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就学相談の波にのろう

こんにちは、フリーランス言語聴覚士の三輪桃子です。
言葉やコミュニケーションの成長に手助けが必要な子を支える仕事をしています。普段は、保育園の巡回相談をしたり、小児科クリニックで働いたりしています。

私は、毎週InstagramのLiveで小児科医の石川道子先生の、「発達障がいの対応講座」を主催しています。石川先生は成人しても長らくお付き合いのある子が沢山おられ、お子さんやご家族の成長過程を縦軸で見てきた中で「幼児期や学齢期のいま、必要だと思うこと」を痛感しておられるそうです。

私は、そんな石川先生の経験から得られた知見を「いま困っている」「今後に不安があるが先が見えない」広く親御さんや支援者に知ってもらいたく、Liveを開催しています。

Liveリンクはこちら⇩

さて、InstagramLiveを聴いて下さっている保護者の方から「年中の秋に学校相談に行くのですが、何を聞いてきたら良いですか?」という質問がありました。

今回は、その質問を起点に、就学前相談(準備)についてお話していきたいと思います。ここでの就学前相談とは、就学前に、教育委員会や学校などと、学級のことや受けたい援助などを話し合っておくことを指します。就学前にできることの1つとして、必要な方に情報が届くことを願います。

学校見学や相談にオススメの時期

質問者の方を驚かせてしまうかも知れませんが、実は、年中さんでの学校相談は、あまりオススメではありません

理由としては、子どもは、年中から年長にかけての1年で大きく様子が変わるということ、また、公立小学校の先生は転勤があるので進学予定の学級の先生が年中〜就学までの2年のうちに入れ替わる可能性があるためです。

ですから、学校側としても、「今見学されても…」という心情になりやすく、場合によっては「来年改めて来て下さい」と言われることもあると思います。しかし、保護者の方はその言葉にがっかりする必要はなく、相場がそのような形だと思えば良いのです。

もし、年中さんのうちに学校相談に行かれるのであれば、今の学校は1年生の子にどのような事を要求してるのかを聞いてくると良いと思います。それを聞いて、「1年間頑張ってきます」というスタンスを取りましょう。また、「来年のいつごろ改めて相談に来たらいいですか?」と段取りを確認することも良いと思います。

一方、階段を上るのが1年では難しい、車いすが必要、施設の改造が必要といった、身体的に援助が必要で環境調整の必要があるお子さんの場合、できるだけ早く学校に相談にいくことをオススメします。学校側の、次年度の予算を早めに決めるいう事情を見越した動きです。

年長児はみな受けられる就学相談って何?

市区町村ごとに、年長児を対象にした「就学相談」というものがあります。お住まいの地域によってシステムはバラバラなので一概には言えませんが、教育委員会が就学相談を開くところもあれば、通う予定の学校で直接相談する場合もあります。

いずれかがわからない場合は、市区町村の教育相談の窓口に、「就学相談をしたい」と申し込んでもらう形が、1番スタンダードかと思います。就学相談は、基本的には保護者の希望があれば開催されるものです。逆に言うと保護者の希望がない場合は開催されない点は注意が必要です。

就学相談では、子どもの発達を測る検査をしたり、保護者の方から生活の困りごとを聞いたりしながら、「どの学級で学ぶのがその子にとって望ましいか」という判断をしますが、最終的にはどのような判定が出ても、保護者が希望する学級に入ることができます。

就学前の段取りを、スムーズに進めるには

学校での生活に心配事があるお子さんの、就学前の段取りは、スケジュールの逆算が重要です。まずは、「就学指導委員会」の時期を知っておく必要があります。基本的には、就学指導委員会が終わった後では、学級の調整をするのは難しい場合が多いためです。

地域差がありますが、一般的な流れとしては、
6月頃〜秋口にかけて就学相談が行われます。また、9月末〜11月のタイミングで、全生徒を対象にした就学前健診が行われる所が多いです。それらの結果を踏まえ、就学指導委員会で新年度の人員配置や予算建てをする流れになります。

学校に相談にいくタイミングとしては、就学時検診前がオススメです。先に相談できていれば、健診の際も少し目をかけてもらえるかもしれません。また、夏休みは、先生たちは勤務されているものの生徒がいないので、夏休みに相談を受けている学校もあるようです。

就学相談の時期を逃したが、就学が心配な時は


保護者が、いよいよ就学間近になった時に、具体的な想像ができるようになり、より心配になることはあると思います。また、年長時の園行事の様子を他の子と比べて、心配になる場合もあるでしょう。

おそらく、そういった駆け込み相談は、教育委員会ではなく学校に直接持ちかけた方が良いと思います。学校も忙しい時期ではあるものの、来年度のことなので、聞いてくれる可能性が高いです。

ということで、こういった年長さんの駆け込み需要があることを考えると、年中さんはどうしても対応しきれない場合がある、ということが想像されます。

学校の先生と良い関係を築くために

もし、学校の先生と保護者が対立関係になり、学校では「先生のいうことを聞いてね」と言われ、家では「先生のいうことなんて信じなくてよい」と言われた場合、子どもは混乱します。

特にASDの子は、まっすぐで平和に生きたいと思ってる子が多いので、対立してる人間関係の中では上手く力を発揮できない場合があります。

なので、就学相談をかわきりに連綿と続く「先生との関係性作り」は、保護者の方にとって、自分のお子さんを守る上でとても大切になります。

昔出会ったお母さんが、お子さんが学校でいつもトラブルがあるので、学校に行くと会う人会う人に「すみません、いつもお世話になってます」とひたすら言い続けていました。後々振り返ると、そのお母さをは、気にかけてくれる人に囲まれていて、発達障害が何者か不透明な時代でも、割と一生懸命働きかけてくれる先生に出会えています。

やはり、保護者自身も助けてもらえる人になる、というのは大切なことだと思います。

学校の対応に不満をもったら

就学相談、学校相談から、すでに学校の先生との関係性作りは始まっています。

その中で、もしも対応に不安を感じた場合は、その学校自体をあきらめるのではなく、学校は沢山先生がいることを生かし、話し合える先生を見つけていくことが大事だと思います。

例えば、就学前の学校相談の際には、「しつこくて申し訳ないのですが、ここが分からなかったので、教えてもらえますか?」と何度も尋ねても良いと思います。

また、たとえば「食事や健康面のことで心配があるので、養護の先生と話させてもらえますか」といった形で、いろんな先生を出してもらうのも1つだと思い思います。

そして、先生たちは個人個人はすぐどうにかしてあげたいの思っても、あれだけ大きい組織を動かすことは簡単ではないことも、念頭に置くと良いと思います。

だから、保護者としては「あれだけ言ったのに何で変わらないの?」と思うこともあると思いますが、先生を責めても解決しないことが多いので、どうやったら動いてもらえるかを考えた方が得策だと感じます。

例えば、「先生も、最初に昨年までの情報を引き継いでもらえてたら、きっとうまく対応されましたよね。情報不足で上手く動けなかったことを、ぜひ学校のなかで発言してくださいね。」というように、小さな抵抗ですが、先生が悪いのではないのです、でも困りましたよね?スタンスを取ります。

すぐには上手くいかないこともあると思いますが、小中高とだんだん保護者の方の先生に対応するスキルが上がっていくことを願っています。


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