タバコの火
仕事中、ちょっと一段落。
和:あの。
○○:?
和:最近少し気になってたんですけど…
○○:うん。
和:○○さん、最近タバコ吸ってなくないですか?
○○:え?そんなことないけど。
和:嘘だ。だって最近タバコ吸ってるとこ見ないですよ?
○○:それは単にお前の前で吸ってないだけだよ。
和:えー…。
○○:えーって何だよ。嫌だろ?においとか。
和:もしかして…気遣ってくれてるんですか♡?
○○:………。
和:無視ってことは、肯定ですね♡
○○:チッ
和:ふふ、どうもありがとうございます♡私のために!
○○:そう思うなら少し黙れや。
和:へへへ。笑
○○:…💧
和:でも私、○○さんがかっこつけてタバコ吸ってるとこ久々に見たいなーって思うんですよね。
○○:別にかっこつけてねぇし。
和:まぁいいじゃないですか。休憩がてら一服行きましょうよ♡
○○:…だる。
気だるそうに立ち上がる○○。
和:ふふ、ぶつぶつ言いながらすぐ動いてくれる○○さん、嫌いじゃないですよ♡
○○:チッ…お前ほんと黙れんのか。
――――――――――
ということで、屋上の喫煙所。
○○:…なんで吸わない奴が喫煙所に居るんだか。
そう言いながら火を点けようとすると
和:あー!待ってください!
○○:?
和:火は私が。
○○:はぁ?
○○の手からライターをぶん取る和。
和:1回やってみたかったんですよねー。はいどーぞ♡
カチッと火を点け○○に向ける和。
○○:ば、ばか!💦怖いからこっち向けるな!
和:火が怖い?○○さんは獣か何かですか?
○○:違うわ!お前みたいな奴が火を持ってるのが怖いんだよ!
和:…酷いなぁ、大丈夫ですから。ほら、じっとしててください?
半ば強制的に、○○が咥えたタバコに着火する和。
和:ふふ、美味しいですか?
煙を吐く○○をニコニコしながら見つめ
○○:いや、いつも通り。
和:えー…。
ちょっぴり残念そうな和。
○○:……気持ちは嬉しいけどさ、もうこれで最後な。火くらい自分で点けるから。
和:どうしてですか?
○○:まぁ…あんま気持ち良いもんじゃないだろ、傍から見たら。
すると
先輩男社員:よぉ。一緒にいいか?
喫煙所にやって来た先輩社員。
○○:うっす。
和:おつかれさまです!
先輩:見てたぞ○○、社長の娘さんに火点けさせるとかお前もなかなかのやつだな。笑
○○:違いますよ。こいつが勝手に…
和:1回やってみたかったんです。笑
先輩:はは、そうなのか。にしても仲良いよなー2人。
和:ふふ、超仲良しですよ♡
○○:バカか、いらんこと言うな。
2人のやりとりを聞いて笑う先輩社員。
先輩:こりゃ、和ちゃんきっかけで社長に気に入られた○○が上司になる日も近いかもな。笑
和:…。
○○:やめてください、そういうんじゃないんで。
先輩:そうか。じゃあ…
先輩:タバコだけじゃなくて、○○の恋心にも火が点いてたりってのは?笑
和:えっ…!
○○:…さっきから何言ってんすか。疲れてるんじゃないですか?
軽い苛立ちを隠すように吸い殻を灰皿に押し付け立ち上がる○○。
○○:おい、そろそろ戻るぞ。
和:あ、はい…💦
喫煙所に残る先輩社員にペコリと会釈して○○を追いかける和。
○○:…。
○○:…俺がお前と一緒に居るのはさ
○○:…社長に気に入られたいとか、そういうんじゃないからな。
和:わかってますよ、それくらい。
○○:…そうか。
和:…。
和:でも、じゃあ…なんでですか?
あえて、カマをかけてみる和。
○○:えっ?
○○:…。
“タバコだけじゃなくて、○○の恋心にも火が点いてたりってのは?”
○○:それはまぁ…メンターだし。
和:それだけですか?
○○:…。
○○:…元々後輩の面倒見が良いタイプなんだよ。
和:あはは、それは違うと思います。笑
○○:ああん?💢
和:ふふ♡
和:(○○さんの恋心に、火…)
和:(点いてたら…いいのにな。)