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A-2 STがChatGPTに聞いてみた!「吃音の原因は?」

こんにちは、言語聴覚士のSuke(すけ)です。

この記事ではことばの専門家である言語聴覚士(通称ST)が、ChatGPTに様々な質問をしてみるシリーズの第2段です。


吃音とは?

今回は、ことばがうまく話せない症状の一つである「吃音」がテーマです。
吃音は、
①「わ、わ、わ、わたし!」の様に、はじめの音を繰り返したり、
②「わーーー、たし!」の様に、はじめの音を伸ばしたり、
③「…、…、…っわたし!」の様に、はじめの音がつっかえる
といった主症状が見られるのが特徴です。

みなさまが幼稚園や小学校に通われていた時や、ご家族、近隣の方、お子様の学校など、いままでに1度は聞いたことがある、話したことがある方が多いのではないでしょうか。この吃音は幼少期にとても多いことが特徴の一つで、成人になってからもこの症状に悩まれている方がおられます。

私も吃音を専門領域とするSTの1人になりますが、
多くの方から疑問から「吃音は何が原因ですか?」とよく聞かれます。

 先にその疑問にお答えすると、吃音は日本だけでなく世界中で研究されており歴史がとても古いですが、根本となる原因については未だに解明されておりません。そのため、完治できる薬も開発されていないと言われています。
 さて、その吃音の原因について回答がわかっている中ですが、とても便利なツールのChatGPTに質問してみたら、いったいどの様な答えを返してくれるでしょうか。

実際にChatGPTに聞いてみた!

Q.吃音の原因は何ですか?

吃音は、話す際に音や音節、言葉が途切れたり繰り返されたりする言語障害です。発症する原因は脳の言語処理や運動制御の調整に関わる神経機能の異常で、遺伝的な要因も影響を与え、子ども期に発症することが多く、社会的な障害を引き起こすことがあります。
以下は吃音の原因について詳しく説明します。
1.体質的要因:
 - 吃音の原因の約70%は体質的な要因によるものとされています。
 - 遺伝的な要因も含まれており、吃音になりやすい素因(素質)があると考えられています。
 - 体質的な要因がある子どもは、言語を獲得する過程で吃音が起きることが多いです。
2.発達的要因:
 - 発達の途中段階である子供にとって、周囲から高度な要求をされることは、時には混乱につながります。
 - 言語発達が高まった子供がたくさん話そうとした時、未熟な能力では話すことに限界があります。
 - 発達段階における要因が、吃音の増減に関係することがあると考えられています。
3.環境的要因:
 - 子供の周りの環境による影響が、吃音を増減させることがあります。
 - 周りの人が早口であったり、母国語と第二言語など家庭内で2つの言語が話されていることも、子供にとってはストレスに感じるかもしれません。
4.学習的要因:
 - 吃音を経験するたびに、「どもってはいけない」という吃音への否定的な考え方が生まれることがあります。
 - どもるたびに学習される負の経験は、吃音の増減に関わることが多いです。

 総じて、吃音は多様な要因が複雑に絡み合って起きるものであり、特定の原因を特定することは難しいです。現在できることは、今のあなたの吃音が良くなること、生活に支障をきたさないことに意識を向けることが大切です。

ChatGPTより(2024年5月現在)

 結果はわかっていましたが、、、やはりすっきりした回答を得られることはできませんでしたね。どの内容も原因かもしれない…の域を越えられない状況です。例えば、1.体質的な原因は70%ととても多いですが、両親や祖父母の方が吃音であっても、お子様に発症しないケースもあります。

 ここで、一つ気づいて欲しいことが有ります。それは、「親のしつけや叱責が原因」とは書かれていない、ことです。気づかれた方はとても素晴らしいです!
吃音の歴史に、親の育て方が原因だ!という説が長く信じられていた時代がありましたが、現在ではこの説は研究論文が出され否定されています
吃音が発症するかしないかの原因は、脳が関連しているが、まだ明確には解明されていない、というのが正しい知識になります。

 吃音ではない方でも、この症状が出てしまうことがあります。例えば、発表会や司会・進行役、運動会の応援団や、初めての方への電話、受験の面接など、このような場面でお話をするのはどうでしょうか。多くの方が、身体が硬直したり、冷や汗をかいたり、緊張からうまく言葉が出せない経験をされたことがあると思います。
 吃音の方にとってもこの”緊張する場面"というのは、症状の増減に大きく関係しています。他にも、楽しくて興奮しているときや、感情的になり早口になってしまうときなども、症状が増えることが多いです。

もし吃音が発症してしまったら?

 吃音は、2歳から3歳ごろの2語文や3語文を獲得する際に発症する、発達性吃音が最も多いです。この幼児期に吃音が発症してしまったら、どうしたらよいでしょうか。
 まずは、環境調整を行うことをお勧めします。例えば、花粉症を発症された方は、鼻水や涙、くしゃみなどの症状があり、ご自身はマスクやゴーグルを着けて対策などをしますが、その時、周りの方はどのような気遣いや配慮をするでしょうか。帰宅時に服についた花粉を払ってから家に入ったり、車や電車などでの移動中は窓を開けないようにしたり、ティッシュが無くならないように普段より多くストックしておいたりとされると思います。このような日常生活+αの配慮がまさに環境調整になります。吃音症状の場合は、下記のような環境調整をお勧めします。

オススメの環境調整とは?

・生活リズムをゆったりと!
 普段よりも声をかける時はゆっくり話しましょう。また、料理・食事、掃除・洗濯、着替えやお風呂など、日常生活の行動もゆっくり活動しましょう。特に、朝の活動は5~10分でもよいので早起きし、時間にゆとりを持つことをお勧めします。このようなゆったりとした活動は、過度な緊張場面を減らすことが期待できます。

・話し方ではなく、話の内容に注目する!
 「もっとゆっくり話して」や「力を抜いてもう一回話して」など、話し方を注意されてしまうと、どなたでも不快に感じると思います。吃音症状がでてしまった時には、「うん、そうだね。〇〇だね」と復唱したり、「今〇〇のお話のことかな?」と話の内容を質問したり、「」など話し方ではなく、話している内容についての質問を返してみましょう。

・簡単な質問から複雑な質問へ!
 
急に「なぜ?」と聞いてしまうと、返答にたくさんのことばが必要です。
話はじめには、うん/いいえで答えられる質問や、選択肢から選ばせてあげる質問から始め、徐々にいつ?どこで?なに?と単語で答えられる質問、とステップを上げていきましょう。

・お話をする時間を作る!
 1日のなかで10~15分ほど、お話をする時間を確保しましょう。忙しい日常生活の中で、吃音症状に悩みを抱え始めると、口数が減ってしまったり、周りに気づいてもらえなことがあります。吃音症状が出ても話を聞いてもらえる!という機会がとても大切です。

このような環境調整は、ママだけではなく、パパもご兄弟・姉妹も、おじいちゃんもおばあちゃんも、そして保育園や幼稚園の先生も含めて、みんなで行うことがとても大切です。

それでも症状が続く場合は…

 もし環境調整を続けても、症状が半年以上続いたり、症状が増えてしまったり、本人の困り感が大きくなってしまった場合などは、専門的な機関の受診をお勧めいたします。世界中での長年の研究から、本人の症状や困り感、周りの環境などによって、いくつかの効果的な治療法が開発されています。

 私のことばの相談室では、オンラインにて吃音のご相談や、幼児吃音の治療法の一つであるリッカムプログラムも提供しています。また年齢は問わず、学生の方や成人の方の吃音相談も受け付けております。
 初回は無料相談を実施していますので、お気軽にお問合せください。


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