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方向性を定める(白井)

台本が完本し、初めての稽古。
まだ、客演に出ている劇団員や、公演を抱えた客演さんがいるのでまだまだ、全員揃っての稽古とはいかないが、本役の稽古ができている俳優にはいまが整えるチャンスの日々。
自分のことばっかり書きます。
あらすじにもある通り、主人公が命を失い、残してきた愛娘のために何ができるのか。残してきた人と、残された人たちの想いが片道通行の物語。その中で、亡くなった方の魂を正しくあの世というお布団に連れて行く役割を持った人を、演じます僕。これめっちゃ、難しいというか、課題がたくさんあって。

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うまいこと当事者を説得できない問題

なんというか、同じようなシチュエーションは他のたくさんの物語でもみてきているんですが、例に漏れずというか、やはり、亡くなった方っていうのは自分が亡くなったことに納得がいかなかったり、こちらの側の「導き」に素直に従ってくれなかったりするのがメインストリーム。もちろん「はいはいついて行きますね」ってなったら物語が展開しないので、もちろん森崎さんは逃げ出します。あ、この芝居のキモはここではないので大丈夫、こんなのネタバレには含まれない。
僕はこの戦いにはきっと負けることになるんだろうが、「神様、天使系の、亡くなった人を説得するのが下手問題」に、断固あらゆるアプローチで「あぁ、まぁまぁ頑張ってるやん、物語上仕方ないけど、善戦したね」って言われるくらいにはなりたいんです。悪魔系の人が拐かすのは結構簡単に成功するのにね。
一つの対処方法として、「神様も人間臭い」みたいなパターンもあるんですが、今回ちょっとそれはやめておこうかなと思っていまして。なぜなら後半に用意されている「人間の人間臭いシーン」がめちゃくちゃいいからなんです。

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人間の人間臭いシーンがめちゃくちゃいい問題

実は届いた台本黙読してる時点で泣いちゃいましてね。手前味噌で申し訳ないですが、涙を誘うお話でした(僕は結構涙もろかったりしますので、あんまり参考にならないかもしれません)。で、やっぱり読みながらどう演じようか考えるわけです。あ、これ僕演じてるときにもらい泣きしてしまったりしたら、お客さんが醒めちゃうかもなって思ったんです。というか、それは、別にここでいうほど大したことではないというか、こんなところに書いちゃう僕が恥ずかしい!
二つの「無理」が発生しました。語弊があるとすみませんが、オタクさん界隈の「尊くて無理」の無理、と、「演じる側が感動しちゃって、こらえるのが無理」の無理。
後者の無理が、今回役作りする流れで、越えるべき壁かなぁと今の時点では考えてます。僕の役柄としては監視役みたいなポジションであるので、お客様のフィルターのようになることがあります。そしたら、そのフィルターはなるべく素通りして、バイアスをかけないようにできればいいなと。
そしたら、えー、あんな読むだけで涙出るシーンを感動せず芝居せなあかんのぉ問題が発生したわけなんですが、それはまた今度できたらいいなと思います。

まぁ、そんなわけで。
脇を固めるための方向性が、なんとなく輪郭を帯びてきたなという実感が得られた稽古でした。ってお話でした。といって、僕が僕のことばかりを書いてしまう稽古場日記になりましたが。
人を想う、作品です。

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公演情報

SHASEN×ステージタイガー
『アイ、フロムヘブン』
演出:虎本剛
脚本:小槻 加歩 虎本剛

【日時】
2021年2月6日〜7日
2月6日(土)19:00〜
2月7日(日)13:00〜 17:00〜
※全3ステージ

【場所】
近鉄アート館
〒545-8545 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目1番地43号
あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階

【あらすじ】
町工場で働く成沢仁志は、娘・美伶の結婚に反対した夜、事故死してしまった。
迎えに来た神様たちによると、早く死後の世界に行かなければ悪霊となってしまうらしい。
哀しみに暮れる美伶の姿を見た仁志は、美伶の今後を見届けてから旅立つことを決意。
美伶と婚約者・狭間創太の様子を見守ることにするのだが、そこに魔の手が忍び寄る!
一方、父と喧嘩別れになってしまった美伶はなんとかして父への想いを残そうと奮闘するが...?
果たして二人は無事に結婚式を挙げられるのか、そして仁志は無事に旅立てるのか!?

【キャスト】
森崎 正弘(MousePiece-ree)
笠松 遥未(Z system)

佐藤 俊作(MC企画)
和田 明日香(イズム)
山中 麻里絵
岡田 怜奈

松本 未来(日本写真映像専門学校)

- 以下、ステージタイガー -
小野 愛寿香
谷屋 俊輔
白井 宏幸
南 由希恵
ザキ有馬
鍋海 光
椿 優希
池治 徹也
なんきちこ

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