あんただからかな?
バイトからの帰り道は、今シーズン一番の冷え込み。
蓮加:やっば、完全に服装間違えた。
と、寒そうな蓮加。
○○:大丈夫ですか?
蓮加:まぁ…凍えながら帰るしかないっしょ。笑
すると
○○:…よかったら、これ着ます?
着ていた上着を脱ぐ○○。
蓮加:え!?いいよ、あんたが寒いでしょ。
○○:俺んち目と鼻の先だから、最悪全裸でも帰れますよ。笑
蓮加:あはは、捕まれ。笑
けらけらと笑いつつも、寒そうな蓮加に
○○:れんたんが風邪引くのも嫌なんで、遠慮しないでください!
そう言って、蓮加の肩に上着をばさっと被せ
○○:じゃあ!俺はこれで!
そう言って、Tシャツ1枚で寒そうに帰っていく○○に
蓮加:あっ!ちょ、ちょっと…!
追いかけようとするも、目の前の信号が赤になり
蓮加:ったくもう…せっかちなやつ。
すると、強くて冷たい風が蓮加を吹きさらし
蓮加:うぅ…さっむ。
寒さに負けて、追いかけるのを諦め○○の上着に袖を通す蓮加。
蓮加:…。
指先まですっぽりと隠す袖を見つめ
蓮加:(…ぶかぶか。)
でも
蓮加:(あったかい…。)
蓮加:(あいつ体温高すぎん?笑)
思わずクスッと笑ってしまいながら、帰路につく蓮加でした。
――――――――――
その後、夜。
📱:prrrrr...
○○:『あっ、もしもし…。』
蓮加:もしもし。どったの?
○○:『…もう家着きました?』
蓮加:着いたよ。あ、上着ありがとね。おかげで凍えずに済んだわ。笑
すると
○○:『そのことなんですけど…』
蓮加:え?
○○:『あの…前、れんたん潔癖だって言ってたじゃないですか。』
蓮加:あー…うん。言ったかも。
○○:『だから、その…俺が無理矢理上着着せたの、かえって余計なことしちゃったんじゃないかなって…。』
電話口で、バツの悪そうに話す○○に
蓮加:あはは、もしかしてそれで心配になって電話してきたの?笑
○○:『まぁ…。』
蓮加:大丈夫、全然平気だったから。笑
電話から聞こえる蓮加の笑い声に、安堵する○○。
蓮加:なんでだろうね、あんただからかな?笑
○○:え…?///
蓮加の一言に、思わずドキッとしていると
蓮加:なんてね♪ところでさ、上着返すの次シフト被った時でいい?
○○:『あっ…、はい!大丈夫です!』
蓮加:おっけー。じゃあ、また持ってくね。
○○:『はい。』
蓮加:ふふっ、じゃあ…今日はありがと。おやすみ。
○○:『えっ…あ、おやすみなさい…ませ。』
蓮加:ませって何よ。笑
○○:『いやぁ…。笑』
最後にちょっと笑って、電話が切れると
蓮加:…。
蓮加:(…あいつ家帰ったあとも蓮加のことなんか考えてんのか。)
そう思いつつ、ハンガーに掛けた○○の上着を眺め
蓮加:…。
蓮加:…///