発達障がいの子が、就学後戸惑うあるある
こんにちは、フリーランス言語聴覚士の三輪桃子です。
言葉やコミュニケーションの成長に手助けが必要な子を支える仕事をしています。※言語聴覚士は国家資格です。普段は、保育園の巡回相談をしたり、小児科クリニックで働いたりしています。
私は、毎週InstagramのLiveで小児科医の石川道子先生の、「発達障がいの対応講座」を主催しています。石川先生は、言わずもがな、発達障がい界隈のレジェンドで、30年以上にも渡って多くの子を診察して来られました。また、先生は成人しても長らくお付き合いのある子が沢山おられるので、お子さんやご家族の成長過程を縦軸で見てきた時に「幼児期や学齢期のいま、必要だと思うこと」を痛感しておられるそうです。
この知見は、おそらく「いま子育てをしている人」「いま支援をしている人」はどう足掻いても持ち得ないものだと思います。私は、そんな石川先生の経験から得られた知見を「いま困っている」「今後に不安があるが先が見えない」広く親御さんや支援者に知ってもらいたく、Liveを開催しています。
Liveリンクはこちら⇩
https://www.instagram.com/hattatsu.hoiku.gakkou/
さて、今回のテーマは、「発達障がいの子が就学後に戸惑うあるある」です。これは、発達障がいのお子さんだけでなく、おそらく全てのお子さんがぶつかる課題だと思います。ぜひ、就学前のお子さんがおられる親御さん、その一体を支援する支援者の方々に読んでいただけたらと思っています。
床文化と、椅子と机文化
小学校と園では様々な文化の違いがあります。この違いは、大人からすると「大したことない」と思えるかもしれませんが、子どもにとっては、これまでの経験を覆されるような大きな文化の違いもありあす。
その1つに、園での「床に座って良い文化」と、学校の「椅子に座る文化」の違いがあります。園では、着替えや遊びを床で行ってOKです。でも、学校に入った途端、「ちゃんと椅子に座りなさい」と言われてしまいます。
また、学校だと机の上が自分の物を広げてもいいエリアなので、園時代のように着替えを床の広範囲に置く形では通用しなくなります。そして、床に置いた着替えは、残念ながら落とし物箱にいくハメになるのです。
年長くらいになると、着替えを立ったまま行ったり、机の上に置いて練習してる園があります。それは、おそらく就学後を見越した準備なのだと思います。園で練習するか否かは、その園の考え方だと思いますが、新しい環境になじむのに時間がかかるタイプの子は、園やご家庭で少しでも学校スタイルで生活する練習があると良いと思います。
トイレでの恐怖体験
トイレトラブルが増えるのも、就学以降なのではないでしょうか。トイレに間に合わなかった、排泄行為がらみのことで揶揄われたなどのトラブルは、とてもデリケートな問題で、子どもにとっては嫌な記憶として残りやすいです。
排泄動作は、女の子の場合は一定の場所で行うのですが、男の子の場合は、立ち便器で用を足す方法を習得しないと、トラブルの元になる場合があります。これは、小さい頃はあまり問題にならないのですが、第二次性徴以降大きな問題になってきます。
しかし、現在はご家庭では洋式トイレが主流になっているので、立ち便器はを練習する場所がありません。そこで、トイレ動作に不安があるお子さんは、行く学校によって異なる学校のトイレ事情を調べて、事前に練習できれば良いと思います。
また、トイレに行く感覚を掴めず、間に合わずに漏らす可能性がある子に関しては、トイレにいくタイミングを練習したり、担任の先生に声をかけてもらうなどの打ち合わせがあると安心です。
最後に、子どもが使っているトイレを使えるのが1番望ましいですが、トイレトラブルが起こりそうな場合には、職員室にある先生たちが使うトイレの使用を許してもらうなどの対応も、1つの選択肢だと思います。
生活動作の自立度からの、学級の選択
学校先生たちは着替えの時に教室に張り付くことはありません。そう考えると、ある程度、着替えを始めとする生活動作が自立してないと、小学校以降の生活に困りが強くなる可能性があります。
学校は、生活動作が完成してることが前提なので、生活動作の定着が不十分な子は、特別支援教育を選ぶことも1つの選択肢です。なぜなら、特別支援教育というのは「生活動作も教えます」という体制だからです。
特別支援教育の中でも、特別支援学校は、生活動作をがんばって身に付けていくことが目標です。一方、特別支援学級は生活動作は一定限出来るものの、普通学級の中では不完全なところがある子を上手く補強していこう、というシステムです。普通学級や通級では、生活動作面のフォローを受けがたいのが現実だと思います。
生活動作は、本人が身に付けようと思って練習すれば、定着するでの時間に個人差はあるものの、絶対に身につきます。でも、学校に入ると勉強に時間が取られるので、就学後に生活動作の練習に時間を割けない場合もあるのです。
一般的によく使われている、まずは普通級で頑張って、何かトラブルが起こった時にクラスを移りましょうという方法を取ると、トラブルの時には本人の状態がどうしようもなくなっている場合があります。それを避けるために、特別支援学級に入って、自分で動けるようになってから普通学級に移籍する方法もありだと思います。
学習の力が高い子は、最初は生活習慣を定着させることに時間を割いても、後からでもあっという間に学習をマスターします。まずは慣れて気持ちよく学校にいけることを優先する方が良い子もいるのです。
学習スピードが周囲と合わない子の、学級選択
子どもには、いろんな学習のタイプの子がいます。学習が積みあがるのに繰り返しが必要な子もいれば、課題の量を少なくすると記憶できる子もいれば、少なくしても本人が自発的に使わないと記憶に入らない子もいます。個人をどう伸ばして行くかを考えて、個別のカリキュラムが必要なのではないかと思います。
また、学習スピードが速すぎる子も、周囲とペースが合わずに苦労することがあります。特に1年生の始めは、知ってることばかりなので、学習が早い子は、周囲のスピードを遅すぎると感じやすいです。その時は、生活に慣れるという目的だけでなく、自分の興味や学習のペースに合わせて学習を進めて行く目的で、最初は特別支援学級に進むのも1つの選択肢だと思います。
理想が「普通級」という現状が、少し違和感があるように思います。少人数の環境で、本人の興味の持ったものを学習させることでぐんと伸びる子もいるのです。
関東圏、大阪、兵庫あたりは私立の学校が多いので、公立以外の選択肢から学校を選べる場合があるでしょう。ご家庭が経済的に恵まれてて、地区の選択肢の幅が広い子は、学校嫌いにならないように、私立の学校を選択することも視野に入れても良いのではないでしょうか。ただし、子どもを受験に適応できるようがんばって練習させる必要もでてくるだけでなく、私立の学校は生活スキルが高く自立していることを求められる所も多いので、慎重に本人の状態に合うかをアセスメントすることが必要です。
学校や学級選択は、基本的には「保護者の希望に沿って」という形になります。保護者がきちんと情報を得て、今のこの子だったらどこの学級が1番学校が楽しめるかを考えていけると良いと思います。
昔は、通級や支援員が付いて学習するといったスタイルがまだなかったので、保護者の方は普通学級で授業受けた方が多いと思いますが、時代は変わっているで、改めて学校を見学されてみても良いと思います。
特別支援学級は担任の先生や構成メンバーによって全然違う場所になります。学級間の差が大きいので、行こうとする特別支援学級の状態が、細かく分からないと判断が出来ません。見極めが難しいですが、先生と話してみて、先生や学校の柔軟性を見て、お子さんに合う学校を選択していけると望ましいのではないかと思います。