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「ファーストラブ」は人を理解する難しさをあらためて教えてくれた映画

2月11日の祝日、映画を見に行こうかと上映スケジュールを確認していると、前々から気になっていた「ファーストラブ」の舞台挨拶中継込みの席が空いていたの、見にいきました。

第159回の直木賞を受賞した島本理生原作の小説「ファーストラブ」をSPEC、イニシエーションラブ、望みを撮った堤監督が映像化した作品です。


見終わった後に、
まず抱いたのは「センシティブな重い映画」という印象だった。

各登場人物がそれぞれ辛い過去を背負っており、
特に父親殺しの容疑をかけられている環菜(芳根京子)の幼い頃に受けていた性暴力に関してはかなり辛い。環菜の過去に受けていた事実を知るたび、胸が痛くなる。
就職活動の面接の仕組みにも腹が立つし、森会長の報道も頭をよぎった。
そのため、見終わった後はどこか重たさがあった。


しかし、直後の舞台挨拶の監督・キャスト陣のトークや特に堤監督の「暗いイメージが強いけど、実は光が射す。前向きな作品である」というコメントを聞いて、一気に映画の印象が変わった。

確かに目を伏せたくなるような辛い過去を背負っているが、
最終的にはそれを自己解決するのではなく、打ち明けたり、誰かが受け止めてくれることで、トラウマを乗り越えることができるのかもしれない。

環菜は最も身近な存在である家族から助けてもらうどころか、追い詰められていた。そこで偶然出会った裕二に助けを求めたが、最終的に救われることは無かった。
しかし、事件の背景を熱心に追う由紀が環菜の一番の理解者となり、その結果裁判では判決を覆すことはできなかったが、最後の環菜の手紙や表情は新たな人生を歩みだした前向きな姿であった。まさに希望の光のようだった。

また、映画を振り返る中で自分を守るための行動、「防衛本能」が印象深かった。
何か想定外の出来事が生じたときに、咄嗟に自分だけを守る行動。

それは迦葉(中村倫也)と由紀の一夜の際の発言や、
環菜の父親が無理やり環菜を連れ戻してきた時の裕二の行動、
そして、身体の関係を求めてきた相手に対して拒否せずに、笑っていた環菜、
すべて防衛本能によるものだと思う。
その瞬間だけ、自分のことだけを守ろうとした行動によって、誰も救われず、むしろ周りの相手が傷つき、結果的に自分を傷つける結果となっていた。

どこか昔の自分に重ねてしまい、強がって自分を守るために見ないフリや、先に相手を傷つけてしまったことがあったな、と懐かしもあり、ちょっとした罪の意識を感じた。
自分だけ守るのではなく、相手がどう感じるのか、それを意識しなければならない。
そうでなければ、自分も裕二と同じ罪の意識を背負うことになるかもしれないと自分自身反省した。

また、同時に相手を理解することの難しさを痛感した。
人間はある一面しか相手に見ておらず、その防衛本能として見せている一面であっても、その姿を見てどうゆう人間かを判断してしまう。相手のことを全て知ることなんでほぼ不可能であるとわかっているけど、人と人とが本当に分かり合えることは本当に難しい。

「ファーストラブ」は自分にとって、人を理解する難しさをあらためて教えてくれ
た映画であった。


そして、この映画のタイトルが本当に素敵だなって思う。おそらく「ファーストラブ」を表す意味は、見た人によってそれぞれ違う気がする。
自分にとっては、初めて受ける愛とは生まれた環境である家族から受けてる愛でありながら、受け取れなかった環菜にとって、初めて全てを理解してくれた由紀への想いを表しているのではないかなっ思う。

天才ですね「島本理生」さん。

後、豪華なキャスト陣で、演技が抜群にうまい。
その中でも環菜役の芳根京子の演技が凄すぎた。インタビューで本人がコメントしていたみたいに本当に役が乗り移っているのかと思わされる。
顔の表情だけでも表す演技が本当にすごかった。これからももっと注目したい女優さんだと思った。

スルメのような噛めば噛むほどのように、思い出せば思い出すほどいい映画だと思う。

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