変化を見守る。
今日も寒いですね~。
今日は、不登校生を指導した経験について書いてみます^^★
初めて塾に来た時は、中学1年生だったBさん。
緊張した面持ちで、体験授業に来てくれました。
中学受験を経験し、集団塾への通塾経験もあるBさんは、ノートまとめがとてもきれいにできていることが印象的でした。数学では途中式の書き方もばっちり、英単語も復習しやすいように自分でまとめていました。
勉強すること自体に不慣れな生徒さんは、ノートにうつす・まとめる方法がわからない事が良くありますが、その点、彼女は全く心配がない生徒さんでした。
勉強の基礎力もあるので、授業もスムーズです。
しかし、Bさんは驚くほど寡黙で、授業中まったくしゃべらない子でした。
自分で納得しないまま解説だけ聞いて、問題を進めていくのは嫌いなようで、途中で分からなくなると体をこわばらせ、表情も険しくなります。でも、決して自分から「わからない」とは言いません。
私が「難しいよね、これ。この辺りがわかりにくいかな?」などと質問しても、無言。
唇をきゅっと固く結び、ひたすらノートに書いては消し、書いては消し、を繰り返します。
Bさんも解けないことにいらだちを感じるようで、ノートは乱雑になり、舌打ちをしたり、ぽろりと
涙を流したり・・・。
しかし私が話しかけても決して言葉は発しません。初めは私も、コミュニケーションの取り方に戸惑う事もありました。
私も言葉を替えたり図表を使ったり、いろいろと工夫して何度も「理解してもらおう」と説明を繰り返しますが、Bさんの体は固まるばかり。塾も休みがちだったり、遅刻をしたり、不安定な状態が続いていました。
そうしているうちに、「ああ、Bさんは納得いくまで自分の力で考えとおしたいんだな。自分の力でわかりたいんだ。」と思うようになりました。
それからは、一通り解き方を説明した後は、Bさんの考えたいように考える時間をつくるようにしました。ちょっとしたヒントや、「テキストの〇ページを見てごらん。」という簡単なアドバイスだけをして、私はひたすら待ちました。
初めは時間がかかりましたが、徐々にBさんが自力で解けることが多くなっていきました。
そして、些細な変化が見られるようになってきました。問題を解き終わった後、寡黙でいつも緊張した面持ちだったBさんが「うん。」と納得した声をだし、少し表情をゆるませるようになってきたのです。
それからは、分からない時は「うーん・・・?」と言葉にはならないまでも、少しずつリアクションを見せてくれるようになっていきました。
「この辺りが分かりにくい」「暗記が苦手で・・・」など、自分から意見を伝えてくれるようになり、笑顔を見せてくれることも増えました。
勉強が学校の進度に追いついたことで自信がついたのか、学校にも少しずつ学校にも通うようになりました。
それから3年間、REOに通ってくれたBさんは、受験勉強にも前向きに取り組んでくれました。3年生になったころには私とも打ち解け、休憩時間は笑顔で話してくれるようになりました。でも本当に本音で話してくれるようになるまでには1年ほどかかったと思います。もちろん3年の間には休みがちになったり、精神的に不安定になったり、いろんなことがありました。3歩進んで2歩下がる、ということを繰り返して少しずつ進んでいきました。
無事志望校に合格できたBさんは、最後の授業のときに私にお手紙を書いてきてくれました。内容は秘密ですが、いつも私の手帳に挟んであり、私の宝物です。
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