


夢って何だろうか。


ずっと答えが出ず1行も書き出せない時に、ふとSNSで昔の教え子の投稿を見たのです。その子はダンスが好きで、単身韓国へ留学していたのですが、


夢ってのはそれを仕事にすることじゃない。
やりたいことリストだ。


そのようなことを呟いていたのです。

その言葉に僕は衝撃を受けました。
僕にとって演劇ってそうだったはずだよな!と。
高校時代、受験に追われて勉強以外何もしてなかった自分。
全力で打ち込めるものがなく、ただ毎日イライラしていた自分。
何もかも嫌になって自暴自棄になった自分。
そんな己を変えてくれた演劇との出会いに、漠然とした成功者の将来を思い描いた自分。

僕の中で何かが動き出し、
そして次々とキャラが生まれ、物語が紡がれていったのです。



稽古中、珍しく解散した前劇団の話をいっぱいしました。
演劇で食っていきたいね…なんて語り合った仲間達なのに。
あの時の僕は色んなことに一生懸命だったけど、同じくらい自分や他人を否定する事にも全力だった。結果として、みんな疲れ切った。だから夢を諦め、終わらせて、距離を置くことしかできなかった。

僕はあの時の自分に言ってやりたい。
お前が描いた夢は100%の形じゃないけど、実は叶ってたんだよ、と。
全力でぶつかれるものに出会えていたのだよ、と。

この稽古を経て、この作品を経て、
僕は夢を肯定したいと思います。
追いかける人も、諦めた人も、叶った人もそうでない人も、夢に対して向き合う人々を愛おしいと思います。

「Re:TURN!」いよいよ劇場入りです。
この物語の生み出す熱が、あなたの心に届きますように!


作品の出来?




まあ
あえていうなら。





最高や。



虎本剛


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