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思いを込めて

2月14日、バレンタイン。


そんな日に…まさかの大残業。


全て終えた後の帰り道は、すっかり真っ暗になっていた。


○○:昼間は暖かかったけど、やっぱ陽が沈むと寒いな。


和:…うん。


すると、和の小さな手が…○○の手を控えめにきゅっと握る。




和:…○○。


○○:ん?


和:ちょっと…寄り道したい所がある。いい?


○○:寄り道…?


――――――――――


手を繋いで歩いて来たのは、クリスマスイブに初めて唇を交わした、あの広場。


あの時と…同じベンチに腰を降ろす。


和:好きなんだ…ここ。




○○:…まだイルミネーションやってるんだなぁ。


和:そうだよ。でも…よく見て?


○○:えっ…?


和:クリスマスの時とは…違うでしょ?


○○:ああ…たしかに。


全体的に赤やピンクの暖色、そしてハートマーク多めの“バレンタイン仕様”。


和:…○○。


和:ハッピーバレンタイン♡




鞄から小箱を取り出し、○○に向かって差し出す和。


○○:なぎ…///


和:えへへ…受け取ってくれる?


○○:…うん。ありがとう。


想いのこもった箱が、和の手から…○○の手へ。




和:どこで渡そうか迷ったけど…職場はちょっと恥ずかしいから、ここにした。思い出の場所だもんね。///


○○:…。///


照れながら笑う和を、愛おしく感じてたまらない○○。




和:ちょ、ちょっと…!///💦何か言ってよ、恥ずかしいじゃん…///


○○:ごめん、なんかもう…嬉しくて。笑


和:もう…///


○○:これ…開けていい?


和:うん、もちろん♡


可愛く包まれた箱を丁寧に開けると、中には和の手作りチョコ。


○○:わぁ、めっちゃ可愛い。




和:へへ、昨日仕事終わった後お家帰って作ったんだ♡


○○:マジで…?大変だったろ。


和:まぁ…おかげで今日は寝不足。笑


○○:ごめんな…今日、残業させちゃって。


和:ううん。○○のために作ったチョコだからいいの。


和:一生懸命作ったから…食べてみて?


○○:うん。じゃあ…いただきます。


1つ取って、口の中へ。


和:…。


もぐもぐする様子を緊張の面持ちでじーっと見つめる和。


○○:ああ…、美味い!なんだこれ、すげぇな。




和:…よかったぁ〜。笑


安堵の表情の和。


和:○○、甘いの好きそうだから甘々にしてみたの♡


○○:俺そんな甘党のイメージある?


和:あるよー、ブラック飲めないお子ちゃまだもん♡


○○:…聞くんじゃなかった💧笑


苦笑いの○○。


和:あと、チョコ以外にね…もう1個あるの。


○○:えっ…?


すると、和の鞄から箱がもう1つ。




和:じゃんっ♪


○○:これは…ネクタイ?


和:そう。○○に似合いそうなの選んでみたの♪


○○:ええ、嬉しい…!


和:だから…着けてみてほしいな?


○○:わかった。


今着けているネクタイをするすると外し、和から受け取ろうとすると


和:だめ、私が結ぶ。笑




そう言って、座ったまま身を乗り出し…○○のシャツの襟にネクタイを通す。


○○:…。///


顔が近くなり、なんとなく照れくさそうな○○。


和:ほんとはね…私が好きな黄色系にしようと思ったんだけど、あんまり派手なのも嫌かなと思って青系にしたの。


和:あと…よく見たらね?


○○:…?


和:生地とか…刺繍とか、ちょっと和風っぽい感じになってるの。


○○:へぇ…?




和:“和”だから…結ぶ時に私を感じてもらえたらなって。///笑


自分で言っておきながら照れる和。


和:…はい、出来た♪


ネクタイを綺麗に結び、ポンと叩く和。


○○:似合ってる?


和:暗いからよくわかんない。笑


○○:なんだよ。笑


和:まぁ…何着けても似合うよ、○○なら。


和:…かっこいいから♡///




照れて赤くなった頬を隠すかのように、○○の胸にぺとっと額を付けてくっつく和。


○○:なぎ…///


そのまま、抱きついた状態で


和:…喜んでくれた?


そう、和が尋ねると


○○:…当たり前だろ。


○○:ありがとう…なぎ。




和:…ふふ♡


そっと、和を抱きしめ返す○○でした。


――――――――――


その後、和を家まで送っていき


○○:今日は…ほんとにありがとう。なんか、幸せな気持ちになれた。




和:そっか。よかった♡


嬉しそうににっこりと笑う和。


○○:じゃあ…また明日、職場でな。


すると


和:…○○。


○○:ん…?




和:女の人が男の人にネクタイを贈る本当の意味、知ってる?


○○:本当の意味…?職場でいっぱい付けてほしいとか?


和:まぁ、それはそうだけど…違う。


○○:えっ…じゃあ何?


和:…。




和:帰り道で調べてみて♡


○○:何だよ、気になるじゃん。


そう言う○○を見て、にっこり笑い


和:ふふ♡じゃあ…おやすみ♡


○○:…おやすみ。


――――――――――


1人なった帰り道。言われた通り調べてみると


○○:(…これか。)


○○:…。


○○:(なぎ…//////)


一般的に、女性から男性へのネクタイの贈り物には、“あなたに首ったけ”(ある特定の異性に夢中になっているさま、惚れているさま、などを意味する表現。)といった思いが込められているそう。


○○:(めちゃくちゃ可愛い奴だな…。)


2月14日、バレンタイン。


この日を通して、また一段と和のことが好きになる○○なのでした。